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グッド・ジョブ媚薬 1部  作者: 渡夢太郎
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茂吉

「はい、このシャンプーはノンシリコンで

植物由来の成分が90%入っています。

 このシャンプーの最大の特長は漢方が

入っていて毛根を強くするんです。

 歳を取ると髪に力がなくて頭頂部が潰れてしまうので、

それを防ぐ力をもっています。


 もちろん若い女性は潤いと艶やかなに、

ヘアカラーでパサパサな髪にも効果があります」

「えっ?」

智子は初めて聞いた話に資料を見直した。

「どこに書いてあるの?それ」

「成分表を見てだいたいわかりました、

薬学の勉強をしていたので効果は推測できます」

「そうか・・・さすが」

智子は亮の説得ある話に納得した。


「大原さん、どう思いますか?」

「製薬会社が作った化粧品は信用があるから

プロ用としての営業は良いと思う。

最初にどこへ行けばいいかしら」

「美容専門学校です。実は明日アポ取ってあります。」

智子は亮が病院への納品実績を

上げているので営業能力を信用していた。


「そう言えばこないだの新歓、女性たちみんな

残念がっていたわよ。本命がいなくて」

「本命?」

智子が亮を指差した。


「僕ですか?」

「あなたの所に結構社内メール来るでしょう」

「ええ、合コンの誘いが週末に」

「どうして、参加しないの?」

智子は多少ダサくても高学歴でモテモテの亮がどうして

合コンに参加しないか不思議だった。


「実は日本にいる間、合コンとか

カラオケに行った事無いんです」

「本当?学生時代なにやっていたの?」

「もちろん学生だから勉強です」

亮の返事に智子はなんて言っていいか分からなかった。

「そりゃそうだけど、アメリカでは?」


智子はアメリカの大学生は

相当遊んでいるように思えていた。

「そうですね、何よりも勉強の量が

半端じゃないです。授業中は指されるし、

宿題のレポートが毎日のように出ます。

それにアメリカの大学生は

学費を自分で稼いでいるのがほとんどですから

 アルバイトをしたり長期インターシップに入ったり」


「へえ、パーティばかりやっていると思っていた」

「あはは、それは週末だけですよ」

「留学すると言う事はお金持ちよね。

松平君実家何やっているの?」

「父は貿易商やっています」

「えっ。かっこいいわ」


「ほとんど利権だけなので、小さな会社ですよ」

「でも凄い、ご兄弟は?」

「二人の姉が宝石店とブティックやっています」

「それで宝石鑑定士なんだね」

智子は亮の裕福な生活ぶりがうらやましかった。


「せっかくアメリカに行ったんだから手ぶらでは

帰ってこられませんからね」

普通語学力の関係で大学だけでも精一杯なのに

宝石鑑定士の資格を取ってくるとは

亮の責任感は大変強い物だった。


亮がアメリカでの女性関係は不明だが

智子は酔うに連れて亮を誘い始めた。

「私、会社の男性と二人きりで飲むのははじめてなの」

「あっ、じゃあ噂は本当なんですね」

「噂って?」


「大原さんにはイケメンで金持ちの彼がいると言う噂です」

「あはは、そんな噂があるんだ。学生時代彼がいたけど。

今はいないわ。男はいるけど」

「男と彼はどう違うのですか?」

「ここだけの話。私不倫しているの」

亮はこんなに美しい女性が不倫をしていると聞いて

心臓がドキドキとした。


「う、うちの会社の人ですか?」

「ううん、商社の人。就職活動の時関係を持って、

それでうちの会社へ入れてもらったの。

今は、会うたび機械的に抱かれるだけ」


「どうやってうちの会社に?」

「彼にうちの会社の人事部に知り合いが居たみたい」

「松平君はいるの?彼女」

「ええ、アメリカに・・・」

亮は複雑な絵里子との関係を

説明するのは大変だった。


「何々、気になる。どんな人」

「ええと歌が上手くて(尚子)金髪で(パティ)

巨乳ジェニファーです」

「そうかそんな素敵なんだ、私嫌になってきちゃった」

「何を言っているのですか大原さん、

優しくて気遣いのある女性で魅力的じゃないです

社内で誘われないのですか?」


「誘われるわ、でも不倫しているからつい断っちゃうの。

だからこんな雰囲気は初めて・・・」

「光栄です」

智子は亮の肩に持たれ掛かった。

「昨日だって松平君が来ると言うから

大橋君達の飲みに行ったのに・・・

 ああ、良く覚えていない」

智子は自分の頭を叩いた。


「結局僕と会いましたけどね。

ところで相談と言うのは?」

「その話よ。もう別れたいの」

「もちろん、不倫なら別れるべきです」

亮は強く言った。


「そうよね・・・」

智子はどうやって別れていいか分からなかった。

「不倫相手と別れたいのですね」

智子はうなずいた。

「気持ちの問題だと思います。別れて問題なければ」

「いいわよ。別れるわ。でも責任取ってくれる?」

「どんな責任ですか?」

「そうね、私を寂しくさせない事」

「それって付き合うと言う事ですか?」

「そうかなあ、うふふ」

智子は亮の頬に顔を付けた。


「それは・・・」

亮は何と言っていいか返事に困った。

「じゃあ、当分セフレだけでも良いわ」

「僕とすると離れられなくなりますよ。あはは」

亮はまじめな雰囲気になりそうだったので

笑ってごまかした。


「いいわよ」

「会社でばれないようにできますか?」

「うふふ、男はみんなそう言うわ。いいわよ。

ばれるようなら私会社辞めるわ」

「わかりました。今日は智子さん酔っているし

もう遅いから明日のプレゼンの後でいいですか?」


「いいわよ。明日はあいつと会う日だったけどすっぽかすわ」

「わかりました。明日、しっかりエスコートさせていただきます」

「うふふ、じゃあカラオケ行こう」

智子はそう言って亮の手を握ると亮の元にLINEが来た。

「千成さんが今から来るそうです」

「千成さんって松本の?」

智子はまだあった事も無い千成が

突然こちらに現れるとは思わなかった。


「はい」

「知り合いなの?」

「はい」

亮が答えると入り口にキョロキョロと

周りを見渡している男が立っていた。

「彼?」

智子が指さした男は頭がボサボサで

丸いロイドメガネをかけ

ワイシャツに黒のニットタイをしていた。


「はい」

後ろを振り返った亮は手を男に向かって手を振った。

「亮さん、ご無沙汰しています」

千成は嬉しそうに笑って亮に頭を下げた。

「茂吉さんも元気そうですね。

こちら先輩の大原智子さんです」

「初めまして大原です」

智子は立ち上がってお辞儀をした。


「さあ、どうぞ」

千成は智子の脇に座ってもじもじしていて落ち着かず

目線が智子のミニスカートのから出る

太ももに行って顔を赤らめた。

「何かお飲みますか?」

「はい、ビールを」


智子が気遣い飲み物を聞くと千成は嬉しそうに答え、

三人で乾杯をすると亮は不安そうな千成に話しかけた。


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