裏の組織
亮は思いついたように立ち上がって
金子紀子に電話をかけた。
「紀子ちゃん、今大丈夫ですか?」
「ええ、今学校です」
「内田めぐみさんの件でお願があるんだけど」
「今隣りにいるわ」
紀子は小声で囁いた。
「彼女が今どんな人と付き合っているか
探ってくれますか?」
「うん、いいよ メールする」
紀子は快く頼みを受けてくれた。
亮は森と早苗のいる席に戻ると
亮は森と早苗に向かって話をした。
「森田は最近ヘンケル製薬の戸田と会っている」
亮は行き先が気になった。
「何処ですか?」
「銀座のクラブ華だ」
「そうですか、何かの利益が絡んでいそうですね」
亮はクラブ華に関して絵里子に相談しようと思った。
「うん、それで中嶋啓子と坂井京子の件
だが浜松町のヘンケルの
社宅マンションで森田と会って森田が先に帰っている」
「二人と松田さんの関係は?」
「松田とはあの二人は会っていないな」
亮は森に言われて松田のルートはやはり
内田めぐみしかいないと思った。
「そういえば森さん、松田さんがかなりの数で会社の
ホストサーバーにアクセスした痕跡がありました」
「情報を盗み取るためだな」
森は松田がDUN製薬の漏洩の
主犯である事を確信した。
「DUN製薬は森田の方が決着すれば、
松田さんを窃盗罪で告訴する予定です」
「新薬の情報はヘンケル製薬に渡ったかな?」
「いいえ、松本市の研究所からはセキュリティが
かかっていて情報は一切出ていません」
「そんなに安全なのか?」
「はい、友人のロビンが作った
セキュリティソフトを使っているので
その点は安全なんですけど」
そこに亮の元に紀子からメールが届いた。
「こんにちは、めぐみちゃんの付き合っている人、
DUN製薬の専務さんです。
月20万円だって。このあと会える?」
「OK、マリオンに4:00に」
亮は紀子のメールに返事を返した。
「森さん。めぐみの相手は
DUN製薬の川野専務です」
「そうか、松田が会社の情報が取れないので
女を使って川野専務から取っているかもしれない」
「困りました、森さん川野専務を探ってくれますか?」
「了解」
「それと森田のバックはわかりました?」
「わからん、かなり警察の上層部だ」
森が言うと早苗は手紙を亮に渡した。
「そうそう、原さんにこの封筒を渡されました」
「こんにちは亮」
森田の交友関係が分かりました。
1.厚生労働省副大臣宮城県選出の田中誠一
2.警察庁OBの手塚
現在:宮城県の防犯協会会長
:モータースポーツ促進会会長
で結構金をばら撒いているわ。がんばって。
原 美咲
手紙を見た亮は
「森さんわかりました。国会議員の田中誠一と
警察OBの手塚さんだそうです」
「おお、大物だな、それよりその情報は原さんか?」
「はい、黙っていてすみません。
実は原さんは僕の大学の同級生なんです。
この前、早苗さんの二次会で
会ってうちの会社の相談をしたんです」
「亮さん気を悪くしました?」
早苗が心配して聞いた。
「いや、警察のキャリアが仲間ついているとなにかと安心です」
「私も憧れの原さんが味方ならうれしい」
早苗は亮と美咲の関係をまったく疑わず喜んでいた。
「そうだ。森さん今度原さんと一緒に食事しませんか」
「いいね。美人キャリア」
森は将来警察庁の幹部になる美咲と一度会ってみたかった。
「私も行くわ」
「もちろんです」
亮は早苗に答えた。
亮は森たちと別れると美咲に電話をした。
「美咲さんありがとうございます。助かりました」
「よかった、役に立って」
「今度、早苗さんたちと食事行きませんか」
「いいわよ。いつ」
「いつですか?」
「明日でもいいわ」
「わかりました」
「何を食べさせてくれる?」
「焼肉でいいですか?」
亮はちょっと能がない自分に笑った。
「いいわ」
「7時に銀座の銀遊亭、知っていますよね」
「もちろん、知っているわよ」
「じゃあ7時に待っています」
「じゃあ、明日」
~~~~~
16時に亮はマリオンの前で紀子に会った。
「さっきのお礼にプレゼントをあげます」
「ホントうれしい」
二人は美宝堂へ行った。
「わー、凄い」
「高いのはだめですよ」
「いらっしゃいませ」
店員が深く頭を下げると亮が聞いた。
「専務いらっしゃいますか?」
「どちら様ですか?」
亮は自分の顔を知らない店員が居た事にガッカリした。
「團亮と申します」
「あっ、失礼しました」
「はい。お願いします」
しばらくすると美佐江が出て来た。
「久しぶりね。亮」
「彼女?」
美佐江が紀子を見て亮に聞いた。
「はい。金子紀子です。よろしくお願いします」
「いや、タレントの子でTV出演の記念に
ネックレスをプレゼントしようと思って」
紀子が元気に答えると亮は言い訳をした。
「若いから細くて石がついていた方がいいわね」
美佐江はニヤニヤと笑いながら
ダイヤモンドの付いたネックレスを選んだ。
「これどう、0.5ct VVS1」
「きれい!」
紀子は声を上げて喜んだ。
美佐江は亮の顔を見た。
「ネームいる?AtoHって入れようか」
「Aって?」
「知らなかったんだ」
「えっ?」
紀子が不思議そうに聞くと美佐江が答えた。
「みんなりょうと言うけど本当はアキラなのよ」
「そうなんだ。アキラくん」
紀子は亮の顔を覗き込んだ。
「いいよ、入れなくて」
亮がふてくされた顔をした。
「それで支払いは?40万円だけど・・・」
亮は美佐江にウインクをした。
「40万円!」
「サインして」
美佐江は伝票を取り出した。
「もっと安くてよかったのに・・・」
「美宝堂の息子が安物をプレゼントするなんて團家の恥だぞ!
それに彼女は人気出るぞ、私の勘だけど」
「ところで姉さん香水どうだった?」
「最高よ」
「ありがとう」
「それより、今度石がたくさん入って
くるから鑑定手伝いなさい」
「はい、はい」
美佐江が命令調で言うと亮はおとなしく返事をした。
「この前、ジュディさんいらっしゃったわよ。
今一緒に仕事しているんでしょ」
「うん、ファッションショーの件でね」
「仕事だけ?あなたの事褒めていたわよ、潤んだ目でね」
「そうですか」
亮は気まずい雰囲気漂ったので紀子の手を引いた。
「また来きます」
美宝堂を出た亮は不思議そうな顔をしている紀子に話しかけた。
「紀子さん、美容院へ行きましょう」
「えっ?」
亮の行動がまったく読めない紀子は首を傾げていた。
二人がヤマト美容室に着くと亮は
受付の近くにいた裕子に声を掛けた。
「こんばんは。チーフ」
「あっ亮、どうしたの?」
「紹介します。金子紀子さんです」
「タレントさん?」
「そう、今度テレビのレギュラーが
決まったからお祝いに連れて来ました」
「あっ、おめでとうございます」
裕子が頭を下げると紀子が息を呑んだ。
「あのう、雨宮さんですよね。カリスマ美容師の」
「雨宮ですけど。カリスマは大げさですよ」
「へえ、チーフはカリスマなんだ」
亮は腕を組んでうなずいた。
「ファッション誌に載っていますよね」
「ええ時々」
「裕子さんカットお願いできますか?」
亮が恐る恐る聞くと裕子は時計を見て答えた。
「いいわよ」
裕子は亮の肩を叩いた。
「じゃあ、先にシャンプーお願いします」
裕子はアシスタントの女性に指示をして
その姿はまさにプロフェッショナルそのものだった。
その様子を確認して亮は
ポケットからケースを取り出した。
「あのこれ」
亮はネックレスを裕子に渡した。
「仕事柄、ピンクゴールドにしたけど」
「ありがとう」
裕子は顔を赤らめて言った。
「あとこれ、靴」
「なーに」
「大きいなあ、25cmの靴」
「よく見つけたわね」
「美宝堂で輸入してもらいました」
「細かいなあ、気が利くし、好きよ」
「それとカット代。これでいい?」
「な~に」
「ジュディ社長に貰ったVIPカード持っているんですけど」
「そうだよね、うちに凄く貢献しているものね」
「そうでもないけど」
「そうだ、お客様にオリジナルシャンプーを
売ってくれといわれているけどどうする?」
「もちろん作りますよ。何本?」
「ええと十人」
「やった!」
亮は手を叩いて喜んだ。
「そうそう、亮、こんど松本へ行かない?」
「どうして?」
「私の実家へ行くの」
「嫌です」
亮はすぐに断った後しばらく考えて答えた。
「でも行ってもいいなあ、松本」
「本当!親に会ってくれる?」
「いやそれは・・・うちの研究所へ行って見てきます」
「そうか・・・」
裕子が寂しそうな顔をするとシャンプーが
終わって紀子が席に着いた。
裕子がカットを始めるとそのスピードと
手さばきが虜になるほどの腕前だった。




