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グッド・ジョブ媚薬 1部  作者: 渡夢太郎
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営業先

入社間もない亮は広告宣伝に関しては全く知識が無かった。

「そうだな。販売までは広告代理店がやっていた」

「では今まで通り広告代理店に頼めばいい訳ですね」

「その通りだが広告代理店の選定と代理店の

プレゼンを受けてそれを判断するんだ」


新しく出来た課は社員の厄介者のゴミ場と

相場が決まっていると智子は思った。

「へんね、松平君がいるわよね」

先日東大、東都医大に新薬の売り込みに成功し、

超エリートの亮が隣に居ると言うことはそうでは無いと感じた。


鹿島部長は亮より成績が悪いひも付き大橋に忖度して

亮を移動させた可能性が高いと亮は思った。

「ところで他のスタッフは?」

亮はまさか二人でこんな大仕事を

やるとは思っていなかった。


「ああ、二人では難しいな。まず

上司の課長が元広報課の今井友則君だ」

「えっ、あの今井課長ですか?」

「知っているのかな?」

「はい、色々と」

智子は今井がセクハラ疑惑で

埼玉工場の商品管理をしている

しているのを知っていた。


「今井君は能力のある男なんだ。

もう一度チャンスをやってくれないか」

元今井の上司鹿島は亮と智子に頭を下げた。


販売企画課は期待と膨大な仕事量の

為に個室が用意され

亮と智子が荷物を持ってそこに入ると

今井がテーブルの上を片付けていた。


「大原君と松平君だね。

私が今度この課を預かる今井だ」

「はい、よろしくお願いします」

亮と智子がほぼ同時に頭を下げた。

「そろそろ、他のスタッフも来る頃だ。

二人は並んで座ったほうがいいな、

同じ課だったからね」


「はい」

「失礼します」

亮たちの同僚、鈴木萌奈が荷物を持って入って来た。

「萌奈ちゃんも来たのね」

「うん、この課の総務全般をやってくれって」

「うん、必要必要」

智子は納得してうなずいた。


「失礼します、営業一課から来た日村です」

30代前半のバリバリの営業マン風の男だった。

「失礼します、営業二課から来た保坂奈緒美です」

20代後半の派手な感じの女性だった。

「宣伝部から来た田畑喜代子です」

20代半ばの真面目そうな女性だった。


全員が揃うと今井が全員を

ミーティングルームに集めた。

「今日からスタートする企画営業課は、日村君、

保坂君、田畑君、鈴木君、大原君、

松平君、まだ到着していないが松本の

研究所から来る千成君の7人のメンバーで

我が会社が初めての基礎化粧品を扱うことになった。

今までと全く違った営業体制を

作っていかなければならない。よろしく頼む」


今井は新課長として課をリードして

行こうと言う意気込みがあった。


「いいですか?」

亮が手を上げた。

「なんだ?」

「広告代理店はどこを使うんですか?」

「うちの取引先は大手代理店、電公堂か白宝社だが」

「では二社のコンペですか?」

広告に詳しい田畑が言った。


「時間を短縮するために一社に決めたい」

「電公堂に御神仁さんと言うクリエイティブディレクター

がいるんですけど、

彼がやってくれば

 満足いく物を作ってくれるはずです」


田畑はアメリカでクリエーター・オブ・ザ・イヤー

を取った御神仁を推薦した。

「その名前は私も知っているが忙しい

御神仁さん指名でやってくれるのだろうか」

「一応、電公堂さんに連絡をしてみます」

今井の質問に田畑が言うと亮が笑った。


「どうしたの?ニヤニヤして」

亮を見た智子が首を傾げた。


「課長、パッケージができるまでパッケージ無しでも

出来る営業はしてもよろしいでしょうか?」

亮は新人社員ながら先輩を差し置いて頭に浮かんだ意見を言った。

「ん、どこだ?」


「美容院関係です。大型美容室なら

ノンブランド、オリジナル商品として

実際に美容師が使って

効果を見せて営業しています」


「そうかじゃあ、君たちはそっちの方から

営業してくれ、残りのメンバーは

 商品のネーミング、デザイン、

広告のアイディアを出してくれ」


美容院ごときに商品を売っても

大した売り上げにはならないと

思っている今井は亮の自由にさせた。


亮と智子を除いた残りの人間は商品作りから

販売して行く計画を遂行して行く事になり

みんなを残し二人はミーティングルームから出た


「簡単にやらせてくれるわね」

「商品ができるまで待っているよりも、

少しでも動いている事を上に

報告したいんじゃないですか」


「そうね。やはりあれかな・・・」

智子は企画営業課のスタッフは優秀な

人間の集まりでは無い事に気づいた。

「あれって?」

「テレビドラマにある設定だよ」

「掃き溜めですか?」

「しっ!聞こえるわ」

「すみません」


「松平君、今夜飲みに行くんでしょう」

「えっ、覚えていたんですか?」

「当り前まえよ。給料まだだろうからおごってあげる」

「じゃあ、お店は僕が決めていいですか?」

「うん、高くなければいいわよ」

「了解」

亮はそう言うとパソコンに向かって

企画書を書き始めた。


亮が決めたお店は池袋東口の

新築ビルの2階にある焼肉屋だった。

「えっ、焼肉屋なの?」

智子は焼肉が不満だった。


「焼肉は高いですか?」

「ううん、焼肉は臭いから・・・」

「ああ、すみません。それでは」

亮は智子が意外と神経質だった事に気づき

食べて飲める5階にあるダイニングバー

Ce platへ連れて行った。


「良いところね。池袋は地元なの

にこのお店気づかなかったわ」

「この店は4月にオープンしたばかりです」

「どうりで・・・」

亮は店に入ると何も言わず奥のテーブル席に座った。

「この席でいいの?」

「予約席ですから」

「えっ?」

智子が焼肉屋を断ったばかりなのに

なぜが予約席に座れたか不思議だった。


一通り食事を頼むと亮と智子が

シャンパンで乾杯した。

「さっそくですが、日本の美容室の数が約23万軒、

東京だけで約2万軒あります」

「意外と多いのね」

「ええ、歯医者さんの4倍、コンビニの5倍弱です」

「じゃあマーケットはかなりあるんだ」


「美容室はいまだ80%が個人経営で

美容用品問屋から買っています。

ですからまず問屋さんへのアプローチが良いかと」

「そうか問屋さんか・・・」

智子は問屋を通すと言うことは卸価格を

下げなければならない事がわかっていた。


「美容用品はハサミ、コム、ドライヤー、クロス、

タオル、ロッド、クリップ、ゴム。残りは消耗品の

パーマ液、パーマ用のペーパー、ヘアカラー液、

シャンプー、トリートメント」

「思ったよりアイテムが少ないのね」

「アイテムは少ないですけどシャンプー、

トリートメントの競合他社がたくさんあります」


「ふう、思ったより難しい。やはりデザインを待って

広告と一緒に営業をした方が楽ね」

大手企業に勤めている智子も地道な

営業に乗り気はしていなかった。

「他にいい方法は無いかしら?」


「はい、チェーン店の大手の中には100店舗以上持っていて

年商100億円を超すところがあるんです」

「そこに商品を売る事が出来たらすごい売り上げになるわね。

でもかなり良いものでないと・・・」


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