買収
「團亮、確か下村ゼミと言っていました」
「本当ですか」
横山は突然敬語になった。
「はい」
「下村君とは東大時代同期だったんだ、それに
ひょっとしたら團亮君は噂の・・・」
「どんな噂ですか?」
「いや、是非合わせてくれないか。話したいことがあるんだ」
「わかりました。近いうちに」
「あはは、これ少ないけど銀座で遊ぶより楽しかったよ
今度本当に彼を紹介してくれよ」
お金を入れた封筒を葉子に渡すと笑顔で帰った。
「良い女だからね。私達」
智子と葉子はハイタッチをした。
~~~~~~
翌日、鈴木妙子の紹介で亮は青山の骨董通りの
ブリリアンスショーに呼ばれた。
ブリリアンスショーのビルは5階建て
社長室は5階にあった。
「失礼します」
「いらっしゃい」
「團亮と申します」
「私は代表の宮城と申します」
宮城は亮に名刺を渡した。
「突然すみません」
「いやいや、大体鈴木君に話を聞いている」
亮は企画書を出してファッションショーの説明をした。
「うん、いいねえ」
「タイアップ料はどれくらい?」
「出られますか?」
「はい、ぜひ」
「わかりました」
「立ち入った事をお聞きしますが、会社の運営
うまくいっていますでしょうか?」
「失礼だな!」
「すみません、私の家はスタジオⅮを経営しておりまして
2年で5店舗の閉店はかなり経営が
うまくいっていなと思っています」
「だから何だって言うんだ」
「衣料関係の倒産は悲惨です。
在庫の処分は倒産していなければ
最悪原価の25%で処分できますが、
倒産したら一山いくらです
幸いブリリアンスショーはまだ名前が浸透しています。
立て直しが可能ですから
資金を入れて出来ると思います」
「何聞いたような事を抜かしている」
宮城は机を叩いた。
「いいえ、僕はハーバード大学経営学部
のMBAを持っています」
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
「宮城さん、この会社を売ってください」
「えっ売る?」
「はい、負債はいくらですか?」
「銀行からの借り入れが7億くらいですけど?」
「そうなると負債は未払いが3億くらいですね」
「うん、そんな物です」
「では、社長の利益を含めて11億円」
「誰が?買うんですか?」
「美宝堂が買い取ります」
「なんだって!」
「うちが譲り受けたらまず古いイメージの三分一を残し
新しいいコンセプトデザインに一新します。
それを今度のファッションショーで発表するのです。
販売経路はスタジオⅮが入っている全国23か所のデパートを
使います」
「しかし、そんなお金?」
「まず、宮城さんに株の代金1億円を
支払って経営権を譲っていただきます
銀行の借り入れは私どもが肩代わりします、
買掛金はすぐに支払う必要が無いので
うちが支払い保証をします」
「そんな事、團さんが決められるんですか?」
「決められます。意思の確認です」
「売ります」
「本当ですね。ちょっと待ってください」
亮は秀樹に電話を掛けた。
「お父さん、亮です」
「なんだ?」
「ブリリアンスショーと言うブランドが青山に
あるんですけど買って良いですか?」
「いくらだ?」
「1億円で会社を買い取って負債が10億円です」
「それで儲かる可能性は?」
「あります」
「僕が1億払って全株を買い取りますので
債務保証をしてください」
「わかった、会計士と弁護士に頼む」
「お願いします、今からそちらへ寄ります」
「うん、わかった」
「宮城さんOKを取りました。信用いただけるように
今日中に弁護士から連絡が有って来社いたします。
会計士が詳しい財務関係を調べますがよろしいでしょうか」
「はい」
「従業員は全員引き受けますが、
早急に全員と面接をして
それぞれ希望を聞きます」
「わかりました」
「ところで鈴木さんは?」
「4階のデザインルームにいます」
「では帰りながら寄って帰ります」
亮は深々とお辞儀をして社長室を出た。
亮は階段を降りてデザインルームに入った。
「すみません、鈴木さんいらっしゃいますか?」
「はい」
妙子は入口まで来た。
「鈴木さんお話が」
「休憩室で・・・」
「いや、ちょっと外で・・・」
二人は外のコーヒーショップに入った。
妙子にブリリアンスショー買収の話を説明した。
「わかりました、最近会社が
資金繰りに困っていると言う
噂を聞いていたので心配していました」
「売り上げが落ちると店舗の現場の方に
負担がかかってきますから
すぐにわかってしまうんですよね」
「は、はい」
「とりあえず、優秀な人間が
辞めないように抑えてください」
「わかりました」
「近々社長の方から発表があると思います」
「わかりました、後で
個人的に各店長と会ってください
特に新宿の店長は優秀ですから」
「了解です」
その直後、直子から亮に電話があった。
「こんにちは亮」
「こんにちは、直子さんみどりちゃんの様子は?」
「何か亮に相談があるって、連絡して上げて」
「分かりました」
亮はパーティの時、亮に何かを
話をしたそうにしていたのを
気にしていてみどりに電話をした。
~~~~~
「こんにちは」
亮は美宝堂の社長室に入った。
「おお、ご苦労さん」
「はい、すみません。急に連絡をして」
「いや、いきなり10億円と
言われたんで一瞬驚いたがな」
「すみません」
「利益が出るなら問題ない、
どれくらいの売り上げを予定している?」
「初年度50億円くらいです」
「ほう」
「ところで、DUN製薬の件ですが」
「うん」
「僕の転属の件はお父さんの指示ですか?」
「いや、全く指示などしていない。
もう転属したのか?」
「はい、いきなりシャンプーの販売企画の
方へ移されたんです」
「どうしたんだ?茂吉君もいきなりうちに来るし」
「おそらく同僚の大橋への忖度かと」
「ああ、あの四菱の息子か」
「たぶん」
「まったく、あの会社は・・・いずれ大ナタを
振るわなくてはならないだろう」
「それと千成さんが松本研究所から転勤させるなんて
忖度じゃないと思いますよ」
「なるほどじゃまになったわけか」
「はい」
~~~~~~
翌日、亮は新宿で森と伊藤早苗に会った。
「初めまして伊藤です」
「松平ですよろしくお願いします。交通課だそうですね」
「ええ、刑事の希望を出して署長推薦貰えなくて」
早苗は悲しそうな顔をしていた
「推薦貰っても面接で通るかどうか。
女性は後回しなんですね」
亮が早苗を慰めた。
「きっと無理だと思うようになってきました。
警視庁管内では」
「そうでしょうね」
「だから最近悩んでいたんです。地方へ行って
刑事になるか、警察辞めるか」
「ええ」
早苗は森の方を見つめていた。
「その時、森さんに声をかけられたんです」
「俺も浮気調査ばかりなら誘えなかったけど、
機材も少ないし、でも今回の仕事のような
継続的なこの手の仕事があれば、
早苗君を誘えるかなと思って」
「そうですね。しばらくはお願いする事が有りますから、
そのあいだに安定した仕事があれば」
「解りました。森さんの仕事手伝います」
早苗は亮に会って自分の生きる方向を決めた
「そう言えば森さんの事務所は?」
「自宅だよ。大久保の」
「そうなると早苗さんかわいそうですね」
「早苗が来てくれるなら、どこかに事務所借りるよ」
森は仕方なしに答えた。
「そうですか,それはよかった」
亮はホッとすると早苗に微笑んだ。
「あっ、今度三人で食事でもいかがですか?」
「ありがとうございます」
「森さんとは飲みに行ってばかりでは、ね」
亮は森の方を見て笑った
亮と別れた早苗はうかれながら言った。
「森さん、カッコイイね、あの人」
「だめだぞ、あいつは女がいっぱいいるから」
「そうだろうね。プレイボーイなの?」
「いや、それが複雑なんだいずれ分かる。
それよりおまえ男どうした?」
「白バイ? あれだめ、バイクから
降りるとかっこ悪い、足が短くて」
数日後、亮は早苗の送別会の2次会に呼ばれハチ公の前で
待ち合わせをすると早苗たちがまっていた。
「松平さん突然、ごめんなさい」
「いや、いいですよ。仕事終わりましたから」
「うちの会社いい男がいなくって思わず呼んじゃったと言っても、
女三人しか残らなかったけど」
「こんばんは、松平亮です」
「原美咲です」
「三原恵です」
「さあ、飲みに行こう」
早苗が亮の手を引いた。
「明るいですね彼女」
亮が原美咲に声をかけた。
「松平さんはどんな仕事なさっているのですか?」
美咲が聞いた
「製薬会社の営業です」
「私達は・・・」
美咲は言いにくそうに言うと亮は優しく答えた
「知っています」
「よかった、本業を言うと相手が気を使ってくるんです」
「あはは、分かります」
亮が笑うと美咲が微笑んだ
四人はセンター街入り口のTU○AYAの
8階のダイニングバーに入った
「私達だって普通の恋やお付き合いがしたいのに、
まるで男の警察官の
結婚相手を雇っているみたいな扱いです」
「だから警察官どうしのお見合い
パーティはたくさんありますよ」
「そうなんですか、三人とも制服似合いそうですね」
「今度見てください。青山通りでいつも駐禁やっています」




