雨宮裕子
「ええ、このマテリアはスタッフを世界中から
集めて、客層は銀座に来る富裕層と
外国人をターゲットに営業をしていく予定よ」
「おもしろそうですね、でも運営に
かなりのノウハウは必要ですね」
「ええ、だから一番怖いのは滝沢が独立に
よってデータを持ち出す事なの」
「そうですね、顧客リストなんか盗まれたら
まねをする同業者いくらでも現れます」
「そう、それで私は滝沢の独立の話を
聞いてプロジェクトからはずしたわ。
このプロジェクトは絶対成功させたいの」
「滝沢さんをプロジェクトからはずしたんですか。
むずかしいなあ。
有能な人物なんでしょう」
「ええ」
亮はキーマンの滝沢を追い出すことが決して
良い判断だとは思わなかった。
「わかりました。顧客の髪質に合わせた
オリジナルキープシャンプーを作って、
高級店の顧客サービスにしましょう」
「いいわね。企画を進めて。そうすればあなたも
堂々とマテリアの件で動けるわね」
「はい、この仕事ぜひ成功させましょう」
「亮は私のビジネスのアドバイザーにもなってくれたみたい。
ありがとう」
~~~~~
翌日、亮の企画が通りマテリアのシャンプーの
開発に携わる事になった。
亮に協力的では無かった今井だが、実際に採用が決まると
掌を返したように積極的に自分の手柄のように
智子と亮に同行した。
ジュディのところに挨拶へ行き
マテリア用のシャンプー開発の
の担当は雨宮と滝沢の後任
吉井マネージャーになった。
裕子は身長168cmのモデル級の
美人美容師で何度も雑誌やテレビで取材を受ける
カリスマ美容師だった。
亮と智子は出席者に資料を渡しプレゼンを始めた。
「まず髪質の分類を20種類に
分けそれに合わせたシャンプー
を開発します。まず髪の質直毛、曲毛、
保水率傷み具合最後に
好みの香りをつけすべて天然成分を作ります」
亮は資料を読み上げた。
続いて千成が成分の特長を説明し説明した。
「では、テスト商品をつくりデータを取りましょう。
雨宮チーフよろしくお願いします」
「はい」
雨宮は立ち上がり髪質の分類を細かく説明した。
そして打ち合わせの後、銀座のレストランで食事会を開き
裕子の隣に亮が座りその隣に千成が座った
智子は吉井の隣に座った。
「大原さんいや美人だね。それに良い匂いだ」
吉井は智子の首筋に鼻を近づけて臭いをかぐと
すでに吉井マネージャーの下半身は興奮していた。
今井課長も以前から智子を狙っていたが
誰にもなびかないので決まった相手がいると思っていた。
亮は隣に座った雨宮裕子の気持ちを探って優しく質問した。
「元気ないですね」
「余計な仕事請負っちゃって忙しいのに」
裕子はイライラして返事をして小さな声で
亮に言った
「でも、マテリアのチーフなるんですよね」
「そりゃそうだけど。
マネージャーが滝沢さんじゃないから」
「滝沢さんって?」
「元のマネージャーで私信頼していましたから」
「それは残念ですね」
「滝沢さんは現場のたたき上げだからだけど、
吉井さんはアメリカ校から来た人なの、
今度の外国人の美容師がいるから英語が堪能で
ハリウッドの高級美容室でも経験が有るからって」
「でも、それは経営判断としては正しいですよ」
「そりゃそうだけど、尊敬しています」
裕子は怒るように言った。
「ごめんなさい雨宮さん、お付き合いしている人は?」
「いいえ。今のシフトではデートできないもの、
仕事が終わってデートするのが10時過ぎからですから」
その時亮は裕子の内股に青あざがあるのを見つけた
「雨宮さんもしかしたら、暴力を?」
亮はそう思った
そこで、亮は裕子の気を引くために
新しく作ったフェロモンを強くする
効果のある媚薬を飲んだ。
しばらくすると周りの女性が亮を見始めた。
「効果があった」
亮は自分でそう思っていると
智子は亮に近づいてきて耳もとで囁いた。
「亮どうするの?私感じちゃってもうダメ、
吉井さんとやっちゃうわよ」
「な、何言っているんですか?」
豹変した智子はうっとりした目で亮を見て言った。
「みんなだって見ているわよ。あのウエイトレス
なんかさっきから亮の事を」
「わかっていますよ」
亮は気にしていないようで実は人の目を気にしていた。
「これ」
智子は吉井の携帯電話番号の
書いてあるメモを見せた。
「吉井さん、次は女の子がいるところいかがですか?」
今井課長は旧態依然とした昔ながらの接待の話をした。
「課長、何処ですか?」
亮は女の子がいると聞いて初めての接待に興奮した。
「うちの会社の行き付けの店が有るんだ
六本木だけどな」
「そうですか。吉井さん、ではいきましょう」
亮は智子に帰るように合図を送った。
「私はこれで・・・」
「私は仕事が有りますので帰ります」
智子が言うと裕子はさめた顔で店を出た。
「雨宮さん、なんか有りましら電話下さい」
亮は裕子を追いかけながら耳元で囁いた。
~~~~~
三人が六本木のクラブグローリーに入ると
真知子ママが挨拶に来た。
「いらっしゃいませ。今井さん」
「こちら、ヤマト美容室の吉井マネージャーです」
「はじめまして真知子です。お見知りおきを」
「こちらこそ、うちの六本木店をよろしく」
吉井が真知子に名刺を渡した。
「もちろんですわ」
亮は会釈だけで済ませた。
少し時間がたつと
媚薬の効果で店中のホステスの
視線が亮に釘付けになってきて、
脇に座ったホステス初美は
うっとりした目で亮を見ていた。
「すみません、お客さんはあちらです」
亮は初美言った。
「はい、すみません」
初美は突然名刺を渡した。
「なに?さっきもらいましたよ」
初美は名刺を裏返しにすると
スマートフォンの番号とLINEIDが書いてあった
「興奮しちゃった」
初美が耳元で囁いた。
「いやー、さっきの大原君
美人でスタイルが良かったね」
突然吉井が大声で話をした。
それに対して今井がうなずいて笑っていた。
「ええ、結構社内で評判で彼氏入るだろうね、松平君」
「はあ、私は聞いていませんが」
亮は今井の質問の智子の事は
何も知らない事していた。
「そうか、今度食事でも誘うかな」
吉井が智子に食指を伸ばして言った。
「ここに居ない女性の話よりも、
もっと夢の有る話をしましょう」
初美は場を盛り上げ吉井は満足していた。
帰り際に、ママの真知子は亮にスマートフォンの
電話番号を書いた紙を渡した。
「後で電話ちょうだい必ずよ」
亮は吉井マネージャーをタクシーに乗せて見送ると、
裕子から電話があった。
「会いたいの。今銀座にいるわ」
亮は今井課長に挨拶をそうそうに。
帝国ホテルの喫茶室で待ち合わせをした。
「今まで仕事していたんですか?」
メイクが落ちかけている裕子に亮は心配そうに言った。
「ええ、指名が入っていたし」
「そうですか、お疲れさまでした」
亮が話し終えるとすぐに裕子は
席に着くとすぐに泣き出した。
「私、もうだめ」
「どうしたんですか?」
「つらくて」
「さっきとはずいぶん違いますね」
「吉井マネージャーがいたから」
「さてどうしますか。夜食でも」
「ええ、それよりお酒が飲みたい」
「解りました」
亮は態度が急変した裕子に
驚きながらホテルのバーに入った。
「私は高校時代暴走族だったの」
「そうなんですか?そうには
見えないですけど」
「高校はやっとことで
卒業すると大学にも行かず
東京に来ていきなり水商売。
2年間働いて一緒に働いていた
親友に誘われて美容学校へ
行って美容師になったの
二人で頑張ったわ」
「凄いですね、そして今はカリスマ美容師」
「カリスマは言いすぎよ、
たまたま雑誌で紹介されただけよ」
「ご両親とは?」
「今は上手くやっているわ、
母親には時々電話をしているし」
「そう」
裕子が周りの異様な雰囲気に
気づき亮の耳元で囁いた。
「ねえ、周りの女の子がこっちを見ている」
「そうですね」
「なんか嫉妬されそう」
「そんな事無いですけど。
それでどうして泣いていたんですか?」
「それは・・・恥ずかしい」
裕子がモジモジしていると亮は
何が恥ずかしいか分からなかった。
「休みましょうか?」
「はい」
ホテルの部屋に入ると裕子は
恥ずかしそうに亮の顔を見た。
「暗くしてね。恥ずかしいから」
「わかりました」
亮が答えると裕子は外を眺めて言った。
「綺麗!銀座の夜景もこうやって見るといいなあ」
「ええ、なんか古くて新しい、
しっとりした感じがします」
「うん、古くて新しいネオンか」
裕子は涙を流し詰まった声で言った。
「抱いてください」
亮はうなずく裕子の服を脱がせベッドに倒し
感じにくくてなかなか声も出さない裕子を
苦労していかせた。
亮はぐったりとして横になった
裕子の体を見て言った。
「裕子さん、DVを受けていますね」
「ええ」
裕子は悲しそうに亮の胸に顔をうずめた。
「背中とおなか、お尻にもあざが
ありますね。彼ですか?」
「ええ、彼がストレスが溜まった時、
殴ったり蹴ったりされるの」
「それで良いんですか。それとも?」
「痛いけど、我慢している。彼が喜ぶから」
亮は彼が喜ぶからと言う
曲がった裕子の愛情に疑問を持った。
「彼を好きなんですか?」
「ううん、でも他に付き合う人いないから」
「さびしいからですか?」
「ええ、寂しい」
「彼との結婚は?」
亮は裕子の付き合っている男、滝沢の経歴を知って
裕子に聞いた。
「彼奥さんと子供がいるから無理だと思う」
「それは彼じゃないじゃない。不倫ですよ」
「だって男性と知り合えるチャンスがないのよ、
お客さんだって女性ばかりだから」
裕子は必死に自分を正当化しようとしていた。
「そうですね」
「わたしだって、普通の女性と同じような恋
がしたいわ。でも付き合っていた人も
休みも時間も合わなくて別れたわ」
「そうか、あなたを初めて見た時何か影があったのは
その理由だったんですね」
亮は裕子のどこか陰のある感じは
それが理由だと感じていた。
「影?」
「ええ、なんとなく後姿が寂しく見えたのですが」
「それは他にも理由はあると思います・・・」
「何ですか?」
「今は言えないけどいつか話をします。松平さん彼女は?」
「いますよ」
「そうよね・・・」
裕子は期待した自分が馬鹿だった事に
気づいて泣きたくなるほど恥ずかしくなった。
「大原さんですよね」
裕子は確認を取るように言った。
「わかりますか?」
「あの場所では気がつかなかったけど。
あなたに抱かれて今わかった」
「抱かれてからですか?」
亮は抱くと何がわかるか不思議だった。
「彼女の目を思い出したの、あなたを心から信じている目」
「はい、僕も彼女を信じています。
でも今井課長には内緒ですよ」
「内緒って社内恋愛は禁止なんですか?」
裕子は今どき社内恋愛禁止の
会社など聞いた事が無かった。
「実は色々有って・・・他にも女性が居て」
亮は他人に説明が難しい
自分の生活に笑ってしまった。
「そんな事出来るの?大原さんにばれたらどうするの?」
「大丈夫です、大原さんも知っています」
「うそ!ヤキモチやかないの?」




