御神仁
亮と智子は会社の人間に見られないように池袋から離れた、
恵比寿駅の西口にあるダイニングバーに入った。
「DUN製薬に何か怪しい噂の人いませんか?」
「ええ、森田常務かしら?」
「智子さん知っているんですか?」
「元上司よ。DUN製薬販売に三年前に出向したのよ」
「はい」
「元々はDUN製薬の川野専務派の営業部長で
将来社長候補と言われていた人だったの、
それが当時悪い噂が有って左遷のような
状態で出向させられたみたい」
「そんな悪だったんですか?」
「何かワイロ渡したとか貰ったとか、そ
れに女性問題あったとか研究データを盗み出したとか
実際の左遷の理由はわからない」
「そうですか」
「ただ噂だけど、DUN製薬当時、森田さんは
病院と深い関係だと言う噂があるのよ」
「接待交際費が多いとか?」
「ええ、そうよ。経理部が渋い顔をしていたわ」
「病院から何かリベートのような物を
取っていたんでしょうか?」
「大きい病院だとサービス品が結構あるのよ、
生食とかぶどう糖とかビタミン剤とか
それを多めに入れてリベートバックを貰っている」
「それもあるかもしれません。でも、
単価が安いからあまり儲からないですよね」
「そうね」
「もっと別な何かがあるかもしれませんね」
「何なの?」
「まだ、わからないですけど調べてみます」
「ええ」
「ところで、智子さんのその上司との関係は?」
亮は当時から美人で目立ったろう、
智子が森田とどういう関係知りたかった。
「部の飲み会でお酒を飲んだ後、
おかしくなった事があるわ」
智子が言うと亮はドキドキして聞いた。
「マジですか?どんな症状に?」
「うふふ、スゴーくエロくなるの」
智子は胸に手を当てて体をのけぞらせた。
「それで?」
「一度関係があった、出向で離れたのでそれっきりだったけど」
「そうですか」
亮は急に真面目な顔になった。
「なんだ・・・気にならないの?」
「どうせメチレンジオキシメタンフェタミン
別名MDMAじゃないですか。
脳内のセロトニンの分泌が盛んになり
多幸感に陥ります。異常に汗が出ませんでしたか?」
「うん、汗で体もあそこも
びしょびしょだった。うふふ」
智子が股間を押えると亮の顔が険しくなった。
「女性関係と言うと森田さんと
噂があった女性を探せませんか?」
「いいけど・・・」
真顔で智子に聞いた亮の顔は真剣に見えた。
「わかった、努力する」
亮は体を智子に顔を近づけて智子の目を見つめた。
「智子さん用の媚薬できました」
亮は智子にカプセルを渡した。
「うん、飲んでみる」
智子は口の中にカプセルを入れた。
「これを飲むとどうなるの?」
「男にもてます、今以上に」
「本当に?」
「しばらくしたら周りを見てください」
時計を見ていた亮はOKサインを出すと
智子は亮に言われ周りを見ると
男たちが智子を見つめていた。
「智子さん僕達もう付き合いを辞められないかと思って」
「どうして、突然。絵里子さんや直子さんの事?
私、セ○レで良いって言ったじゃない週に
一回デートしてくれればいいのに・・・」
智子は亮の突然の言葉に目に涙を浮かべていた。
「でも、せっかく内村と別れられたのに、
このままではあなたに恋人も出来ないですよ」
「実は、私このあいだ学生時代の元彼と会ったの」
「どうでした?」
「ダメだった、私がすっかり冷めちゃっていたわ」
「でも何度か会っていれば・・・」
亮は何としても智子に恋愛をしてほしかった。
「本当に彼とはだめなの、
リハビリだと思ってお願いもう少しお願い」
「それでしたんですか?」
「S○X?満足できなかったわ。
内村に抱かれている時感じないようにしていたから」
亮が真剣な顔をして聞いていると
「ねね、その顔ヤキモチ?」
「ええ、ちょっと気になりました」
亮は智子が他の男性に抱かれて
喘いでいる姿を思い浮かべ
下半身が熱くなった。
智子は周りを見まわして座った
ままパンティを脱いだ。
「これ、ノーブラ、ノーパンよ」
「そのスカートの短さだったら階段で見えちゃいますよ」
「そうよ、いつも内村と会う時こうだったの」
「ねえ、やめてください」
亮は智子をどうやって止めていいか困っていた。
「まったく、こんなに誘っているのに拒むんだから・・・」
智子自分に興味を示さない亮が
自分から離れていきそうで怖かった。
「ちょっと人と会うので渋谷に一緒に行きましょう」
「このまま行っていい?」
「だめ!」
亮は智子の手を引いて恵比寿駅に向かった。
「ねね、私パンツ履いていないよ」
「えっ!」
亮は恵比寿の駅前で立ち止まった。
「早く履いてください」
「こんな所で履けないわよ」
「ですよね」
「時間が無いから見えないように
お願いしますよ」
「はーい」
智子は亮をからかっていた。
二人が渋谷駅で降りセンター街を歩くと
体から発散するフェロモンのせいですれ違う
何人もの男女が二人を振り返って見ていた。
「ノーパンばれたか?」
智子は思わずスカートを抑えた。
「いやいや、フェロモンだってフェロモン」
「亮、媚薬の効果ってこんなにあるの?」
「はい、つまり僕の作った媚薬は通常の人間の何倍もの
フェロモンを出してすべての異性の興味を引き
そしてもう一つβフェロモンを体内から発散します」
「βフェロモンて何?」
智子が首を傾げた。
「さあ、何でしょう。研究中です」
「意外と虫やネズミに追いかけられたりして、うふふ」
亮はセンター街の奥の
暗渠沿いのショットバーに入った
「ねえ、誰と会うの?」
「30代の男性です」
「えっ、紹介してくれるの?」
「はい、紹介しますからパンティ履いてください」
「あっ、忘れていた」
智子はバックを持ってトイレに行った。
智子がトイレから出てくると亮とサングラスに
黒いスーツを着た男性が椅子に座っていた。
夜でもサングラスをかけているの古くは
井上陽水、横浜銀蝿、寺尾聡、
鈴木雅之、綾小路翔、TOSHIや
ATSUSHIやYOSHIKIとか
ミュージシャンのまね男か勘違い男くらいなものだ、
あるいは出勤途中のキャバ嬢
亀仙人とタモリまあ、それはない。
「お待たせ」
智子が来ると男が立ち上がった。
「智子さん、御神仁さんです」
「電公堂の御神です」
イケメンで低い声の御神に智子の心は揺れた。
「あっ、松平さんの同僚で大原智子と申します」
智子は企画営業課が連絡が取れないと言っていた
御神仁が目の前にいる事が驚いていた。
「亮、どうして御神さんがいらっしゃるの?」
「亮は僕の弟ですよ」
御神は亮の肩に腕を回した。
「えっ、お姉さんの旦那さん?」
亮の兄弟はお姉さんが二人と聞いていたので智子は
御神はお姉さんの旦那さんだと推測していた。
「いいえ、姉たちはまだ独身だし仁さんも独身です」
亮が慌てて否定した。
「両親を亡くした僕を亮の父親が養ってくれた。
子供の頃は一緒に住んでいて兄弟のように育ったんだ」
「そうなんですか・・・」
智子は両親がいないと言うどこか
影のある御神に胸がキュンとした。
「亮は子供の頃からすごく優秀で学校では
勉強もスポーツもいつも一番の自慢の弟だ」
「さて、仕事の打ち合わせをしましょう」
亮は自分の子供の頃の話をされるのが嫌で話を変えた。
「仕事って例の化粧品の話?」
智子は御神と仕事の打ち合わせと言えば
化粧品の話しか思い浮かばなかった。
「うん、亮から資料を貰ってプランはもう出来ている」
御神は自信を持って答えた。
「ええ!みんな必死になって
広告代理店向けの企画書を書いているわよ」
「なぜ代理店に企画書を書くんだ?我々が欲しいのは
基本コンセプトとネーミングの候補と
正確な情報があれば、しっかりとプレゼンをする」
御神は自信を持って答えた。
「でも、今までの広告代理店、どちらかと言うと
御神さん以外のディレクターは
企画書を要求してきたようよ」
「そうですね。クライアントが企画書を
書いてくれれば、クライアントの意向通りに
作ったと見なされて万が一の時に責任か逃れられる」
「それってどういう意味?」
「つまり思い切った企画はできないと事です」
智子の質問に亮が御神の代わりに言った。
「亮の付けたネーミング。まず化粧品pousse、
美白化粧品がperce-neige、
シャンプーがBurunaのデザインを起こしている
。後は紙媒体とテレビとインターネットの広告のプランだ」
「了解です」
「イメージキャラクター候補を選んでおいてくれ交渉はこっちでする」
「誰でもいいんですか?」
亮は今人気のアイドルたちを頭に浮かべニヤニヤと笑った。
「ところで亮は智子ちゃんと付き合っているのか?」
御神は亮の横腹を突くと智子は嬉しそうに答えた。
「はい、付き合っています」
「えっ、えっ、えっ」
亮はなんて言っていいかわからなかった。
「おお、女性には奥手だった亮が
入社早々社内恋愛かやるなー」
御神は思わず亮の肩を叩いた。
「違うんです。僕たちまだ・・・」
「それなら、彼女に本名を教えておけよ」
「えっ?」
「あっ、松平じゃなくて團です」
亮は社内での問題があるので本名を隠していた。
「本当?うちの会社偽名で就職できるの?」
「あとで、ゆっくり説明します」
「じゃあ、これから用があるのでまたな。
そうだ亮に役立つ男から連絡があるはずだ」
御神はUSBメモリーを亮に渡すと
智子の肩を叩いて帰って行った。
「役に立つ男?」
「うん、ところで大原さん亮はとても強いから
安心して守ってもらってください」
「強い?」
~~~~~
御神が外に出ると同じパブのカウンターから
黒のレザージャンパーとミニスカートを着た女が
外に出て御神に近づいてきた。
「仁、仕事が入ったわ」
「了解、亮の仕事が終わるまで日本を出ないぞ」
「分かっているわ、ある男の調査が入っている」
「なんだ?」
「日本の国会議員とアメリカの製薬会社の不正取引です」
「そうか、亮も危ないな」
~~~~~
「御神さんって何か不思議な感じ、すごくかっこよくて男っぽい」
「うん、大学時代から世界50ヵ国を旅して見聞を広めていて
すごい能力を持った人なんです」
「そうなんだ、それで電公堂に勤めた訳?」
「いいえ、それからアメリカ最大の広告代理店
アメリカンパブリシティに勤めて
色々な人気広告を作って3年前に
帰国して電公堂に勤めて
今のポジションを築いた人です」
「すごーい」
「そうですね」
亮は兄ように慕っている仁が誇らしかった。
「今日は楽しかったわ、御神さん
に会ってますます亮が好きになった」
帰宅途中、智子が亮に抱きついてキスをした。
「えっ?」
亮は仁と会って智子が新しく恋愛が出来ると思っていた。
「御神さんのような出来上がった
男性は劣等感を感じるから苦手」
「あああ、そうですか・・・」
「ねね、元カレとの話しやきもち妬いた」
「ええ、まあ」
亮は照れながら答えた。
「うそ-。元彼となんか会っていません。うふふ」
「くそっ!だまされた」
「お願い別れるなんて言わないで。
時期が来たらきっと相手探すわ」
「わかりました」
「よかった」
智子は亮と手をつないだ。
「その興奮で亮の部屋に行こう、
その時秘密を聞かせてね」
~~~~~
翌日、ジュディから亮に連絡があった。
「チーフの雨宮は滝沢マネージャーと
付き合っているらしいわ」
「そうですか」
亮は滝沢が独身かどうか気になっていた。
「今度うちの会社が銀座で開店する高級店
マテリアのスタッフに滝沢は独立を
理由に引き抜きを企てているらしいの」
「高級美容室を作るんですか?」




