プレゼント
「今度、早苗さんたちと食事行きませんか」
「いいわよ。いつ」
「いつですか?」
「明日でもいいわ」
「わかりました」
「何を食べさせてくれる?」
「焼肉でいいですか?」
亮はちょっと能がない自分に笑った。
「いいわ」
「7時に銀座の銀遊亭、知っていますよね」
「もちろん、知っているわよ」
「じゃあ7時に待っています」
「じゃあ、明日」
~~~~~
16時に亮はマリオンの前で紀子に会った。
「さっきのお礼にプレゼントをあげます」
「ホントうれしい」
二人は美宝堂へ行った。
「わー、凄い」
「高いのはだめですよ」
「いらっしゃいませ」
店員が深く頭を下げると亮が聞いた。
「専務いらっしゃいますか?」
「どちら様ですか?」
亮は自分の顔を知らない
店員が居た事にガッカリした。
「團亮と申します」
「あっ、失礼しました」
「はい。お願いします」
しばらくすると美佐江が出て来た。
「久しぶりね。亮」
「彼女?」
美佐江が紀子を見て亮に聞いた。
「はい。金子紀子です。よろしくお願いします」
「いや、タレントの子でTV出演の
記念にネックレスをプレゼントしようと思って」
紀子が元気に答えると亮は言い訳をした。
「若いから細くて石がついていた方がいいわね」
美佐江はニヤニヤと笑いながらダイヤモンドの
付いたネックレスを選んだ。
「これどう、0.5ct VVS1」
「きれい!」
紀子は声を上げて喜んだ。
美佐江は亮の顔を見て紀子に聞いた。
「ネームいる?AtoHって入れようか」
「Aって?」
「知らなかったんだ」
「えっ?」
紀子が不思議そうに聞くと美佐江が答えた。
「みんな”りょう”と言うけど
本当はアキラなのよ」
「そうなんだ。アキラくん」
紀子は亮の顔を覗き込んだ。
「いいよ、入れなくて」
亮がふてくされた顔をした。
「それで支払いは40万円だけど・・・」
亮は美佐江にウインクをした。
「40万円!」
「はい、サインして」
美佐江は伝票を取り出した。
「もっと安くてよかったのに・・・」
「美宝堂の息子が安物をプレゼントするなんて團家の恥だぞ!
それに彼女は人気出るぞ、私の勘だけど」
「ところで姉さん香水どうだった?」
「最高よ」
「ありがとう」
「それより、今度石がたくさん入って
くるから鑑定手伝いなさい」
「はい、はい」
美佐江が命令調で言うと亮は
おとなしく返事をした。
「この前、ジュディさんいらっしゃったわよ。
今一緒に仕事しているんでしょ」
「うん、ファッションショーの件でね」
「仕事だけ?あなたの事褒めていたわよ、潤んだ目でね」
「そうですか」
亮は気まずい雰囲気漂ったので紀子の手を引いた。
「また来きます」
美宝堂を出た亮は不思議そうな
顔をしている紀子に話しかけた。
「紀子さん、美容院へ行きましょう」
「えっ?」
亮の行動がまったく読めない紀子は首を傾げていた。
二人がヤマト美容室に着くと亮は
受付の近くにいた裕子に声を掛けた。
「こんばんは。チーフ」
「あっ亮、どうしたの?」
「紹介します。金子紀子さんです」
「タレントさん?」
「そう、今度テレビのレギュラーが
決まったからお祝いに連れて来ました」
「あっ、おめでとうございます」
裕子が頭を下げると紀子が息を呑んだ。
「あのう、雨宮さんですよね。カリスマ美容師の」
「雨宮ですけど。カリスマは大げさですよ」
「へえ、チーフはカリスマなんだ」
亮は腕を組んでうなずいた。
「ファッション誌に載っていますよね」
「ええ時々」
「裕子さんカットお願いできますか?」
亮が恐る恐る聞くと裕子は時計を見て答えた。
「いいわよ」
裕子は亮の肩を叩いた。
「じゃあ、先にシャンプーお願いします」
裕子はアシスタントの女性に指示をして
その姿はまさにプロフェッショナルそのものだった。
その様子を確認して亮はポケットから
ケースを取り出した。
「あのこれ」
亮はネックレスを裕子に渡した。
「仕事柄、ピンクゴールドにしたけど」
「ありがとう」
裕子は顔を赤らめて言った。
「あとこれ、靴」
「なーに」
「大きいなあ、25cmの靴」
「よく見つけたわね」
「美宝堂で輸入してもらいました」
「細かいなあ、気が利くし、好きよ」
「それとカット代。これでいい?」
「な~に」
「ジュディ社長に貰ったVIPカード持っているんですけど」
「そうだよね、うちに凄く貢献しているものね」
「そうでもないけど」
「そうだ、お客様にオリジナルシャンプーを
売ってくれといわれているけどどうする?」
「もちろん作りますよ。何本?」
「ええと十人」
「やった!」
亮は手を叩いて喜んだ。
「そうそう、亮、こんど松本へ行かない?」
「どうして?」
「私の実家へ行くの」
「嫌です」
亮はすぐに断った後しばらく考えて答えた。
「でも行ってもいいなあ、松本」
「本当!親に会ってくれる?」
「いやそれは・・・うちの研究所へ行って見てきます」
「そうか・・・」
裕子が寂しそうな顔をすると
シャンプーが終わって紀子が席に着いた。
裕子がカットを始めるとそのスピードと
手さばきが虜になるほどの腕前だった。
カットが終わり裕子は紀子の頭を鏡で映すと
紀子は満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。気に入りました」
紀子は自分の髪が別人のように綺麗に見えて感動していた。
裕子はレジの脇で亮に言った。
「亮、あの子とやった?」
「いいえ」
亮が言うと裕子はまじめな顔をして言った。
「あの娘、あなたの話ばかりしていたわ。
どうするの。彼女本気よ」
「大丈夫です、芸能界にはたくさんいい男がいますから」
「ばかね、あなたはまだ自分を解かっていないわ」
「ところで、裕子さん松本にいつ行きますか?」
「あさってでいい?マテリアがオープン
したら当分帰れなくなるから泊まりよ」
「はい良いですよ」
そこへ紀子が近づいてきた。
「亮さんこれからどうするんですか?」
「食事しますか?」
「エッチは?」
「無しです」
「どうして?」
「だって、せっかくカットした髪もったいないでしょう」
「そうか残念」
亮は紀子とヤマト美容室をでると
甘えるように亮の腕に抱きついた。
「何処へ行くの?」
「六本木へ行きましょう。夜景を観ながらレストランで」
「今日は色々ありがとうございました」
紀子は首のネックレスを触った。
「いいえ、お祝いと協力のお礼です」
二人は食事を始めると亮は紀子とてもかわいらしく思えた。
「そういえばめぐみさんのさっき言った
川野という人は、うちの会社の専務なんです」
「そうなんだ。川野という人、
凄い好きもの何だって。会うホテルは会社の
年契ホテルなんだって」
「そうかわかりました。ありがとう」
亮は席をはずし秀樹の秘書の中村に電話をかけた。
「中村さん。うちの会社の年契ホテル何処ですか?」
「何ヶ所か有るけど」
「川野専務のいつも使っているホテルです」
「リプトンホテル1021号室です」
「ありがとうございます」
亮はすぐに森に電話をかけた。




