影
「ううん、いなかった」
「ねね、アシスタントのお兄ちゃんが薬くれたわ、
気に入ったらいつでも薬売ってくれるって」
葉子が手に持ったMDMAを見せて笑って言った
「ここの主催者を捕まえるか?」
森が亮に聞いた
「森さん、麻薬所持なんてたいした
罪じゃないですよね」
「ああ、執行猶予だ」
亮は考えこんだ。
「今日は姿を現れませんでしたが森田と
ヘンケル製薬の関係が気になります。
ひょっとしたら新薬が絡んでいるかもしれない」
「そうなの?」
智子が亮に聞くと亮は頭にイメージが浮かんだ。
「はい、元々森田はDUN製薬の社員でした、
それが子会社のDUN製薬販売設立で本社の
営業部から出向したので本社とパイプがあるんです」
「なるほど、森田はそれを利用して何か
悪さをしていると言うわけか」
「森さん告発は後回で、もう少し調べてください」
「了解。面白くなってきた」
「正式に上に報告して調べることにします」
「おいおい、新入社員がそこまでできるのかい」
「はい、いよいよ父の出番です」
「親父さん役員なのかい」
「いえ、個人筆頭株主です。ですから会社の
利益を経営陣より考えている
んじゃないですか」
「そうか」
「ところで亮、女の子の連絡先聞いて来た?」
直子が亮に聞いた
「いや、聞いていません。もったいなかったかな?」
「大丈夫よ。みんな私に教えてくれたわ。連絡くれって」
「どうして?」
「亮が気になるんだって」
「はい」
「ねえ、お腹空いたピザ頼まない」
葉子が手を上げた。
「じゃあ、私ビール買ってくる」
智子と直子が財布を持って出て行った。
「ああ、みなさん終電があるうちに
帰ってください…お願いします」
「無理だよ。帰らないよ」
森は笑っていた。
翌朝森から電話があった。
「昨日はお疲れ様でした」
「森田のDUN製薬入社時から
物産に移るまでの経歴をくれないか」
「解かりました」
「それとパーティの日に来た男たちの
名前が知りたい、直子さんたちに
探ってもらえないだろうか」
「わかりました。父からの了解を取りましたので
継続調査をお願いします。
必要な機材ありましたら購入してください」
「ずいぶん気前がよくなったなあ」
「あはは、アシスタント必要でし
たら、雇ってください」
「ほほう」
森は嬉しくなった
「事実が見えましたので」
「それはうれしい話だ、とこで今何処だい」
「マンションの近くのラウンドワンで
ボーリングやっています」
「いいなあ、楽しんできてくれ」
「はい、ではよろしくお願いします」
「うん」
ボールングが終わると四人でケーキ店に入った。
「亮、お父さんの命令でDUN製薬に入社したの?」
智子が聞いた
「いいえ、高校時代から入社するつもりでした。
ただ、DUN製薬に緊急の出来事が起きていると言う事で
アメリカで就職しようと思っていたんですけど
卒業してすぐに戻ってきました」
「ええと・・・」
智子が首を傾げた。
「アメリカは5月卒業なので卒論を早く
提出して4月に入社したんです」
亮は簡単に言った
「はあ、凄い。やはり亮は普通じゃないわ」
葉子が言うとみんなが笑った
亮はケーキをおいしそうにほうばると
みんなが笑っていた。
「本当に亮はスイーツが好きね」
直子はそんな亮がとても可愛く見えていた
「ただ1つ食べられないものがあるんです」
「何?」
「抹茶のスイーツです。抹茶が甘いのが許せないんです」
「あら、おいしいわよ。それはただの言いがかりだわ」
智子が反論した。
「ねえ、今度みんなでディズニーランドへ行こうよ」
葉子がはしゃいでいた。
「それは無理です」
「しっ、亮にはトラウマが有るのよ、学生時代の思い出が」
直子が亮をかばうように言った
~~~~~~~
翌日、デビッドから亮の元に連絡あった。
「知人が日本転勤になって亮へ
連絡するように言ってある
一度会ってくれ。名前はロイ・ブラウン
WSO投資顧問のアジア代表
で植物燃料の件でも協力を貰っているんだ」
「了解です」
月曜日に亮は森に森田の履歴書をメールで送って
すぐに電話を掛けた。
「森さんどうですか?」
「ありがとう今から森田を張るよ。
月曜だから動き出すだろう」
「ところでアシスタントは決まりました?」
「一人良いのがいるんだが。まだ現職なんだ」
「男?」
「いや女」
「森さんの彼女?」
「いや、分かれた女房の妹」
「へえ、何の仕事しているんですか?」
「交通課だ、刑事課志望なんだが、
署長の推薦まで行っていない」
「やめさせるんですか」
「うん、交通課でくすぶっているよりましだろう」
「元奥さん怒るでしょ」
「いや喜ぶよ。女がてらに刑事なんて。今度紹介するわ」
「はい」
「亮、手を出すなよ」
「当たり前です」
森との電話を切ると美也子から電話がった
「亮、アメリカからメールが来たわ」
「ええ、本当ですか?」
「本当よ、だから会いたいの」
「ごめんなさい、昼間は会えないです」
「今日仕事が終わったら、
お店に来てプリントアウトして渡すわ」
「はい」
亮はファッションショーの準備が順調に
行っていることがとても嬉しかった。
その夜、森から再び電話があった。
「銀座の蝶ってクラブ知っているか?」
「ええ」
「森田が入っていた、高いんだろう」
「はい、高いです」
「俺は入れねえよ」
「わかりましたちょうど僕もそこへ行く
用事があるのですぐに行きます」
亮は美也子に電話を入れた。
本来店のママである絵里子に
電話を入れなければならないのだが
店を利用して情報を取る事を
絵里子は許さないと亮は思った。
「出るかな?」
10回コールして電話を切ると
美也子からすぐにかかってきた。
「もしもし、私」
「すみません仕事中に」
「ううん、大丈夫よ」




