裕子の過去
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三人が六本木のクラブグローリーに入ると
真知子ママが挨拶に来た。
「いらっしゃいませ。今井さん」
「こちら、ヤマト美容室の吉井マネージャーです」
「はじめまして真知子です。お見知りおきを」
「こちらこそ、うちの六本木店をよろしく」
吉井が真知子に名刺を渡した。
「もちろんですわ」
亮は会釈だけで済ませた。
少し時間がたつと
媚薬の効果で店中のホステスの
視線が亮に釘付けになってきて、
脇に座ったホステス初美は
うっとりした目で亮を見ていた。
「すみません、お客さんはあちらです」
亮は初美言った。
「はい、すみません」
初美は突然名刺を渡した。
「なに?さっきもらいましたよ」
初美は名刺を裏返しにすると
スマートフォンの番号とLINEIDが書いてあった
「興奮しちゃった」
初美が耳元で囁いた。
「いやー、さっきの大原君
美人でスタイルが良かったね」
突然吉井が大声で話をした。
それに対して今井がうなずいて笑っていた。
「ええ、結構社内で評判で彼氏入るだろうね、松平君」
「はあ、私は聞いていませんが」
亮は今井の質問の智子の事は何も知らない事していた。
「そうか、今度食事でも誘うかな」
吉井が智子に食指を伸ばして言った。
「ここに居ない女性の話よりも、
もっと夢の有る話をしましょう」
初美は場を盛り上げ吉井は満足していた。
帰り際に、ママの真知子は亮にスマートフォンの
電話番号を書いた紙を渡した。
「後で電話ちょうだい必ずよ」
亮は吉井マネージャーをタクシーに乗せて見送ると、
裕子から電話があった。
「会いたいの。今銀座にいるわ」
亮は今井課長に挨拶をそうそうに。
帝国ホテルの喫茶室で待ち合わせをした。
「今まで仕事していたんですか?」
メイクが落ちかけている裕子に
亮は心配そうに言った。
「ええ、指名が入っていたし」
「そうですか、お疲れさまでした」
亮が話し終えるとすぐに裕子は
席に着くとすぐに泣き出した。
「私、もうだめ」
「どうしたんですか?」
「つらくて」
「さっきとはずいぶん違いますね」
「吉井マネージャーがいたから」
「さてどうしますか。夜食でも」
「ええ、それよりお酒が飲みたい」
「解りました」
亮は態度が急変した裕子に
驚きながらホテルのバーに入った。
「私は高校時代暴走族だったの」
「そうなんですか?そうには見えないですけど」
「高校はやっとことで卒業すると大学にも行かず
東京に来ていきなり水商売。
2年間働いて一緒に働いていた
親友に誘われて美容学校へ行って
美容師になったの
二人で頑張ったわ」
「凄いですね、そして今はカリスマ美容師」
「カリスマは言いすぎよ、
たまたま雑誌で紹介されただけよ」
「ご両親とは?」
「今は上手くやっているわ、
母親には時々電話をしているし」
「そう」
裕子が周りの異様な雰囲気に
気づき亮の耳元で囁いた。
「ねえ、周りの女の子がこっちを見ている」
「そうですね」
「なんか嫉妬されそう」
「そんな事無いですけど。
それでどうして泣いていたんですか?」
「それは・・・恥ずかしい」
裕子がモジモジしていると亮は
何が恥ずかしいか分からなかった。
「休みましょうか?」
「はい」
ホテルの部屋に入ると裕子は
恥ずかしそうに亮の顔を見た。
「暗くしてね。恥ずかしいから」
「わかりました」
亮が答えると裕子は外を眺めて言った。
「綺麗!銀座の夜景もこうやって見るといいなあ」
「ええ、なんか古くて新しい、しっとりした感じがします」
「うん、古くて新しいネオンか」
裕子は涙を流し詰まった声で言った。
「抱いてください」
亮はうなずく裕子の服を脱がせベッドに倒し
感じにくくてなかなか声も出さない裕子を
苦労していかせた。
亮はぐったりとして横になった
裕子の体を見て言った。
「裕子さん、DVを受けていますね」
「ええ」
裕子は悲しそうに亮の胸に顔をうずめた。
「背中とおなか、お尻にもあざが
ありますね。彼ですか?」
「ええ、彼がストレスが溜まった時、
殴ったり蹴ったりされるの」
「それで良いんですか。それとも?」
「痛いけど、我慢している。彼が喜ぶから」
亮は彼が喜ぶからと言う曲がった
裕子の愛情に疑問を持った。
「彼を好きなんですか?」
「ううん、でも他に付き合う人いないから」
「さびしいからですか?」
「ええ、寂しい」
「彼との結婚は?」
亮は裕子の付き合っている男、
滝沢の経歴を知って
裕子に聞いた。
「彼奥さんと子供がいるから無理だと思う」
「それは彼じゃないじゃない。不倫ですよ」
「だって男性と知り合えるチャンスがないのよ、
お客さんだって女性ばかりだから」
裕子は必死に自分を正当化しようとしていた。
「そうですね」
「わたしだって、普通の女性と同じような恋
がしたいわ。でも付き合っていた人も
休みも時間も合わなくて別れたわ」
「そうか、あなたを初めて
見た時何か影があったのは
その理由だったんですね」
亮は裕子のどこか陰のある
感じはそれが理由だと感じていた。
「影?」
「ええ、なんとなく後
姿が寂しく見えたのですが」
「それは他にも理由はあると思います・・・」
「何ですか?」
「今は言えないけどいつか
話をします。松平さん彼女は?」
「いますよ」
「そうよね・・・」
裕子は期待した自分が馬鹿だった事に
気づいて泣きたくなるほど恥ずかしくなった。
「大原さんですよね」
裕子は確認を取るように言った。
「わかりますか?」
「あの場所では気がつかなかったけど。
あなたに抱かれて今わかった」
「抱かれてからですか?」
亮は抱くと何がわかるか不思議だった。
「彼女の目を思い出したの、
あなたを心から信じている目」
「はい、僕も彼女を信じています。
でも今井課長には内緒ですよ」
「内緒って社内恋愛は禁止なんですか?」
裕子は今どき社内恋愛禁止の
会社など聞いた事が無かった。
「実は色々有って・・・他にも女性が居て」
亮は他人に説明が難しい
自分の生活に笑ってしまった。
「そんな事出来るの?大原さんにばれたらどうするの?」
「大丈夫です、大原さんも知っています」




