プレゼン
「実は、私このあいだ学生時代の元彼と会ったの」
「どうでした?」
「ダメだった、私がすっかり冷めちゃっていたわ」
「でも何度か会っていれば・・・」
亮は何としても智子に恋愛をしてほしかった。
「本当に彼とはだめなの、リハビリだと
思ってお願いもう少しお願い」
「それでしたんですか?」
「S○X?満足できなかったわ。
内村に抱かれている時感じないようにしていたから」
亮が真剣な顔をして聞いていると
「ねね、その顔ヤキモチ?」
「ええ、ちょっと気になりました」
亮は智子が他の男性に抱かれて喘いでいる姿を思い浮かべ
下半身が熱くなった。
智子は周りを見まわして座ったままパンティを脱いだ。
「これ、ノーブラ、ノーパンよ」
「そのスカートの短さだったら階段で見えちゃいますよ」
「そうよ、いつも内村と会う時こうだったの」
「ねえ、やめてください」
亮は智子をどうやって止めていいか困っていた。
「まったく、こんなに誘っているのに拒むんだから・・・」
智子自分に興味を示さない亮が
自分から離れていきそうで怖かった。
「ちょっと人と会うので渋谷に一緒に行きましょう」
「このまま行っていい?」
「だめ!」
亮は智子の手を引いて恵比寿駅に向かった。
「ねね、私パンツ履いていないよ」
「えっ!」
亮は恵比寿の駅前で立ち止まった。
「早く履いてください」
「こんな所で履けないわよ」
「ですよね」
「時間が無いから見えないようにお願いしますよ」
「はーい」
智子は亮をからかっていた。
二人が渋谷駅で降りセンター街を歩くと
体から発散するフェロモンのせいですれ違う
何人もの男女が二人を振り返って見ていた。
「ノーパンばれたか?」
智子は思わずスカートを抑えた。
「いやいや、フェロモンだってフェロモン」
「亮、媚薬の効果ってこんなにあるの?」
「はい、つまり僕の作った媚薬は通常の人間の何倍もの
フェロモンを出してすべての異性の興味を引き
そしてもう一つβフェロモンを体内から発散します」
「βフェロモンて何?」
智子が首を傾げた。
「さあ、何でしょう。研究中です」
「意外と虫やネズミに追いかけられたりして、うふふ」
亮はセンター街の奥の暗渠沿いのショットバーに入った
「ねえ、誰と会うの?」
「30代の男性です」
「えっ、紹介してくれるの?」
「はい、紹介しますからパンティ履いてください」
「あっ、忘れていた」
智子はバックを持ってトイレに行った。
智子がトイレから出てくると亮とサングラスに
黒いスーツを着た男性が椅子に座っていた。
夜でもサングラスをかけているの古くは
井上陽水、横浜銀蝿、寺尾聡、
鈴木雅之、綾小路翔、TOSHIや
ATSUSHIやYOSHIKIとか
ミュージシャンのまね男か勘違い男くらいなものだ、
あるいは出勤途中のキャバ嬢
亀仙人とタモリまあ、それはない。
「お待たせ」
智子が来ると男が立ち上がった。
「智子さん、御神仁さんです」
「電公堂の御神です」
イケメンで低い声の御神に智子の心は揺れた。
「あっ、松平さんの同僚で大原智子と申します」
智子は企画営業課が連絡が取れないと言っていた
御神仁が目の前にいる事が驚いていた。
「亮、どうして御神さんがいらっしゃるの?」
「亮は僕の弟ですよ」
御神は亮の肩に腕を回した。
「えっ、お姉さんの旦那さん?」
亮の兄弟はお姉さんが二人と聞いていたので智子は
御神はお姉さんの旦那さんだと推測していた。
「いいえ、姉たちはまだ独身だし仁さんも独身です」
亮が慌てて否定した。
「両親を亡くした僕を亮の父親が養ってくれた。
子供の頃は一緒に住んでいて兄弟のように育ったんだ」
「そうなんですか・・・」
智子は両親がいないと言うどこか
影のある御神に胸がキュンとした。
「亮は子供の頃からすごく優秀で学校では
勉強もスポーツもいつも一番の自慢の弟だ」
「さて、仕事の打ち合わせをしましょう」
亮は自分の子供の頃の話をされるのが嫌で話を変えた。
「仕事って例の化粧品の話?」
智子は御神と仕事の打ち合わせと言えば
化粧品の話しか思い浮かばなかった。
「うん、亮から資料を貰ってプランはもう出来ている」
御神は自信を持って答えた。
「ええ!みんな必死になって
広告代理店向けの企画書を書いているわよ」
「なぜ代理店に企画書を書くんだ?我々が欲しいのは
基本コンセプトとネーミングの候補と
正確な情報があれば、しっかりとプレゼンをする」
御神は自信を持って答えた。
「でも、今までの広告代理店、どちらかと言うと
御神さん以外のディレクターは
企画書を要求してきたようよ」
「そうですね。クライアントが企画書を
書いてくれれば、クライアントの意向通りに
作ったと見なされて万が一の時に責任か逃れられる」
「それってどういう意味?」
「つまり思い切った企画はできないと事です」
智子の質問に亮が御神の代わりに言った。
「亮の付けたネーミング。まず化粧品pousse、
美白化粧品がperce-neige、
シャンプーがBurunaのデザインを起こしている。
後は紙媒体とテレビとインターネットの広告のプランだ」
「了解です」
「イメージキャラクター候補を
選んでおいてくれ交渉はこっちでする」
「誰でもいいんですか?」
亮は今人気のアイドルたちを頭に浮かべニヤニヤと笑った。
「ところで亮は智子ちゃんと付き合っているのか?」
御神は亮の横腹を突くと智子は嬉しそうに答えた。
「はい、付き合っています」
「えっ、えっ、えっ」
亮はなんて言っていいかわからなかった。
「おお、女性には奥手だった亮が
入社早々社内恋愛かやるなー」
御神は思わず亮の肩を叩いた。
「違うんです。僕たちまだ・・・」
「それなら、彼女に本名を教えておけよ」
「えっ?」
「あっ、松平じゃなくて團です」
亮は社内での問題があるので本名を隠していた。
「本当?うちの会社偽名で就職できるの?」
「あとで、ゆっくり説明します」
「じゃあ、これから用があるのでまたな。
そうだ亮に役立つ男から連絡があるはずだ」
御神はUSBメモリーを亮に渡すと
智子の肩を叩いて帰って行った。
「役に立つ男?」
「うん、ところで大原さん亮はとても強いから
安心して守ってもらってください」
「強い?」
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御神が外に出ると同じパブのカウンターから
黒のレザージャンパーとミニスカートを着た女が
外に出て御神に近づいてきた。
「仁、仕事が入ったわ」
「了解、亮の仕事が終わるまで日本を出ないぞ」
「分かっているわ、ある男の調査が入っている」
「なんだ?」
「日本の国会議員とアメリカの製薬会社の不正取引です」
「そうか、亮も危ないな」




