亮の秘密
「絵里子さん内村は?」
「私の店に誘ったら大喜びだったわ」
絵里子が笑うと亮も計画通り進んだのが
うれしくて笑っていた。
「あはは」
「必ず来るって言っていたわ、小物ね、あの人。
ノコノコ来たら自分の会社の社長と会っちゃうわよ」
「それはまずいですね?」
「ええ、やはりあなたが最高よ」
絵里子はとろけそうな眼差しで亮を見つめた。
「それより食事に行きましょう。
私がごちそうするから
ハイアットのトロワグロ?パークハイアットの
ニューヨークグリル?」
「ニューヨークグリルがいいですね」
レストランの席に座ると絵里子がニコニコして言った。
「内村ね。○春組織やっているのよ。
でも五島商事には関係ないようよ」
「そうみたいですね、僕も五島商事の木島葉子さんから
情報を取りました」
「どうやって情報取ったのかしら」
「すみません」
亮は絵里子に頭を下げた。
「うふふ」
亮は絵里子の笑いの意味がわからなかった。
「絵里子さんってそんなに有名なんですか?」
「うちの店は大企業のトップから政治家まで出入りするのよ
私のコネクションは半端じゃないわ」
「そんなに」
「私と関係あるなんて凄いのよ。ふふふ」
「ありがとうございます」
「だから貢いであげるって言ったでしょ」
「いりません。いつかきっとそれを上回って見せます」
「でもね。亮はいつも私の事を
愛してくれているじゃない。
だから何かして上げたいの」
「ありがとうございます」
亮は絵里子の手を握った。
~~~~~
焼肉屋にいる智子と内村は無口だった。
「おい、今日も下着を着けていないだろうな、
スカート長いぞ」
智子の太ももをなでて股に手を入れた。
智子は内村に嫌悪感を持って拒否をしていると
内村は不機嫌になった。
「もっと股を開け」
智子を怒鳴りつけた。
「内村さん、許してください」
「ん?」
「もう就職のお礼は十分したはずです。私はもう24歳だし普通の
男女のお付き合いがしたいんです、お願いします」
内村は返事をしなかった。
「もしだめだったら、今の会社辞めます」
智子は焼き肉を焼きながら涙を流していた。
内村は智子の意を決した
言い方に気づき答えた。
「お前を待っている間に凄い女性と
知り合ったんだよ」
「凄い女性ですか?」
「銀座のクラブ蝶のママだよ、
それにMっぽい美人看護師口説いているところだし」
「Mの看護師?」
智子は予定にない女性が登場したことに驚いていた。
「ほら俺のよく行く新橋病院。すげ~美人の看護師で、
今日から勤めだした池田直子って女、俺に気があるみたいで
食事に誘ったらすぐにOKだった」
「そうなんですか」
智子は直子が力を貸してくれた事に気づいた。
「智子帰っていいよ。もう連絡しないよ。
長い間ありがとう」
「ありがとうございます」
あっさりと答える内村に智子は
頭を下げて急いで店を出た。
「バーカ、手切れ金も無しか」
智子は早歩きで新宿駅に
向かいながらつぶやいた。
「直子さん手伝ってくれたんだ、
ありがとう、絵里子さん、亮」
そして智子は亮に電話をした。
「そうかよかった。今絵里子さんと食事しています」
「代わってくれますか?」
絵里子がスマフォを受け取った。
「智子さんおめでとう」
「ありがとうございます、絵里子さん」
智子と絵里子が少し話してスマフォを
切ると絵里子が嬉しそうに笑った。
「亮、直子さんアシストしてくれていたみたい」
「よかった」
亮は作戦通りに事が運んでホッとした。
「亮。私お店行きますね」
「え、ええ」
亮はもっと絵里子と一緒に居たかった。
「そうそう、亮がくれたあの薬効いてきたみたいで
仕事楽になったわ」
「わかっています、
十分まわり男が次々に振り返っています」
「そうね、でも女性も振り返っているわよ」
亮と絵里子は店内を見渡すと店中の
客の視線が二人に注がれていた。
~~~~~
木島葉子の情報で内村が売○斡旋を
していた事がわかってきた。
内村は五島商事の人事部の立場を利用し、
様々な大企業の美人OLに
売春を強要し手数料を稼いでおり、
木島葉子は会社の命令で動いていた
事実はなかった。
「内村を警察に告発すると木島葉子達さん達に
売春の容疑がかかるし
会社の名誉にかかわるから報告だけしておきます」
亮は絵里子に説明をした。
「誰に報告するの?」
「絵里子さん、お願いです五島商事の
社長に手紙を書きたいんです」
「そんな事、お安い御用よ」
「必ず読んでもらいたいんですけど」
「じゃあ、秘書課長の長瀬ちゃん宛てに書くと良いわね」
絵里子は腕を組んで言った。
それから数日後、内村は香川県高松支店の
営業部に転勤になった。
五島商事の迅速な処理は、以前から内村に噂があり
内部調査を始めている矢先に、亮の丁寧な文章と
内容が決め手になっていた。
内村の毒牙にかかった気の毒な女性は
いったい何人いたのだろう。
それを思うと亮は気が重かった。
シャンプー
一週間経ってジュディから亮のところへ
連絡がありとりあえず
直営店20店舗と美容学校と短大で
使用すると言う返事だった。
「今晩開けておいて」
ジュディは小声で亮を誘った。
亮は食事に誘われ新宿のハイアットホテルの
レストランで待ち合わせた。
「私だけでいいんですか?契約に上司を連れて来なくて」
「良いのよ、あなただけで契約は
できるんでしょう。團亮さん」
ジュディは亮の本名だけではなく
家族の事を知っていた。
「どうして僕の本名を知っているんですか?」
「あなたは二年前ニューヨーク・コレクションで私の
宝石を取り戻してくれた。御礼がしたくて
日本人の青年だけと言う
手がかりしかなかったけど、あまりにも
簡単にわかったので驚いたわ」
「別に御礼なんて、たまたまボストン警察の
フレイザー警視と一緒に宝石泥棒の
手配犯を追っている時、ニューヨーク・コレクションを
開催している
リンカーンセンターでジュディさんのネックレスを
取った犯人と出くわしただけです」
「あなたボストン警察と関係があるの?」
「ええ、留学時代日本人被害者と捜査の通訳をやっていました」
「どうりであの時、日本人だけに声をかけていたのね」
「はい」
亮はジュディを覚えていないふりをしていたが実は
ジュディだけではなくネックレスの重さ、
ネックレスに付いていたダイヤモンドの数まで覚えていた。
「あなたのご両親とお姉さまとミラノコレクションと
パリコレクションでお会いした事もありますよ。
でもご子息がいるなんて話題に出なかった」
「あはは、僕はこっちの勉強ばかりしていて
父の商売の方には関係ありませんから」
「跡継ぎではないの?」
「はい、僕より優秀な姉がいましたから」
「でも、お医者さんにはならなかったんでしょう」
「はい、良い薬があれば良い医者も生まれる。
そう確信したので製薬研究の道に」
「確かにそうだけど、それならお医者さんになって
薬を作ればいいんじゃない?」
「医薬分業お互いの分野に立ち入ってはいけないんです」
「そう、知らなかった。てっきりお医者さんが
薬を作っていると思っていたわ」
「あはは、確かにお医者さんに開発の手伝いを
いただいていますけどね」
「偽名まで使ってどうして製薬会社の
営業の仕事をしているの?」




