客引き
美也子は優しく琴乃を見つめた。
「作戦会議終了、僕は今から客引きです」
亮が立ち上がると気合を入れた。
「頑張って亮」
みんなが大きな声で見送った。
~~~~~
亮は今までより強力な媚薬を
飲んで新宿東宝ビルの前に立った。
すると行きかう女性が何度も
振り返って通り過ぎて行った。
そのなかの一人の女性が近づいて来た
「あなたどこの店?」
「ルイです」
「名前は?」
「亮です」
「後で行くわね」
「はい、お待ちしています」
亮は頭を下げた。
すると亮を気にしていた女性たちが次々に
亮に近づき名前を聞いていくのだった
そして一人の女性が亮に
近づきいきなり腕を組んだ。
「私今から行くわ」
女性の友人がもう一人亮の腕にしがみついた。
「ではお店にご案内いたします」
亮が二人の女性を連れてお店入って声を上げた。
「お客様案内いたしました」
亮がそう言うとホスト達が
驚いてお酒の用意をした。
亮の指名は時間が経つにしたがって増え
席間を走り回っていた。
そして9時過ぎにはジュディがやって来た。
「いらっしゃいませ。ご指名は?」
入り口でマネージャーが声をかけると
ジュディは微笑みながら答えた。
「亮さんお願いします」
「はい」
時々テレビで見るジュディが
亮を指名したので入り口いた
店長の佐藤が怪訝な顔をした
奥のボックスに座ったジュディに亮は挨拶した。
「いらっしゃいませ」
「忙しそうね、亮」
「はい、ちょっと立て込みまして」
「はい、裕子さんに聞いて売り上げの協力に」
「はい、すみません」
「頑張って」
それを見ていたオーナーの相川が挨拶に来た。
「いらっしゃいませジュディ様」
「こんばんは、以前どこかで?」
「いいえ、ヤマトグループの総帥の
お顔誰でも知っています」
「ありがとう、素敵なお店ですね」
「はい、恐縮です。
まもなくうちのNo.1が来ます」
相川は亮では役不足と思い徹を勧めた。
「いいえ、結構です。亮がいいわ」
ジュディが帰った12時を過ぎには
クラブ蝶の絵里子ママと
クラブ華の順子ママがやって来た。
「お久しぶり相川さん」
順子ママが相川に声をかけた。
「ご無沙汰しております、順子ママご指名は?」
「亮ちゃんお願いね」
「え?亮を知っているんですか?」
「うふふ」
席に案内された二人は亮を眼で追っていた。
「やはり亮は光っているわね」
順子は嬉しそうに言った。
「はい。今日で入店2日目なのに、
クルクル回っているわ」
「でも、ホスト仲間にいじめられそう」
「大丈夫よ彼なら、あさってには
リーダーになっているわきっと」
「そうね」
亮が二人のところへ来ると慌てて頭を下げた。
「いらっしゃいませ!」
「亮さんお久しぶり」
順子が亮の手を握った。
「お久しぶりです。順子さん」
「今日は立場が逆ね」
亮が言うと順子は笑って
立っている亮の手を握った。
「あはは、わざわざいらっしゃらなくて
いいんですけど・・・」
「あら、せっかく遊びに来たのにじゃま?」
絵里子が皮肉った。
「いはいえ、そんな事無いですよ。
先ほど話しをしていましたけど
オーナーとは知り合いなんですか?」
亮は順子に聞いた。
「はい、彼が現役の頃私たち遊んであげたのよ」
順子が答えると絵里子が相川の話しをした。
「それから相川さんは歌舞伎町の
ドンの飯田さんが可愛がっていて、
このお店をオープンしたのよ」
「そうなんですか」
亮は相川の裏事情を知っている二人に驚いた。
「はい、その時からのお付き合いよ」
「とこでここの店、高校生を客にしたと
言って評判が悪いんですが」
亮が小さな声で話をした。
「それは変ね、相川さんはまじめな男よ」
絵里子が相川をかばうように言った。
「はい、僕もそんなに悪く見えなんですけど・・・」
「料金もリーズナブルなのでお店の娘にも紹介したのよ」
絵里子が言うと亮はすぐに聞き返した。
「美也子さんにも?」
「そうよ」
絵里子はルイを美也子に紹介したこと
アダになっている事に
気づいていなかった。
「悪いのはあのマネージャーの男かしら」
順子は入口に立っている男の方を見た。
「分かりますか?」
亮は順子に体を寄せた。
「私達この道のプロよ。
良い男と悪い男の違いは分かるわ」
「はい、わかりました」
亮はママ達の言葉を信じる事にした。
まもなく徹が店に入ったが
客の反応が少なかった事に徹は憮然とした。
「どうした?あんなに客が
居るのに俺の客が居ないのか!」
「はいほとんどが亮の客です」
「なに?あいつは今日で2日目だぞ」
「はい、あいつは今日一番に外に出て客引きをして
客を連れてきたんです」
「じゃあ、今一緒にいる二人の女性は?」
「銀座のクラブのママだそうです」
そこへ相川は佐藤を連れて来た。
「おい徹、亮がどんなに人気があっても手を出すなよ。
あの二人は銀座のクラブ華と蝶のママだ」
「はあ、はい」
徹は超有名な銀座のクラブの
名前を聞いて嫌な顔をした。
「佐藤」
相川は佐藤を睨んだ。
「はい」
「新店の件でしばらく顔を出さなかったが、
随分悪い評判が立っているぞ。
高校生を店に入れたか?」
「い、いいえ」
佐藤の顔色が変わった。
「もしそんな事をしたら
逮捕されるのは俺だからな」
「はい、解かりました」
佐藤の額から汗が流れ落ちていた。
~~~~~
亮はその夜、電話で絵里子と話をした。
「絵里子さん順子さんが話をしていた、
歌舞伎町のドンの飯田さんて?」
「飯田さんがドンとは知らないけど
飯田さんは知っているわ」
「絵里子さんの知っている飯田さんは?」
「金融業をしている人よ」
「そうですか、順子ママはオーナーの
相川さんは歌舞伎町のドンに
可愛がられていたと言っていましたよね」
「はい、飯田さんと明日会うことになっているから
聞いてみましょう」
「絵里子さんその人から情報を取ってきてください」
「あら、あなたも行くのよ」
「えっ」
~~~~~
翌日午後3時に亮たちは新宿
東宝ビル脇のビルの5階へ行った。
「ここが金融業の事務所ですか?」
「そうよ、歌舞伎町専門のね」
「専門?」
「はい、ホストやホステスにお金を貸して
独立するお手伝いをするの、
あとでお金をたっぷり取るけどね」
そこへ二人が待っていた応接室に
60歳過ぎの女性が入ってきた。
「やあ、お待たせ」
「お、女?」
亮はつぶやいた。
「お久しぶりです。黒崎さん」
女は絵里子と握手をした。
「こちらは、松平亮さんです」
絵里子が亮を紹介した
「よろしくお願いします」
亮が頭を下げると飯田はすぐに反応した。
「飯田です、いくら金が必要なんだ。
あんただったら好きなだけ貸すぞ」
飯田は亮の顔を見たとたんに張りのある声で言った。
「すごい、飯田さんがすぐにって言うなんて」
絵里子が驚いていると飯田が笑った。
「うんうん、私もはじめて言った。あはは」
「いえ、僕は・・・」
亮はオドオドしていると絵里子が弁解した。
「飯田さん、亮は違うの」
「残念だ、いい素材なんだがホスト
でもクラブのオーナーでも」
「私もそう思う、うふふ」
絵里子も飯田に同意して笑った。
「そうだろう、黒崎さん」
「飯田さん、絵里子でいいです。
黒崎は亡くなりましたから」
「ああ、そうだったね」
「亮は私の好きな人です」
「そうか、絵里子さんにも彼が出来たか、
良かった、良かった。それで相談と言うのは?」
亮は徹の話をした。
「ああ、その男なら以前来たな。
店を出したいと言って兄貴と一緒に」
「それで?」
亮は飯田に顔を寄せて聞いた。
「断った!」
「そうかやつらが金が欲しいのは、
店のオープン資金か」
亮は徹が女性を脅してお金を
取る魂胆が見えた。
「飯田さん、それと裏DVD業者に知り合いはいますか?」
「いるよ、元締めが」
「会ったばかりで申し訳ありませんが紹介してくれますか?」
「いいよ、連絡しておく」
亮が頼むと飯田は機嫌よく答え住所を教えた。
「お願いします」
亮と絵里子の二人は頭を下げて立ち上がった。
「絵里子さんちょっと」
飯田が絵里子に声を掛けた。
「亮先に行っていて」
「はい」
亮は先に1階へ降りた。
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「絵里子さん、預かっている
お金だけど。どうする?
彼と一緒になるなら返した方がいいかな」
「いいえ、一緒になるつもりはありません。
お金の方もまだ」
「いつでも言ってくださいよ、
もう10倍くらいに増えているからね」
「はい」
「ところで、亮君の今の仕事は?」
「ルイでホストをやっています」
「嘘だろう」
「実は・・・」
絵里子は今までの経緯を話した。
「分かった。でも、あの亮君。凄いわ」




