琴乃と接触
「そうか、金が欲しいのか」
「借金は2千万だそうです」
「使えそうだな」
「えっ?」
徹は裕子のボックスに挨拶に行くと
改めて挨拶をした。
「裕子さんはどうしてうちの店へ?」
「うふふ、業界では有名ですから」
「どんな業界ですか?」
「美容師です」
「え?美容師さんですか、美しい」
美容師は男性と接する事が無いので
ホストクラブの客に多い。
美容師でも店長クラスになると
100万円台の収入になるので
ホストクラブに言わせるとカモだ。
「はい、ありがとうございます」
徹は裕子が金を持っていることが
解ってニヤリと笑った。
そして、徹はお気に入りの智子
に向かって話を始めた。
「では、あなたも?」
「はい、私は製薬会社に勤めています」
そう言ってミニスカートの
長い足の股を少し開いた。
「そうなんですか?足が綺麗なの
でモデルさんかと思いました」
「ありがとうございます」
「智子ちゃんの婚約者は
会社の跡取り息子なのよ」
「うふふ」
裕子と智子はわざと徹の前で演技をした。
一方、亮と琴乃は徹の話しを続けていた。
「見て徹は私を完全に無視しているわ」
「今日のところは帰って明日話しをしましょう」
「はい」
二人は連絡先を交換して琴乃は帰った。
~~~~~
亮は更衣室で哲也に声を掛けられた。
「今日は随分頑張ったな」
「ありがとうございます」
「あまり調子に乗るんじゃねえぞ」
哲也は亮の胸ぐらをつかんだ。
「はい」
「先輩の客を盗ったらただじゃすまねえぞ」
「はい」
「客は自分で連れて来い」
「はい」
亮はおとなしく頭を下げた、
確かに哲也の言っている事は正しいが
やはり言い方に腹が立った。
その日の夜、亮は絵里子に電話を掛けた。
「今大丈夫ですか?」
「うん、帰ったばかり。お疲れ様、
亮嫌なことあったでしょう」
絵里子は亮の態度で何か有った
事を気づいた。
「はい、わかりました?
胸ぐらつかまれました。
客を取るなって」
「プライドの高い亮が良く我慢しているね」
「まあ、仕事だからしょうがないですよ、
それより徹の方お願いします」
「任せといて」
「悔しいから明日からは客引きをします」
「銀座のママたちにお願いすればいいのに」
「でも、お金のかかる事だから」
「そうね」
絵里子は気遣いある亮を素敵に思った。
~~~~~
その日、亮は夕方4時に新宿西口の
ホテルで琴乃と会った。
「昨日はありがとうございました」
琴乃は頭を下げた。
「いいえ、こちらこそドンペリを頼んでいただいて」
「私本名は『石橋琴乃」と申します」
琴乃は名刺を渡した。
「石橋物産ですか?」
「はい」
「ひょっとしてあの石橋工業
グループ会社ですか?」
「はい」
「それは凄い」
「実はそれが私の負担なんです」
琴乃は三人の姉妹の末っ子で長女は結婚して夫は
九州の工場長になっており次女は商社マンと結婚し
アメリカに住んでいた。
そこで父親は琴乃に会社を作り
経営者教育をしていたのだった。
「厳しいですね、良くわかります。
僕もそうですから」
「亮さんもなの?」
「あっ、いいえ」
亮はDUN製薬の名刺を出した。
「松平亮さん、一流企業じゃないですか。
どうしてホストなんか?」
「色々事情があって」
亮はなんて言って良いか悩んだ。
「借金?」
「まあそんな所です、それより琴乃さんお相手は?」
「まだ、独身です。どうして?」
「はい、もし旦那さんがいて僕が琴乃さんの周りを
ウロウロしていると
迷惑をかけると思って・・・」
「大丈夫です、彼もいません」
「すみません、失礼しました」
亮は失礼な質問を申し訳なく思った。
「ううん、その件も相談に乗ってください」
琴乃初めて笑顔を見せ
亮は琴乃の笑顔がとても素敵に見えた。
「さて、販売会社と言うのは?」
「ここです」
琴乃は亮に名刺を見せた。
「JP通販常務取締役高田健次、テレビでCMを
やっている会社ですか?」
高田健次は大学時代に遭遇した事件の
高田義信の父親だとすぐにわかった。
「はい、そうです。リラクゼーションマシンは
元々エステサロンチはいンの
IBCに売っていたんですけど、
徹に紹介された高田常務が5000台の
買取を約束してくれたの」
「なるほど、通販会社の5000台
買い取りはかなり条件がいいですね」
「それで・・・・・・」
琴乃は急にモジモジとし始めた。
「高田常務と関係を持ったんですか?」
「はい、それだけじゃなくて徹と三人で・・・」
「分かりました。それでビジネスの方は?」
「それがいざ契約となったら、
受注発注で原価の30%で納品なの」
「在庫は持たないという訳ですね。
完全に約束が違いますね」
「はい、しかもTV通販をするから映像制作費
制作費5000万円を請求されて、
それにメーカーへの商品代金の支払いが
来月だし困っているの」
「それでCMは放送されたんですか?」
「それがまだ」
「それは怪しいですね、製作費5000万円は高すぎです」
「はい、でも」
「なにか?」
「徹に苦情を言ったら、
あの時のDVDを父親に見せるって・・・」
「はあ、DVDか」
そう言って亮はコーヒーを飲み干して時計を見た
「琴乃さんお時間は?」
「大丈夫です」
「質問があります」
「はい」
「徹を憎んでいますか?」
「はい」
「わかりました。今から僕の仲間が来ます、
そしてこれから話すことは他言無用です」
「はい、約束します」
亮は立ち上がり森に電話で琴乃の経緯を話した。
すると智子と裕子と美也子と
森と早苗がそろってやってきた。
「お疲れ様」
亮がみんなに声をかけると裕子と智子は琴乃に気づいた。
「あら、昨日お店に居た方」
「はい、あっ向かいに居た方ですよね」
琴乃も裕子と智子に気づいていた。
亮は琴乃をみんなに紹介した。
「美也子さんこちらの石橋琴乃さんも
徹の被害者です」
「琴乃さんも動画を撮られたんですか?」
美也子が琴乃に聞いた。
「えっどうして知っているの?」
「徹の被害者がたくさん居るようなんです」
亮は琴乃の疑問に答えた。
「そうなんですか?亮さん」
琴乃が亮の顔を見た。
「はい、残念ながら。みんなそれをネタに
お金を取られているんです」
「私、どうしよう」
琴乃が不安で目に涙を浮かべていると
亮は琴乃の肩を叩いた。
「琴乃さんちょっと聞いていてもらえますか?」
「はい」
琴乃が返事をすると亮は森に聞いた。
「その後どうですか?」
「素人の投稿物を販売している会社や
裏専門の販売業者も大久保の方にあるらしい」
直子が聞きつけていた。
「私の情報ではルイは以前から評判悪かったし
女子高生も店に来るらしいわ」
美也子が続いて答えた。
「えっ?それって犯罪じゃない」
早苗が言った。
「じゃあ悪さしているのは店全体という事ですか」
亮が推理すると智子が昨日のホストの執拗な
迫り方に思い出しゾッとして言った。
「あそこのホストは客と寝て
売り上げを上げているんでしょうね」
「そうよすぐ客と関係を持つわ、
それと女子高生風の子も何度か見ているわ」
琴乃は言った。
「僕の方で歌舞伎町に詳しい方にルイの
オーナーについて調べても貰います」
「それで例のホストの徹は本名は本田徹、
江戸川高校中退恐喝で補導されている。
兄貴が山田組の構成員だ、典型的な不良だな」
「そうですね」
昔から徹を知っていた亮はどうやって
ルイのナンバーワンになったか想像が出来た。
「俺はルイの前で張り込んで女子高生を
補導して証拠をつかむか」
森は亮に言われて調査の段取りを考えた。
「徹から恐喝を受けている女性はすでに二人居ます」
「そうか、もう一人プラスで三人欲しいなあ」
森が三人居れば警察が動けることを言いたかった。
「琴乃さんは?」
「でももし失敗したら父にばれてしまいます」
「そこなんだよ、難しいのは」
森がテーブルを叩いた。
「犯罪の助長させるのは被害者が
警察を信用していないからないんです。
そうですよね、森さん」
「ああその通りだ」
「分かりました、私は亮さんたちを信用します」
琴乃に信用すると言われて亮は嬉しそうに笑った。
「じゃあ原さんにお願いして内定を
始めてもらいましょう」
「原さん?」
琴乃は知らない名前を聞いて首を傾げた。
「僕の友人で警察庁の警視です」
「ところでここの仲間と亮さんとは
どんな関係なんですか?」
「私たち亮に助けてもらった仲間なんです」
直子が大きな声で言った。
「みんな?」
琴乃は不思議そうな顔をした。
「お、俺は違うぞ!BLじゃないぞ」
森は首を振った。
「その内、理解できると思いますよ。琴乃さん」




