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グッド・ジョブ媚薬 1部  作者: 渡夢太郎
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ホスト

「でもちょっとだけお買い物したいなあ」

葉子は残念そうな顔をすると亮はなぜかホッとした。

「ねえ、みんなで旅行しない

仙台じゃのんびりできなかったから」

智子が体を乗り出してみんなに声をかけた。


「わあ、行こう行こう。森さんや早苗ちゃんも一緒ね」

葉子が亮に抱きついた。

「それって団体割引になりそうですね」

亮は葉子の腕が首に回って苦しそうな顔をしていた。


「ところで亮、DUN製薬の取締役にならなくていいの?」

智子が亮の顔を覗きこんだ。

「とんでもない、まだ若い僕が取締役になったら

会社の秩序が乱れます」


「でもあの器具を発明したのは亮でしょう?」

美也子は亮の功績を認めないDUN製薬が腹立たしかった。

「はい、特許使用料が5%入ってきます。

卸価格が1730円その

5%で87円50銭なんです」

亮は嬉しそうに笑った。


「なんだそれしかならないのか・・・」

葉子がつまらなそうな顔をすると

亮はその販売予定数が年間200万個とは言えなかった。

「みんながいつまでも綺麗でいて欲しいから

ヒアルロン酸風呂を開発中です」

「なんか効果がありそうね、私達実験台?」

直子は自分のウエストをなでおろした。

「はい、まあ」


~~~~~~

夜の8時半新宿の歌舞伎町のトーホーの前には

夜を楽しむたくさんの人たちが歩いていた。

智子が立っていると黒服の男性が声をかけてきた。

「ねえ、待ち合わせ?」

「はい、まあ」

「ホストクラブに来ない?」

男はため口で話した。


「今から行くところ」

「どこ、どこ?」

「ルイです」

店の名前を聞くと舌打ちをして

吐き捨てるように言った。


「そうか、決まっているのか。

あそこは高くて評判が悪いから気をつけなよ」

そう言って男は離れて行った。

そこへ裕子が歩いて来た。


「お待たせ」

「どうして裕子さんにはあの男達近づかないんだろう」

智子は不思議になって裕子に聞いた。


「私は男が近づいてくると睨みつけるからかしら、うふふ」

「そんな事ないわよ、裕子ちゃん綺麗なのに・・・」

智子が首を傾げていると裕子は智子の肩を抱いた。


「さあ、行きましょう」

クラブルイはトーホーの裏の奥まったビルの2階に有り

ドアを開けるとホストたちの声が聞こえ、

店内はきらびやかに光っていた。

裕子と智子が座ると、案内したホストが

ブランド品で身を着飾った裕子の姿を上から下まで見ていた。


「ご指名は?」

「今日初めてなの新人さんが良いわ」

「かしこまりました」

カウンターの奥から背の高いがっちりしたホストが歩いてきた。

「あっ、かっこいい」

「当たり前よ」

裕子が笑うと亮が二人に頭を下げた。


「いらっしゃいませ、亮です」

亮は丁寧に挨拶をすると智子は声を上げた。

「あっ、亮気がつかなかった」

「あはは、言っていませんでしたね」

「いつから?」

智子が聞くと亮はテレながら行った。


「今日からです」

「やはり、亮はホスト向きね、すぐにNo1になれるわ」

裕子が言うと智子は心配そうに亮に話した。

「でもホストの新人いじめってひどいらしいわよ」

「それも計算の上です」


店中の女性客とホストの目が三人に向けられているのに

気づいたのはすぐだった。

「おい、向かいのお客さんが呼んでいるぞ」

先輩のホストが亮の耳元で言った。


亮は向いにいた30歳近い女性は

四人掛けの大きなボックスで、

まるで女王様のように両側にホストをはべらかしていた。

「お呼びいただいてありがとうございます、亮と申します」

亮は深々と頭を下げた。


「脇に座って」

女性は右脇に座っていた研二を立たせ、

亮を座らせた。

「この野郎新人のくせに」

そう言って研二は亮をにらみつけ他の席に移動した。


「お客様、なんとお呼びしたらいいでしょうか?」

「琴乃よ、あなたいつから?」

「今日からです」

琴乃はタバコを咥えていると

亮はそのタバコを優しく取り返した。

「琴乃さんタバコは控えましょう」

「どうして」

怒ったように言った。


「今胃腸を痛めていますね、ちょっと下痢気味でしょう」

「なによ、感じ悪いわね」

そう言って琴乃は亮の持っているタバコを取り返した。

「ホストは奴隷じゃありません、

優しさと気使いでお客さんに尽くすのです。

ですから体を大事にしてください」

そう言って亮は立ち上がって席を立とうとした。


「待って、ここにいてあなたを指名するわ」

亮は裕子の様子を見ながら座った。

裕子の席には三人のホストが座っていて、智子は

亮の方を見て笑った。

「ありがとうございます」

「ごめんなさい。ちょっとイライラしていたから」

琴乃は亮に素直謝った。


「お仕事の事ですか?」

「はい」

「会社の経営は大変ですからね」

「えっ、どうして知っているの私の事」

「はい、まずその足の組み方は普段パンツスーツを

着ていることが多いですね」


「はいそうです」

「言葉に強さがありますから、

かなりの責任を持って仕事をしていますね。

 もし琴乃という名が本名でしたら。

見た目と行動は気が強いはずです。

でも内心はとてもデリケートで繊細です」


「はい、その通りよ・・・」

「そして、アクセントに英語的な部分があるので

貿易関係の仕事をしているのではないですか?」

「はい」

琴乃は不思議な顔をして返事をした。

「うん、しかも手が美しいので

美容器具の輸入じゃないですか?」

「はい、パーフェクトです」

琴乃がすっかり亮に心を許すと亮は英語で話を始めた。


「この店は良く来るんですか?」

「はい」

「すごい、英語が話せるのね」

「はい」

「毎週末に来るわ」

「お金大変でしょう」

「はい、でも私が会社の社長と言っても

実際は父に作ってもらった会社だから」

琴乃が目を曇らせると亮はそれを察し質問した。


「あなたは悩みがありますね」

「あるわ、実は父に内緒で輸入した

新しい美容器具が売れなくて・・・」

「それっていい物なんですか?」

「はい、枕元に置いているだけで肌のシミが取れる機械よ」

「それなら売れるんじゃないのかな?」

「実は・・・・・」

琴乃は二人のホストの目線を気にした。


「大丈夫、二人は英語出来なさそうだけど」

今度は亮はフランス語で話し始めた。

「フランス語はわかりますか?」

「はい、分かります」

琴乃は目を丸くして亮の顔を見た。

「続けてください」

亮は手を差し出した。


「実はここのホストの徹に相談したら販売会社を紹介されたんだけど

販売する代わりに先に広告宣伝費を出せと言われてしまって

それを徹に言ったら、それは自分に関係ないって言われたの」


「そうですか。あなたのような知的な女性が

だまされるなんて気の毒です」

「それより、あなたのような語学に堪能な

男性がどうしてホストをしているの?

仕事が無いならうちの会社に来て」


「とにかく、その件僕が何とかします」

「えっ、本当ですか?」

「信用していただけないなら別ですけど」


「信じます。3カ国を話せるホストなんていなもの」

亮は他にドイツ語と中国語と

ロシア語が話せるとは言えなかった。

「では、日本語に戻します」

「はい」


「琴乃さん凄いですね、フランス語が話せるなんて」

「はい、私は第二外国語がフランス語だったんです」

「そうですか」

「亮さんは?」

「僕はフランス映画が好きだったので、あはは」


亮はまた裕子と智子の席に戻った。

「亮、あれじゃ先輩に嫌われるわよ。英語で話しちゃ」

「そうですか・・・」

亮はなぜ嫌われるか理解できなかった。


そこへ、真っ白なスーツを着た徹が入って来た。

店は一瞬静まりかえりホスト達は一斉に立ち上がりまるで

国王の入場のように道を明けた。


「おはようございます」

ホスト達の声が響くと客達が声を上げた。

「徹!!」

亮は頭を下げたまま顔を上げずにいると、

徹は投げ捨てるように言った。


「新人か?」

徹が聞いた。

「はい、よろしくお願いします」

亮がまた頭を下げると

徹の目には亮の肩越しに裕子の姿が見えた。


徹はそのまま裕子のほうへ向かって歩いて行って

徹は白い歯を見せて笑った

「いらっしゃいませ。徹です、お見知りおきを」

「はい、裕子です」

裕子は答えた。


徹は奥の部屋に行くと研二に聞いた。

「今日の俺の客は?」

「5組です」

「あの新人どうだ?」

「それがしっかり先輩を立てて接客もなかなかです」

「ふん」


「琴乃さんが奴を気に入ったようです

がどうします?」

「そうか、良かったあの女めんどう

くさいことになっているから、

ちょうどいい。あいつに押し付けておけ」

「はい」

研二はまるで軍隊のように

背筋を伸ばして徹の話を聞いた。


「それとあの裕子と言う客どうだ?」

「はい、なかなかいい物を持っていますから、

いい客になりそうです」

「あれは素人かな?」

「たぶん」

「それより隣に居た女は俺の好みだ、店に出るぞ」

「はい」

徹と研二が店に出ると亮は琴乃とドンペリを飲んでいた

「おい、あいつ本当に新人か?」

振り返って研二に聞いた。

「はい、証券会社勤めで株で穴を開けて借金を返すために

うちに入って来たんです」


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