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お題シリーズ

間違った場所 悪女

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2021/02/21



 私には夢があった。


 友人にも夢があった。


 その輝きは、かけがえのない宝石だった。


 とてもまぶしくて美しかった。


 だから、間違ってしまったのだろうか。





 国の一番有名な場所。白の塔では、聖女が育成される。

 魔王に対抗するための、純粋無垢な存在を育てる場所。


 聖女はとても素晴らしい存在。

 誉れある仕事をこなす、人類の宝だ。


 だから、荒れたこの国の中では皆が、そんな素晴らしい聖女になりたがった。


 聖女になれるのは女性だけ。

 だから、女性として生まれたものは、ほとんどが同じ夢を持つ。


 女性達は誰もがライバルで、同じ夢を志す仲間だった。


 それは私のあの子も例外ではない。


 親友がいた。

 夢を語り合った。

 手を取り合って、一緒に頑張ろうと約束した。


 励ましあった。


 だから、今までずっと努力してきた。


 聖女が使う聖魔法の練習をいっぱいして、知識もたくさん学んで。

 白の塔行きの切符を手にするために、お金もためて、二人で試験に挑んだ。






 けれど。聖女見習いになったのは、あの子だけだったから。


 私は、旅立つあの子を見送る事しかできない。


 すぐに追いかけるから、と言って私は手を振った。


 でも、努力でなんとかなるものではなかった。

 聖女の適正は、たくさんの修練と勉強でのびたりするわけではないから。


 一緒に夢、叶えたかったな。


 私はここで、諦めればよかった?






 どうしても諦められなかった私は、お金の力を使って白の塔へ向かった。


 聖女ならば行わない方法で。


 こんな行為をしたって、駄目なものは駄目だと分かっているのに。


 たどりついた白の塔で見た人物、あの子は輝いていた。


 誰よりも、美しく、強く、気高く、清かった。


 一番の聖女になれるのはあの子だろう。


 一目でそう直感した。


 けれど、だからこそ、抑えていた嫉妬心が燃え上がった。


 あの輝かしい光景を、見てしまった。


 多くの人に敬われ、微笑むあの子の姿を。


 燃え上がった嫉妬の火に、よく燃え上がる薪がくべられてしまったら、あとは灰になるまで燃え続けるのみ。


 ここで、冷静に我が身を顧みればよかった?








 私は、感情のままに行動した。


 嫌がらせをした。


 濡れ衣をきせた。


 ある事ない事を、言いふらした。


 上司に、部下に、友人にも同じ事をして、輝く彼女の姿をくもらせようとあらゆる手をつくした。


 けれど、叶わなかった。


 手が届かない程の高みに上ってしまったあの子。とうとう私は追いかける事ができなくなった。


 スタートラインは同じだったのに、どこで間違ってしまったのだろう。


 私は、ズルして上った階段を突き落とされて、無様をさらす。


 きらびやかに輝く夢の階段。


 長く長く続く階段の下で、彼女を見上げる事しかできない。


 ここで、私は悟れば良かった?

 分を思い知ればよかった?







 嫉妬に狂った私は気が付いたらナイフを手にしていた。


 あの子に向かって降りあげるナイフは、とても危ない凶器だというのに、ひどく軽かった。


 あの子を愛する者達に阻まれ、返り討ちにあった私は、牢に繋がれる事になった。


 誰か教えてほしい。


 不相応な夢を抱いた事?

 自分の実力を把握できなかった事?

 友人の栄誉を祝福できなかった事?

 胸の内の感情を押し殺せなかった事?


 私は一体、どこで間違えたのだろう。




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