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女騎士ローズ-3

火口に辿り着いたローズはその熱さと魔力に息苦しさすら感じていた。


「う……、これはきついな。魔力障壁の魔術すら破られるだろう」


服の裾を破り、口に当てる。それだけでも大分マシになるとカルザ達から聞いていた。もし行くなら多少の知識を持っておけと言われたから仕入れておいたことだ。


そんな対応をするが、ここに居ても赤い羽根とやらが現れる様子はない。ここから先に何か必要なものでもあるのだろうか?。

というか知性を持つといはいえ災害獣だ。気まぐれだとしても納得できるものはある。


そんなことを考えていると火口から昇っている黒煙がほんの少しずつだが小さくなっていく。目の前で様子を見ているローズだからこそその違いが分かった。


そして火口を回りながら降りるような道が現れた。なるほど、分かりやすい。これを降りていけということだろう。


「何だってやってやる。ジルクのためだ」


ローズは火口への道を歩き出す。だがすぐに膝をつくことになった。


「こ……これは……!?」


意識はしっかりとしている。魔力が奪われている感覚もない。つまりは正常な状態でいるということだ。

だが気力が恐ろしく削られる。一歩踏み出すだけで大きな目標への一歩目を踏み出すような感覚だ。それが連続して続いている。

それは言うなれば歩けば歩くほどに、見える目標が見えなくなり、見えない目標がさらにどんどん遠ざかっていくような感覚。それでもなお踏み出せる気力があるのかと問うているかのようだ。


しかも歩かなければ少しずつ熱が魔力を奪いかねないという環境。これほどの過酷さはヤギの時とは比べ物にならない程だ。


「ジルク……私、頑張るから」


だがヤギの時は想い人を助けられなかったという後悔がローズの歩を進めさせる。

想い人を助ける。たったそれだけの目標と思い歩むもそれですら気力が削がれる。が、ローズの気力は削がれても削がれても再び湧き上がる。


気力と、少しずつ魔力が削がれていく環境下、不屈の想いでローズは歩く。何度か倒れ、意識を失いかけたことさえ起きる。だがそれでもローズは立ち上がる。

こんな絶望で起き上がれないのならシアに吹き飛ばされた時点で死んでいる。その絶望の経験がローズにほんの少しの耐性を得させていた。


「一歩……次……」


そして魔力が尽きかけるほどに歩いた頃、熱で身体も消耗し火口に入る前とはまるで違う姿のローズの目の前に、道の底が見えた。


「ここ……から…」


ローズが顔を上げると、そこには小さな赤い蝶が一匹舞っていた。

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