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冒険者ジルク-13

「んん」

「しかし随分と可愛くなったものだな。服装変えたら別人と言ってもおかしくないぞ」

「ローズ……? あれ、幻……?」

「起きろっ!」

「あだっ!?」


ローズの拳骨がジルクの頭に振り下ろされ、眠っていた頭が現実に引き戻される。

ずっと助けのない極限状態にいたから自分の目が信じられなかった。幻と言われた方がまだ信じられる程に。

眠る前の最後の記憶を思い出す。確か……ローズが降ってきて、ドラゴンが死んで、ヤギが現れてローズがヤギと何か交渉してた。あたしに不利な内容じゃなかったはず。

そしてあたしにローズもついてくることになった、というところで記憶は終わってる。寝ていた土のベッドからしてローズがしてくれたのだろう。


「えーと……ローズ?」

「ああ」

「本物?」

「なるほど、これは寝言だな?眠っているならそう言え。もう一度拳骨を落としてやるからな」

「本物だ……なぁっ!?」


もう一度拳骨を頂いて本物だという確信を得る。幻ならもっと自分に都合よくなるはずだ。少なくともこんな厳しく当たるようにはならないだろう。


「寝る前は覚えているか?」

「ローズがヤギに何か交渉しかけてるとこまで」

「なるほどな。やはり疲れと……奴の影響で一部記憶が抜け落ちているな。それからのことを簡単に言うと、私がこちらまで運んできてベッド作って寝かした。それだけだ」

「なるほど。……記憶ってのは?」


気にかかったことは何でも聞く。冒険者として当然のことだ。一つの情報漏れが命に関わることになるなんてことがよくあることなのだ。情報共有は可能な限り行った方がいい。


「予想だがな。奴との交渉していたとき、奴が未来予知と記憶改竄ができると判断した。そして一番奴と時間を共有しているお前の記憶が一番改竄されてそうだな、と」

「……それは」


あり得ないといいかけるも、何も確認してない以上言い切ることはできなかった。


「心当たりがあるか? 記憶の中を確認してみろ」


ローズの言葉にあたしはコクリと頷く。

まずはここまでやってきた理由だ。あたしとカルザ達で4人……?3人だったか?のパーティーで町を出て、岩山地帯に向かった。依頼が理由だったっけ。

次に行動は……先行調査とか無かったからあたしが魔術で階段を見つけた。そして一度戻ろうとしたら出口に罠が仕掛けられてて、ヤギがいる広間に飛ばされた。

その後は明確に覚えてる。ヤギがあたしとパーティーの他の面子を天秤にかけて、あたしが他の面子を助ける選択肢を選んだ。あたしが皆を気絶させて、だ。


それからはミノタウロスと戦って、サキュバスと戦って、オーガたちと戦って……ドラゴンにやられた。


おかしなところはない、……のか? あたしがあたしの記憶を信じられないとは言えないけど、改竄されているなら信じられるのはどこだ?。


「顔見るだけで分かるな。やはり改竄の可能性は十分にあると」

「あ、えっと……そうですね。改竄されてるかは分からないけど……やられててもおかしくないかなって違和感はある」

「十分だ。ならば改竄されていると仮定して戦う他あるまい。……戦闘技術は?」

「条件次第ではむしろ強くなったかと」

「ふむ?」


ローズに今までの戦闘について話していく。ミノタウロス、サキュバス、オーガたちとの戦い。そしてそれをどうくぐり抜けてきたのか。生命力による身体強化が強くなったこと、魔術による身体強化は感性侵食が進むため使えないこと。洗いざらい話した。


聞き終わったローズは溜息を一つつき、あたしの頭を撫でてきた。


「よくやったな。その戦闘は本来お前一人ならどうあっても負けて、死に至る戦闘だったろう。それをくぐり抜けたのは奴が仕組んだからじゃない。お前が選んだ選択が間違ってなかったからだ。そうじゃなければ今頃お前は奴のモノになっていただろう」

「ローズ……」


思わず涙が溢れる。こんな風に称賛されることなんて滅多にないこと、憧れの人からそう言われたことが重なり、その感情が眼に現れていた。

ローズはあたしを抱き寄せ、ポンポンと頭を優しく撫でる。


「泣け泣け。ここなら他の誰も聞きはしない。……奴は聞くかもしれんが、構わないだろう。記憶を読まれて泣かされるかもしれんぐらいなら、今全部吐き出した方がマシだ」

「ローズ……ローズッ!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


それからあたしは泣きに泣き続けた。ここまでの辛いことを全て吐き出すかのように。


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