2.5
夏樹のクラスメイト、史郎の独り言を
白田まろんさまに書いていただきました。
ありがとうございました。
オレ史郎。
名前はしろうじゃなくてふみおって読む、夏樹の友達だ。
バイトに入ってきたやばいヤツって気にならないか?
オレは気になる!
今回はその話をしようと思うんだが……
ソイツはひょろっと背が高くて細くて、遠目にはいい感じのオトコなんだ。
きっと女子ならわぁって思うに違いない。
ところが、だ。
わざわざ遠目って断り入れたのにはワケがある。
顔がさ、ちょっと残念な感じなんだよ。
もう二十歳過ぎてるのに五分刈りで、ってまあそれはいいんだけど
その髪型なのに厳つい感じが全然しねえの。
普通ほら、大人の五分刈りとか丸刈りってちょっと近寄りがたい雰囲気じゃん。
でもソイツは違う。
まるでギャグマンガの脇役なんだよ。
主人公じゃなくて脇役ね。
ま、それでも見た目は本人にはどうしようもないところだからこの際置いておくとして、だ。
「この前姫にコクった」
「ひ、姫?」
「そしてフラれた」
「はぁ……」
「その前はマドンナにコクった」
ライク・ア・バージンのあのマドンナですか?
古いって言うな。あれ名曲だぞ。
「いや、近所のデイルーストアの店員さん」
デイルーストアってライバル系列のコンビニじゃん。
「え? じゃ姫って?」
嫌な予感しかしない。
「スーパーのレジ係のコ。可愛かったな~」
よくよく聞いてみるとこの人、好きになった女の子を
姫だのマドンナだのと呼ぶことにしてるそうだ。
お嬢様とかお姉様なんてのもあったらしい。
そしてこれまでコクって玉砕した相手は二十人以上。
って、年齢と同じくらいかそれ以上ですか?
もちろん年齢=彼女いない歴とのことだった。
もっともこれだけなら非モテの可哀想な人ってなるだけなんだけど。
彼はシュー何とかレスリングという格闘技をやっているらしい。
話をするとその格闘技のことか女の子のことばっか。
でもって仕事は出来ない。
商品の陳列を頼んでも箱を開けてそのままほったらかしてドリンクの補充をしたりする。
それも指定された場所にちゃんと補充してくれないから結局こっちが後でやり直す羽目になる。
缶コーヒーコーナーにペットボトルのお茶を並べたりするんだぜ。
しかも前面全部ペットのお茶、二列目以降が缶コーヒーって、頼むからワケ分からないことしないでくれよ。
まじだりーって分かってくれたかな。
あ、夏樹のヤツが女の子追いかけて行っちまった。
この変わった方の存在、なんと9割実話だそうですよ。笑