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「リサ、人が話している時は、こっちを見た方がいい」


ギムナジウムという、日本で言うところの中学校と高校を合わせたような機関であるドイツの学校に通い始めたのはこの四月からだ。


12歳の自分の身に起こったことにまだ実感が湧かず、ぼんやりしがちだった私にドイツ語で忠告してくれた女の子、それが。


「あ……、そっか、ごめんなさい」


アニカだった。


私にはドイツ人の母がいるものの、小学校卒業まで日本で育ったことから控えめさが無意識に仕草に染み込んでいるのか、今まで会話中に一切そらさずに相手の目を見続けようなんて思いもしなかった。


「いいのよ、こっちのことをいろいろ教えてあげるわ」


アニカ、あなたって人は……。


親に捨てられたも同然の心細い私に、まるで恵みの雨を降らせてくれているかのようで。


アニカの言葉を青い目で受け止めきった後に、空を仰いだ。


夏樹くん、私は今、あなたが住む世界からこんなに遠く離れた、地の果てのようなところに来てしまいました。


夏樹くんが唱えてくれる魔法の呪文、もうきっと永遠に、聞こえない。

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