出会い
リリィの同居宣言にのぼせそうな頭で必死に理解しようとする鬼雨。そして――
「あ、なるほどな。冗談か! ……さて、上がるか」
と、勝手に結論づけて、上がろうとすると腕を掴まれた。
「おい、離せよリリィ。これじゃあ、のぼせちまうじゃねーか」
「あのね! もう一度言うけど、ボスがもう一緒に住んじゃえ! って♪」
お互いに全裸なので直視できないが、ちらっとこと見えた胸がなかなかいい形だったなぁ。
「って、何考えてんだよ俺! ……もういいとにかく上がる」
そう言い残して扉を閉めた。リリィが湯船に浸かったのから、ザブーンと水が溢れる音がした。
「くそっ、初日からこれかよ……もう寝るに限るな」
ジャージに着替えてら軽く食事を取った後、ベットに付いた。ちょうどリリィも上がってきた。
「俺はもう寝るから、お前も自分の部屋に行って寝ろよ」
リリィはピンク可愛いで花柄のパジャマを着ていることを確認した。
「はーい! おやすみ〜♪」
と言う声を聞いてベットに入る。疲労がピークに達したのか、瞼が落ちる。
こうして、鬼雨の長い1日が終わった。
「にひひ、起きてないよね〜♪」
目が覚める。時間は午前の8時。昨日の疲れのせいか、体がやけに重い。否、昨日の疲れではなく本当に重い。なぜなら――
「リ、リリィ〜! なぜ、お前がここにいる!」
すぐ隣で寝ているリリィのほっぺたをつねって起こす。
「ほぇ……あ、鬼雨、おはよぉ〜」
呑気に挨拶だ。そんなことよりもそれに格好がやばい。
「なぜ、お前がここにいる! そして、全裸なんだ! 昨日のパジャマ着てただろ!」
まだ、起きていないのか、瞼が開いていない。頬を引っ張り、待つこと3分。ようやく目がされたと思ったら、いきなり怒鳴ってきた。
「だ〜か〜ら、昨日言ったでしょ〜! 同居します〜って! それに、お互いに体を密着させた方が温かいじゃない〜♪」
鬼雨はリリィのアホな発言に朝から頭を悩まされる。
「とにかく、服を着ろー!」
朝食を済ませて軍服を着る。胸ポケットが2つ、そしてボタンが縦に5つ閉める用に付いていた。
リリィもちゃっかりと済ませていた。
ボタンが縦に5個ずつ、左右に付いている黒色の女性用軍服。金髪というだけあって黒が良く似合う。
これで目のやり場に困らないと思うと、ようやく安心出来る。用意を済ませて、ボスの部屋に行った。
「ようやく来たか。他の者はもう出ていっているぞ。お前達がラストだ」
「そんなことよりも、同居ってどういう事だよ!」
ボスの肩を掴んで、必死に揺らして訴えかける。
必死さが伝わったのか、やれやれといった感じだが説明してくれた。
「もともとリリィは誰にも懐かなかったんだ。だが、お前には懐いた。それだけだ……いい加減、離せ。そして、諦めろ。私にもどうすることもできん」
こうして、鬼雨の1日が始まった。
「では、飛んでもらう。こちらで全て用意してある」
「は? 飛ぶ? 何のことだ?」
訳がわからず鬼雨は首を捻る。
「昨日言っただろ。飛ぶと……まぁ、いい付いてこい」
「言っねえよ!」
言われるがままについて行くと、全てが真っ白な部屋に到着した
「なにもらないんだけど……って、うわっ!」
床だけが下に降りて地下に着く。着いた先、目の前にはジェット機が1台あった。
「まさか……こ、これで行くのか?」
「そのまさかだ」
バチバチとした音がするので、鬼雨は振り向くと意識が飛んだ。ボスがスタンガンで鬼雨を気絶させていた。すぐにリリィに指示を出した。
「今のうちだ! 乗せろ」
鬼雨が眠っているあいだに淡々と作業が進められる。シートベルトを閉めて準備が完了した。そして、この時点で鬼雨はようやくが目を覚めた。
「って、いつの間に! う、動けねぇー! てかこれ、誰が操縦するんだ?」
「この島を見張っているガーゴイルだよ〜♪ 」
隣にまたしてもちゃっかりと乗っているリリィが答える。
操縦席から紫色の手が出てきて、グッドの合図を出てきた。
「では、行ってこい。なに心配はない。すべてリリィに任せてある」
「え、あ、ちょっと! それ、心配だらけなんですけど!? ちょ、ちょっと……ボス! ボーーーーースーーーー!!!!!!」
最後の言葉を言う前に出発した。5秒後にはすでに空にいて、島が全体的に見えた。火山の近くには湖があって反対側には大きな建物があった。恐らく刑務所だろう。
「ここは島だったのか……おい、リリィ。これからどこへ向かうんだ? リリィ」
「着いてからの秘密〜♡」
そして、乗ること約20分。
操縦席で操縦してたガーゴイルが片手で合図をしてきた。
初めは5本、4本、3、2、1。で、親指を下にやって、降下された。
「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!! あ、あ、あのやろー!! 上空から落としやがって!!!」
席に座ったまんま落とされたので、シートベルトを外さないと行けないが、なかなかうまくできない。
そんな中、リリィは――
「あはははは! 楽しいね〜鬼雨♪」
「何ふざけたこと言ってんだよ! これ、死ぬぞぉぉ!」
本気で助けを求めてるが、全く相手にしてくれない。
「頭部の後ろにボタンがあるから、それを押すとパラシュートが開くよ〜♪ 」
言われた通りに押すと開いた。が、出てきたのは花だった。
「欲しかった物これじゃねぇー!!!! 」
そのまま落ちてゆく…………と、思いきや止まった。空中で止まったのだ。
「一体なにが!?」
全身が青く光っていた。リリィを見ると、人差し指を指している。そのまま吸い寄せられるようにリリィ近ずいた。
リリィの方はしっかりとパラシュートが開いており、ゆらゆらと揺れている。
「これはなんだよ、リリィ」
「どう? すごいでしょ! 世にも珍しいサイコキネシスだよ! それよりも、もうすぐ保てなくなるからこっちに移って!」
急いでシートベルトを外し、リリィに飛びついた。
お互いに抱き合ってるようで恥ずかしい。女の子が持つ特有の匂いと柔らかい胸が、当たって変に緊張する。
「あ、もうすぐつきそうだよ〜♪」
そのまま揺れて、草がたくさん生えている平地に落ちる。
平地に立って目にしたのは――
「あれは……なんだ?」