本当の気持ち
リリィが目を覚ましてくれた。それだけで良かった。
だが、話を聞く限り、また自殺を犯しかねない。そんな予感しかなかった。それと同時に助けたかった。この気持ちがなんというかは知らないが、助けたい。その思いでいっぱいだった。
「……リリィ、お前を助けたい」
「は、ははは……何それ? 何様のつもりなの!? いい加減にしてよ。どうせ裏切るつもりのくせに!」
リリィの言葉はどこか乾ききっていいる。まるで希望を持たすなと言わんばかりに……。
「リリィ……」
「近寄らないで! 私のこと嫌いなくせに!」
だんだんとリリィの目から涙が流れて来ている。溢れ出てくる感情がもう制御出来ないのだろう。
「そんなことない!」
「嘘よ! だったら証拠見せてよ!」
そんなこと言われてすぐに出せるものではなかった。
否、正確には1つ以外を除いては……だ。
実行するのが今だとわかる。気持ちもそう言っている。これは理屈では理解できない感覚だ。体が勝手に動く。
リリィの方に体を近づけ、目を手で無理やり抑えた。
「ちょ! なにするの!」
「大人しくしていろ」
そして、すぐさまリリィにキスをした。
柔らかい唇と血と涙の味だった。これまで幾度か唇を重ねてきたが、自分からしたのは初めてだ。そして、ここまで出来たのは改めて――
「リリィ、好きだ。お前が白夜叉の娘とか関係ない。……好きだ」
「な、なんで……うぐっ、うう……うううう……うわぁぁぁ!!!」
「お、おい! どうした!?」
リリィがいきなり泣き出した。突然の出来事なので狼狽えてしまったが、落ち着いて見てみると、不安を抱えていた女の子が安心して泣いているだけだ。
だったら、やることは1つだ。
「怖かったんだな……俺はお前を見捨てたりはしない」
「うわぁぁぁぁぁぁぁあああああ!」
優しく頭を撫でてあげた。すると、こちらに飛びついて、さらに大泣きになった。おかげで服がびしょびしょになるほど濡れたが、そこまで嫌な気持ちにはなれない。
「よしよし、辛かったな」
「ひぐっ……ひぐっ」
大泣きして15分、ようやく泣き止んだ。泣いた後がしっかりと残っており、ボロボロだ。
「ねぇ、鬼雨」
「ん? なんだん?」
「ほんとに私のこと好き?」
上目遣いでこちらを見てくる。反則だろと思ってしまう。
「あぁ、好きだよ」
「じゃあ、もう1回……して?」
九尾を迎え撃つまで残り12時間という時に、俺はパートナーであるリリィを慰め、本日2回目のキスをした。




