動き出したストーリー
うっすらと意識が戻った。相変わらず視界はボヤけて頭は働かない。近くで女の声がする。
「ーーーだからーーーー! ……そうじゃなくて! ーーーー 」
なにを話しているのかわからず、すぐさま視界が真っ黒になり、再び眠りに落ちる。
目が覚めると、高さは3m程ある見知らぬ天井、いつもと違う手すり付きのベット。5m先には扉がありる。周りにはバイタルを図る装置と点滴。それ以外は何もない。
鬼雨の腕でには細い管が付いており、先には点滴と繋がっていた。
「こ、ここは? ……どこだ?」
起き上がろうにも、視界が歪む。意識が飛びそうなのを、振り払って起き上がる。床の冷たさが、足の裏からしんみりと全身に上がってきた。
「冷てっ……ッツ……」
そのままゆっくりと起き上がり、辺りを見回す。そこでようやく気がついた。
「……あれ? 痛くねぇ……確か腹のあたりをえぐり出されたはずなのに……どうなってやがる!? 傷の1つもついてねぇ!」
よくよく見ると、少し体つきも変わっていた。少し痩せた代わりに、筋肉がついているのがわかる。
「いったい、どうなってるんだ? 俺の身体は!」
その時、扉の向こうからノックがなった。
「その答えは私から説明しましょう!」
突如、扉が開かれ、人が現れた。
少女で、金髪のツインテール、ついでに目も淡い黄色。胸もふっくらと実っている。何より一番の印象は、背中にまるでコウモリの様な翼が小さく生えていた。
「あ、やっぱりめんどくさいな……まぁ、詳しくは後で話します。まずはボスに会いましょう!」
いきなり過ぎてなにがなにかわからない。
少女は、混乱したままの鬼雨の腕を引っ張って、連れていこうとする。
「ちょ、ちょっと待てって! 引っ張るな! 点滴が危ねぇ! 針が入っているんだぞ」
「あぁ、そうでしたね〜。そのまま動かないでください♪ 」
少女は人差し指で、鬼雨の腕を指す。すると、鬼雨の腕が青く光を放ち始めた。そして、鬼雨の腕から点滴の針がゆっくりと抜かれた。
それと同時に──グギッ。
「うぉぉぉぉ! 痛ってぇぇ!! お、お前、なにした!? 」
見ると鬼雨の人差し指がよからぬ方向へ曲がっている。
「サイコキネシスですよぉ〜サプラーイズ♪ やった〜上手くいった♪」
少女は、その場で可愛らしく小さなガッツポーズをした。そして、異常なのが彼女だけではないと気が付いた。
「曲がったはずの俺の指が……治っている!?」
「だ〜か〜ら〜! さっきも言いましたけど、あなたは吸血鬼です! まぁ、いいや。とにかく、ボスに会いに行きましょ♪ 」
少女が、この部屋を出ようとしたところで、こちらに振り向いた。
「あ、そうだった。コホン! 名前は……まぁ、いいや。とにかく、あなたを我らの組織へ歓迎します♪」
少女はかすみと似たような笑顔で、ニカッと笑って言ってきた。