フォロ ロマーノ
まだ、空は明るいが若干だが、太陽が傾きオレンジ色になっている。そんな中、リリィがプンスカと怒りながら歩き、鬼雨はその後からついて行く。ムスッと怒りながら歩くこと約10分。
ついにリリィに限界が来た。
「もー疲れた! 鬼雨、おんぶして! お・ん・ぶ!」
「さっきまでの元気はどうしたんだよ……」
「そんなもの、知らない!」
今日1日中、ずっと動き回っていたせいで、鬼雨だって疲れている。足の踵が痛い。もう、正直動きたくないのが本音だ。そういう時、頼れる乗り物はひとつしかない。
「やっぱりタクシーに限るな」
「い、いや! もう、酔いたくない!」
「だったらサイコキネシスで少しだけ自分を浮かせば酔うことはないだろ?」
「あ、そっか! 鬼雨、頭いいね!」
意見が通ったところでタクシーを呼んだ。再び、リリィは行き先を言い、約30分ほど乗ると到着しそうだ。
風景をゆったりと楽しんでいる間、リリィのサイコキネシスが途中で切れてしまい、再び車酔いに悩まされていた。
「うぅ〜やっぱり無理〜」
「たぶん、もうちょっとだから我慢しろ」
そして、5分後にようやく着いた。リリィを即座に下ろして、お代は先程と同じように済ませた。
リリィを探すと正座を崩したような体制で座り、両手は地面に着いている。顔ももちろん下に向いており、今にも吐きそうだ。
「だ、大丈夫か?」
「うぅ〜もうちょっと待って……」
さっきの薬の効果がまだ残っているのか5分ぐらいするとすっかりと元に戻った。
「では、リリィ。説明を頼む!」
「ここはねぇ〜『フォロ ロマーノ』だよ〜」
古代ローマ時代の遺跡。廃墟っぽい雰囲気だが昔にどんなか事が起こったかが容易くイメージできる場所。
昔過ぎて周りには苔や雑草などが、多々生えているが今は太陽が沈みかける時間のせいか、周りがオレンジ色に染まり、有名な観光地からデートスポットになりつつある。
「すげぇな、初めはボロいと思ってたのに……それに不思議な感じがする」
「ここは昔からある場所ですから、霊力や妖力といった力が溜まるスポットとして私たちにも有名なんですよ」
ちゃんと練習してきたのか、スラスラと言葉が並ぶ。説明もわかりやすく丁寧だ。
「調べてきたのか?」
「馬鹿にしないで! ちゃんと調べてきたよ!」
最近、怒りっぽいような気がするなと思いつつ、リリィを見ると手がもぞもぞとしていた。
「…………手を繋ぎたいのか?」
「え?……あ……うん」
不意をつかれたように驚き、そして、コクンと頷く。夕焼けのせいでまたしても顔は見えないが、今、どんな顔をしているかわかる。
お互いに顔は見れずに手だけが時々当たる。手を繋ぐのにコロッセオほど時間はかからなかった。
「繋げたな」
「繋げたね……ねぇ、回ろっか……」
「そうだな」
柱に乗って鳩が2人の行動に満足して帰るように空へと飛んでいった。




