サン・ピエトロ大聖堂
これで何度目だろうか。リリィの発言に再び脳が追いつかない。太陽がちょうど真上に来る昼頃、リリィはニコニコしながら言葉を発する。
「……待ってくれ、リリィ。俺たちのいる組織は1つじゃないのか?」
「そうだよ!確かに……全部で5つあったかな?」
「随分と多いな!ちなみにこの下にあるのはなんだ?」
「ええっと……確かに第3支部だったかな?」
つまりは第1支部から第5支部まであるということだ。それを聞いて鬼雨はさらに疑問に思う。
「だったら、俺たちのいる組織はいくつなんだ?」
「私たちの組織は……第一支部。立場的に言うと総司令部だよ」
「……まじかよ……」
もう、頭が追いつけなくなってきた。
(もしかして、俺はとんでもない所に所属してるんじゃないか?)
そんな、不安がよぎる。だが、それをかき消してくれるのもリリィだった。
「さて、鬼雨! じゃぁ、次に行こっか!」
「寄らなくていいのか?」
「え?……だって今はデートを楽しみたいんだもん♪」
鬼雨はリリィのこういう所は見習わないといけないと思いながら、コロッセオという古代の遺産の感じを二人で楽しみながら1周した。
軽く昼食を取り、再び電車に揺られること約2時間。時刻はおやつの時間。そして、到着地点はかの有名な人サン・ピエトロ大聖堂だ。
まだ、入口まで300mほど距離はあるが、かなり大きい。入口には8つの柱があり、7つのあなたがある。そのうちの入れそうなのが5つあった。
コロッセオと同じく、10分かけて、到着した。さすがと言うべきか顔を上げたら首が痛めてしまいそうなほど大きかった。
「一体、何mあるんだ?」
「パンフレットには乗ってないね」
「とにかく入るか……」
リリィはうんと応える。もちろん、手は繋いだまま。ほんの少しだけリリィに違和感を感じる。普通に握っているのに、ここに来てさらに握る力が強くなったように感じた。そんな些細な疑問はすぐに飛んでゆき、目の前の光景に圧倒された。
「へぇ〜〜すっげぇな!」
「だね〜!なんか神秘的〜!」
そう言いながらも少し冷や汗をかいていた。やはり、具合が悪そうだった。
「大丈夫か、リリィ。少し休むか?」
「ううん、平気。ありがとう、鬼雨」
そう言いつつも、顔色が悪い。少しずつ休息を取りながら進むことにした。
それから1時間かけて周り、ようやく外に出た。
リリィの顔色は嘘のようにすっかりと元通りになり、元気になった。
「大丈夫なのか?」
「なんか教会がダメっぽい……心配してくれてありがと〜」
時刻は夕方。鬼雨とリリィのデートはまだ続く。




