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吸血

  リリィは荷物をまとめ、鬼雨を担いで旅館から出る。


「もう、ここにはいられない!」


  村を出るとまた森だ。それでも行くしかなかった。さらに南に進む。やけに森は静かだった。


  しばらく歩いたが、リリィも女の子だ。村からは離れたが灯りが、ぼんやりと見えるほどしか離れていない。


  それでも鬼雨を担いで移動する。


「はぁ……はぁ……鬼雨……」


  少し休もうと大樹のそばに鬼雨を降ろす。

 すぐに異変に気がついた。


「そんな! 傷が……治ってる?」


(ソレハ僕ノ能力ダヨ!)


  突然、鬼雨の体が光だして声がした。

 何のことか分からなかったリリィだが、肩の紋様が強く光を放っていることから推測は出来た。


「あなたなのね、子供のユニコーン! ……じゃぁ、鬼雨は生きてるのね!」


(ソウダヨ! ソレト僕ノ名前ハ『レクリア』ダヨ!)


「そう、ほんとうにありがとう。鬼雨が死んじゃったら、私……ほんとに……」




  この日、鬼雨は心の中で白夜叉を殺した。


「これで、俺は吸血鬼か……」


「そうだ! これでお前も吸血鬼だ! 我が同胞よ」


  死んでいるはずの白夜叉がいきなり喋り始めた。


「……なぜ、生きている? 俺は確実に息の根を止めたはずだ」


「ハハハ……そう簡単に死ぬものか。それより、お前は行かねばならん場所があるだろ?」


 白夜叉の言葉を聞く。まるで呪文を受けたかのように心臓が熱くなってきた。


「もう、目覚めの時間だな」


 鬼雨は殺そうとしたが体が蝕む。次の瞬間、意識が飛んだ。


  ──ドックン、ドックン、ドックン──

  鬼雨はこうして目が覚めた。


「ここは……いったい?」


  ふと、顔を下げる。リリィが大粒の涙と鼻水を少し垂らしながら鬼雨の顔を見つめている。


「鬼雨! 鬼雨!!」


  名前を呼びながら抱きしめる。わけが分からず、混乱するが、リリィの首筋を見ると衝動が掛け走った。

 それは本能に逆らえないぐらい強烈なものだった。


 ガブッ。


「あぁぁぁぁ! ……き、鬼雨、い、痛い! 痛いよぉ!」


 鬼雨はリリィの首筋に噛みつき、血を吸った。

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