今日のラストミッション
日がもう落ちそうな時に戻ってきたら、リリィがレクリアといっしょに寝ていた。
「まったく、こんなところで寝てると風邪を引いてしまうな……。たしか、南に降りたところに街があったな」
リリィを起こそうとしたら、涙が出てきた。
突然、大声で──
「待って!お母さん! 置いてかないで!」
自分の寝言が大きかったのか、嫌な夢から覚めるためなのか、リリィが目覚めた。
「お母さん! ………ん……ここは……? あ、鬼雨……おはよぉ〜」
あんなに激しく叫んでたのにまだ、寝ぼけている。
「あ、起きたかリリィ。だんだん冷えて来るから、移動するぞ。レクリアは親に預けよう。もう大丈夫だろ」
親のユニコーンがこちらを見張っている。それに、レクリアの角は復活した。つまり、もう見放されることは無い。ただ、親のユニコーンは角が……。
「あと、リリィ。いつまで泣いている?」
「えっ? …あ……。えっへへ、これでももう大丈夫だよ〜。それよりも私、お風呂入りたーい!」
涙を拭って無理やりやる気を起こしているようにも感じたが、リリィの意見が今回は魅力的に感じた。
「だな、俺もクタクタだ。行くぞ」
南の街に向かった。崖から見た時は小さな光だと思ったが実際にはかなり賑わっていた。
特にバーや酒屋といった酒場がかなり盛り上がっている。それに負けず劣らずにお酒の回った大人があちこちで喧嘩をして暴れていた。
「ここ、ほんとに大丈夫なのか? ……とりあえず、宿を探すか」
程なくして、宿は見つかった。
ここで、判断を間違えた。リリィが部屋を予約を任せた。
「これで、何の問題もなくなりましたね♪」
「いや、いやいやいや! 問題ありすぎるだろどう考えてもおかしいだろ! なんで、同じ部屋? しかもベットが1つだけしかねぇーんだよ!」
「だって……安いじゃん! それに部屋の交換だとお金が足らなくなっちゃいます!」
リリィにしてはまともな反論だった。
鬼雨は頭を抱えながら考えた結果、
「はぁぁぁぁぁ……なんでお前はいつもそうなんだよ……もう、いい。わかった、それでいく」
今回はリリィから先に風呂に入らせてきちんと服を着てもらい先に寝てもらう。これが今日の鬼雨のラストミッションだ。
もちろん、なんなく済ませるはずもなかった。