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史上最強のボディビルダーが食事制限に失敗して死んじゃったと思ったら転生した。  作者: チバ テツロー
第一章:ボディビルダーと魔法使いの国
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金剛、乗り込む

いつの間にかにブクマが5に!

有難うございます。

これからも筋トレ頑張ります!

デイシーと共に城までやって来た金剛。

城門に近づくと、馬に乗った城の兵士が近付いてきた。


「デイシー、来ちまったのかよ……」

「このまま逃げるわけにはいかないっすから。それに話せばわかってくれるかも……」

「バカだなぁ。ボンダがそんな奴じゃないって知ってるだろ?」

 デイシーは返事をせずに苦笑いをする。


「手配書まで作るとは奴はそうとう怒っているようだな」

「おう、師匠さんよ。それはもう怒ってるぜ。だが、あんたならなんとかしてくれそうな気がするから不思議だ」

 金剛はにやりと笑った。


「俺はアンタらが来たら城の中に連れてくるように言われてるんだ。縛ってでも連れて来いって言われてるんだけど……」

「その必要はない」

「だよな。じゃあついてきてくれ」

 そう言って、兵士は馬を操り城の中へと入って行った。

 その後をデイシーが操る馬車がついて行く。




 案内された部屋は広かった。

 そして、中に入った途端に数多くの視線が突き刺さった。

 その中でもとりわけ憎悪のこもった目線を金剛に投げかける男がいた。


「待っていたぞコンゴ―……」

「ボンダ……だったな」

 金剛とボンダがにらみ合っていると、咳ばらいが聞こえた。


「さて、じゃあ真ん中まで来てくれるかな」

 その言葉と共に、金剛とデイシーは部屋の真ん中の低い位置に連れてこられた。

 周囲からその場所を見下ろすような設計になっており、沢山のローブを着た男達が金剛を高い場所から見下ろしている。

 どうやら裁判のようなものが始まるようだ、と金剛は思った。

 



 先ほど、金剛たちに真ん中に来るように指示した男が口を開いた。

「では、審問(しんもん)を始めさせてもらうよ」

「待て!!」

 すぐさま、ボンダが立ち上がり口を挟んだ。

「どうした? ボンダ殿?」

「審問の必要もない! その男は私を殴ったのだ。すぐさま死刑にせよ!!」


 一瞬の間があいた。

「……ふーむ。しかし私は大賢者様から公正にと言われているんでね」

「メルキオール! 誰に口を聞いているんだ?」

「まぁまぁ落ち着いて」

 ボンダが怒りの表情を見せるがメルキオールと呼ばれたこの男はまるで意に介さなかった。

 一方的に裁かれるだけかと思ったが、どうやら話くらいは聞いてもらえそうだ。




「それじゃあ始めさせてもらうよ。……まず、名前を教えてくれるかな」

「金剛だ。体脂肪率は3%」

「デイシーっす」

「デイシー君は知っているよ。いつも城にカロリスの実を届けてくれているね。君の育てた果物は絶品だと噂は聞いている。しかし君は……」

 メルキオールはそう言って金剛を見据えた。

「君は見た事がないな。この国の人間かい?」

「……いや。別の国から来た」

「へえ。どの国だい? 隣のモブの国かい? 見た目からするとブトーの国かな? まさか敵国のエンペラトスの国ってことはないだろう?」

「いや……それは」

 

 金剛が答えに(きゅう)していると、ボンダが再び立ち上がった。

「コンゴー! さては貴様、他国のスパイだな!! やはり死刑がふさわしい!」

「ボンダ殿。少し静かにしていてくれ……」

 メルキオールが苦笑していると、デイシーが口を開いた。


「師匠は……師匠は魔法使いなんす!!」

 その言葉を言ったとたん、部屋の空気が変わった。

「へえ。魔法使い……」

「そうっす!! ボンダ様を倒したのも『ジャブ』って魔法なんす!!」

「ジャブ……? 聞いたことがない魔法だな。東方(とうほう)の魔法体系か……?」

 メルキオールが首を(かしげ)ると、ボンダが三度(みたび)立ち上がった。


墓穴(ぼけつ)を掘ったなカスめ!! メルキオール! 聞いただろう。その男が私を攻撃したのだ!!」

「ふふっ」

「何がおかしい!!」

「ボンダ殿。あなたが城の中で魔法を……しかも炎の魔法を先に使おうとしたという報告があるんだよ」

「くっ……」

「それにコンゴ―殿が魔法使いならば話は早いじゃないか」

 その言葉を聞いた周囲がざわつき始めた。

「……アレか」

 メルキオールの意味深な言葉を、ボンダも察したようだ。


 金剛とデイシーは意味が解らず、眉をひそめている。

「アレってなんすか?」

 デイシーがたまらず聞くと、メルキオールがこちらを向き満面の笑みを見せた。

「“魔対戦”さ」




 金剛とボンダは向かい合っていた。

 二人がたっているのは円形の闘技場のようなもので周りには観客席が合った。

 その場所はとても広かった。

「ククク、コンゴ―、ここはな……かつてブトーの国の野蛮人どもが血みどろの戦いを見せ物にしていた場所だ。今では“魔対戦”に使われている」

「魔対戦……」

 金剛は先ほどの部屋でのメルキオールの説明を思い出していた。




「魔対戦?」

「そう魔対戦だよ。魔法使い同士の争いになったら、全てその魔対戦で決着をつけるのさ」

「勝った方が正しい、という事か」

「そういう事」




 あっけらかんとしたメルキオールの言葉を思い出し思わず口が緩んだ。

「フッ……野蛮なのはどちらだ……」

「何か言ったかコンゴ―」

 ボンダが睨みつける。

「フッ……。始めようか」


「待った待った! さっきも説明したけど魔対戦は儀式でもあるからね。形式はしっかりしなきゃ!」

 メルキオールが慌てて二人に声をかけた。

 その隣には青ざめた顔をしたデイシーの姿がある。


「さて……立会人を務めるのは(わたくし)メルキオール! 『光の先導者』!! ……では魔対戦を行う両者ともに、名前と『二つ名』、そして魔力を!!」


 ボンダがマントを払った。

「我が名はボンダ!! 『鬼火の使い手』 魔力測定値97マナ!!」


 金剛が両手を斜めに広げた。ダブルバイセプスのポージングだ。

「俺の名は金剛!! 『ボディビルダー』 体脂肪率3%!!」


 勝てば無罪。負ければ死刑の命を懸けた戦いが始まった。


 

 


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