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†裏章 4

 いつまで経っても変わりそうにない古い建物。

 そう。

 ずっとボロいまま、これから何年も過ごしそうな建物だった。

 窓も扉もいい具合にガタがきていて、なかなか開いてはくれない。

 モノを優しく扱う難しさってのを、こんなボロ宿で学ぶことになるとは思わなかった。


「いやーさすがに脆すぎるだろ」

「惨劇てんめぇこの馬鹿! 宿屋のオヤジに怒られるだろうが!」


 クローは外れた扉を抑え、汗を垂らしながら俺に叫んだ。

 俺は宿の部屋から出ようとしただけだ。

 そしたら扉が外れた。

 ああ、もうボコンって。

 こんなの誰がやっても外れるって。


「かーっ、早くてめえも手伝えって!」


 クローは釘を二本口にくわえ、金槌を握っていた。

 どうやら扉の金具ごと外してしまったらしい。

 トントンカンカンとやかましく釘を打つクローの姿は、どう見ても鴉天狗なんて異名が似合わない。アレだ。大工のオッサンだ。


「こんな夜中にうるせえだろ……」

「朝になって宿屋のオヤジが来たら手遅れだろ……!」


 締め切ったカーテンを少しだけ開いてみた。外に人はいない。

 夜だからというわけでもなく、昼間だって人はほとんど見かけない。

 崩れた家屋が見える。まだ火が残り、弱々しく灯っていた。


「がんばれオッサン」

「誰がオッサンだこのバカ娘が! さっさと手伝え!」

「俺は最凶だぞ」

「どうでもいいわボケコラ」


 最凶が金槌でトンテンカンやってたらカッコ悪いじゃねえか。

 頭に手ぬぐいでも巻きそうな大工っぷりのクローを尻目に、俺はベッドに寝転がった。

 ……寝転がろうとした。

 ところがベッドってのは小さい。なにやら首を折り曲げ、脚を垂らす変な体勢になってしまった。ああ、俺がでかいのか。

 仕方なく床に座り、懐から一冊の本を取り出す。

 分厚い表紙をぱらりとめくるが、現れるのは真っ白なページだけだ。

 めくってもめくっても。

 扉を取り付け終えたクローは、つまらなそうにページをめくる俺の姿を見て近づいてきた。

 ベッドに腰掛け、本を覗いてくる。


「うん? ああ、十一番目の兄弟に貰った本か」

「……クロー。てめぇの子供は総じて性格が悪ぃよ」

「まあお前もそうなんだけどな」


 ………。

 まあいい。

 とにかく俺は十一人まで顔合わせを終えていた。旅も終りに差し掛かっている。

 残る兄弟はあと一人。

 俺の目的――生きる理由を問うというのは……もうなんか諦めた。


――『惨劇、新たな僕の弟よ。十三の星霜はそれ自体が君の存在理由だよ』


 こればっかり。

 一人目で呆気に取られ、二人目と三人目にも同じことを言われた。

 六人目まで全員に同じことを言われた時はさすがにキレた。

 キレたけど……六番目の兄貴は何故か俺よりもキレた。

 うん。逆切れってやつだな。

 クローが死にかけたから逃げてきた。

 もう後は全部同じ。俺も馬鹿馬鹿しくなって質問は機械的になっていた。

 ところがだ。十一人目にしてやっと、変化が現れた。

 それがこの本だ。

 真っ白で何も書かれていない本。表紙の装飾が綺麗なだけで、中身はない。


――『日記にでもどうぞ』


 だとよ。殺そうかと思った。

 そこは思い留まって、この本の意味や、隠された秘密があるのかとか、食い下がってみた。


――『別に? あたし日記つけようかと思ったんだけど、なんか面倒そうだし。いや別に普通の日記ならいいのよ? でもねぇ……さすがにあたしもこの世界が恋しいっていうかさ。で、あんた最凶でしょう? だから、あげる』


 十一番目は姉だった。怒らせたら怖そうな姉だった。いや、クローの子供はみんな怒らせたらヤバいんだけどよ。

 で、俺はわけもわからぬまま日記になりそこなった白紙の本を受け取ってきたってわけ。

 パタンと本を閉じ、クローに向かって放り投げた。


「ほらよ」

「なんだ」

「もうわけわかんねぇ。それ、クローにやるよ」

「クハハ、俺が貰っても役に立たねえだろ」

「じゃあ欲しい奴にでもくれてやれ」


 クローは鼻で笑うと、その本を懐にしまった。


 結局なぞなぞを解くような状態のまま今に至る。

 十三の星霜。十三年間が、俺の存在理由……。


 なんだかんだで――俺とクローが出会い、旅を始めてから三年が経過していた。


 世界は広かった。

 海の中を二か月歩いたこともあった。自分を魔獣の最高型とか名乗り、実際とんでもない力を持った喋る魔獣とも戦った。いろんな種族の姿を見たりもした。

 多くの出会い、別れを経験した。

 ただ、俺もクローも表に出てしまうと厄介だから、これらは裏を生き続けてきた中でのものだけどな。


 そして辿り着いた現在地。此処、ユグドラシルレールの懐に位置する街だ。

 アースガルズという場所でも見に行こうというクローの提案だった。

 実際は見物とかじゃなく、説得だった。

 俺達はのんびり旅なんてしているが、世間は最終戦争ラグナロクの真っ只中。戦争が始まってもう三年になる。

 アースガルズはクローと同じく、戦争に参加しない勢力だ。st.4shieldsセント・フォー・シールズという連中のみで守っている。聖なる四盾とは小粋な名前だ。

 だがアースガルズは他の勢力に圧力をかけられ、戦争参加の一歩手前まできているらしい。

 だからクローは押し留まるよう説得に行くつもりなのだろう。

 ……クローは今の世界がとても居心地悪そうだ。

 力を持ちながら戦争に参加せず、非戦争を掲げて世界を回る。だが今となっては――

『何を呆けたことをぬかしている。ふざけるな』

 と、そんな言葉を浴びるばかりだった。

 俺はおそらく異界の中でトップの力を持っている。だが、この力をどう使ってよいのかが未だわからない。誰かを守ろうにも強すぎる力は操るのが難しい。

 クローの側に立つ上で強大であるということは、同時に身動きがとれないということだ。


 さて。思考はここで中断。


「クロー」

「ん……来たか」

「二人。まあまあできるぞ」

「狙いは俺だな」


 カーテン越しに外を見下ろす。闇に紛れて動く気配が二つ。殺気を帯びている。

 俺の圧力支配能力がなければ気付くのが遅れたかもしれない。宿屋周囲の壁や地面に気を張っていて正解だった。

 それ程、敵は隠れる技術に特化している。


「……入ってきた」


 クローは素早く取り付けたばかりの扉の前にベッドを立て掛けた。

 他にも机と棚も同じように配置する。

 部屋のスペースが広くなった。

 階段の方で軽い踏圧を感じた。俺達は二階だ。


「もう俺達を見つけたのか。何者だ」

「さすがに……一流が来るようになったか」


 クローを狙う刺客はこのところ後を絶たず、日に日に襲ってくる連中も強いのが来るようになっていた。しっかし、今夜のは段違いだ。他と一線を画す強さだ。

 クローは息を殺して扉の正面で構える。

 俺は窓からの襲撃に対応するべくクローに背を合わせ、いつでもプレスキャノンを撃てるように掌を上げていた。

 こっちは無敵だからいい。だがクローは別だ。確かにこの男は群を抜いて強いが、ちゃんと血を流す生き物でもある。それなりの策と手だれが相手ではやはり危険なのだ。


「どっちから来る……」

「窓……扉……」


 ――どちらでもなかった。

 その煌びやかな一本の銀光は天井を貫いて飛んできた。


「上か!」


 貫いて。と表現したが、実は俺とクローが気付いたのは遅く、避けるのが精一杯で貫いたかどうかなど未確認だった。

 貫通音もしなかった。天井を貫いた圧力は微々たるもので、するりとそれがすり抜けてきたとしか思えなかった。ただその得物の特徴からして、そう表現したのだ。

 とんでもない――槍使いだ。

 ススス、と一本槍は無数に天井を境に往復し、俺達を襲った。

 穴は円を描くように空いている。

 次の瞬間、穴だらけで脆くなった天井を突き破って刺客が飛び込んできた。


『あちきの烈突を避けるとはさすがでありんすーーーーーー!!』


「……なっ、子供!」

「……ガキの女!?」


 落ちてきたのはなんと、齢十と少し程度の子供だった。

 最初は俺もクローも目を疑った。だがその少女が握った金色の長槍は間違いなく天井を神速で貫き、俺達を襲った槍だった。


「お命頂戴するでありんす!」


 妙な口調でクローめがけて突進してくる。

 少女だからといって侮ってはいけない。コイツは――本物だ!


「クソガキがぁああ」


 プレスキャノンじゃ奴の動きを捕えられねえ。

 こんなガキに使うとクローが悲しむが……。

 俺は掌を開く。柔らかく、握ってもいないし開ききってもいない程度にだ。そして刺客の身体を巡る圧力を掌の中で支配した。

 このまま俺が掌を握り締めれば、刺客の身体は圧し潰され、針金細工のようにグニャグニャにできる。

 もしくは掌を広げれば、刺客の身体を包む圧力――腹部内圧なんかを解放し、内臓を引き摺り出し身体を破裂させ、それはもう悲惨な花火を見せることもできる。

 そう。プレスキャノンはただの遊びにすぎない。そんな事をせずとも、俺はこの手ひとつで対象の圧力を自由自在に操ることができる。


「やめろ惨劇!」

「クロー!?」


 銃弾のように伸びてくる槍をステップでかわしながら、クローは俺の前に立った。

 どうやらそれはやめろということらしい。

 女子供だろうが敵は敵。破裂なり圧殺すれば簡単に済むだろうに。


「さすが鴉天狗でありんす! こんなにあちきの槍をかわされたのは久々でありんす!」


 刺客のガキはくるくると槍を回し、薙ぎ払うようにクローの脚を狙う。

 それを相手が跳び上がって回避したところで、空中で身動きが取れない標的に槍が突撃する。

 普通の相手なら身動きが取れないだろう。

 だが相手は鴉天狗だ。


「鴉闘技……」


 クローは両腕で空を引っ掻く。

 すると引っ掻かれた軌跡が交差し、真空の網が出来上がった。

 そう、クローは真空波を操る。空気さえあれば彼は敵無しであり――


「気圧調整」


 俺のチカラで威力を上げることもできる。

 俺とクローのコンビネーションは強力だ。

 真空の網は槍を巻き込み、無数にスライスした。


「はわわわわ! あちきの金剛貫が……!」


 あのガキはさっきからクローだけを狙っている。

 と、いうことは……だ。

 案の定、隣の壁をぶち割ってもう一人の刺客が飛び込んできた。 


『アンタの相手はぁ、アタシだよぉ』


 どうやら俺もクローをサポートしている間はないらしい。

 そいつも女だった。槍使いのガキよりは歳が上だが、十分若い。

 また妙なのに狙われたもんだ。


「アンタぁ、血は好きかぁい?」

「生憎、俺は俺の血を見たことがねぇ」

「嘘はぁ、いけないよぉ!」


 女は壁を破壊した得物――ノコギリのような大刀をぶん回した。

 ガリガリと壁や床を裂き、その殺傷力を見せつけてくる。


「おい女。死にたくなけりゃ帰れよ。今なら見逃して――って話を聞けコラ!」

「あっはぁぁあ! アンタの身体フシギだよぉ。斬ってみたい斬ってみたいよぉ」


 だ、駄目だこいつ。斬殺魔の類か。肉を切り裂くことで快楽を得るっていう奴だ。

 綺麗な顔してとんでもない性癖の持ち主だなオイ。

 当然のことながら、俺の身体は無敵だ。

 女のノコギリ刀をいとも容易く弾いた。


「あれぇやっぱりアンタ変だよぉ。おかしいよぉ?」

「わかっただろ。てめえらじゃ俺を殺せねえ」

「アンタだめだぁ。斬れないなら興味はないよぉ」

「ちょ、てめえオイ!」


 女はあっさり俺から意識を外し、クローに飛び掛かっていった。

 おかしいのは奴の頭だろ。斬ることしか考えてねえ。

 しかも実力があるからあんな無茶苦茶な戦い方で生きてこられたのか。


「な、なんじゃこいつはー!」

「いいよぉ、アンタいいよぉ。その身体は斬れそうだぁ」


 槍ガキに加えてノコギリ女まで加わった。

 助けようにも、プレスキャノンはクローもふっ飛ばしちまうし……。

 広い場所に出るしかないな。


「クロー! 外に出るんだ!」


 俺はプレスキャノンで外側の壁をぶち抜いた。

 まあ……壁だけじゃなく余計な箇所とも一緒に吹き飛んだけど。悪いな宿屋のオヤジ。

 俺は自分の腕を切り離し、槍ガキに向けて飛ばす。腹部に入った。


「ぐ……うぅ! こ、こいつ腕を飛ばしてきたでありんすー!」

「今だクロー」

「おう」


 クローはノコギリ女を蹴り飛ばし、大穴から外へ飛び降りた。

 俺も既に降りており、部屋に残ったのは刺客二人だけ。

 プレスキャノンの絶好の的だ。


「クハハハハハハ! くらえコラァア!」


 宿の中へこれでもかというくらい圧力の塊を撃ち込んだ。

 崩れた瓦礫によって一階の部屋が潰れ、フロントも原形を失った。

 宿屋のオヤジ……すまん。


「ギャー! 痛いでありんすー!」

「なんでさぁ。一度も斬れてないよぉ? おかしいよねぇ」


 瓦礫の中から出てきた二人を、俺は腕を飛ばして捕まえた。

 首を握り、いつでも圧し折れる。勝負ありってところだな。

 そんな状態になった二人の前にクローは立った。


「おい。誰に頼まれた」

「言わないでありんすよーだ」


 槍使いのガキはイーッと顔をしかめてクローに答えた。


「……てめえらは何者だ?」

「言わないでありんすよーだ」


 クローはぴくぴくと頬を痙攣させた。


「……て、てめえらは、何者でありんすかコラ」

「あちきの真似をすんなー!」

「アタシらはぁ狩魔衆さねぇ」

「馬鹿だー! 馬鹿がいるでありんすー!」


 斬ることしか興味のないノコギリ女は割と天然だった。

 つーか槍ガキも歳に似合わずしっかりしている。

 狩魔衆ねえ……。聞かない名だが。

 これだけの手だれが居るんだ。警戒するべき連中だな。

 クローの誘導尋問――間違ってはいない――は続く。


「ほほう、狩魔衆ね。で、どこに雇われたんでありんすかコラ?」

「言うなー! 言うなよー!」

「アタシら別に雇われてないさねぇ」

「殺せー! もうコイツ殺してくれでありんすー!」


 槍ガキも大変だ。もう正気を失いかけてる。

 いっそのこと首折って楽にしてやろうかこいつら。

 じたばたと暴れていた槍ガキも、観念したのかぐったりと手足を垂らし、半ば涙声になっていた。


「もういいでありんす……。あちき達は他の勢力同様、クローを消すために来たんでありんす……」

「そういうことだねぇ、うん」

「もう黙ってろい!」


 槍ガキはぶら下がったままノコギリ女に蹴りを入れた。


「俺は戦争に参加するつもりはない」

「……やっぱりクローはとんでもないアホタレでありんすな」

「なんだと?」

「力を持ち、戦うことができる癖にそんな事を言うなんて、随分な身分でありんす」

「………」

「手足を失っても戦いに駆り出される人達も居るでありんす。なのにお前は力を拒絶ばかりに使ってるでありんす。戦争はもう始まってるんでありんすよ。いつまでもピーピー言ってワガママこいて。誰かを守るわけでもない。ホントに恥ずかしい男でありんす」

「お前達……まさか。自分の意志で俺を」

「そうでありんす! 狩魔とか、勢力とか、そんなの関係ないでありんす! あちきは個人の意志でお前を消しにきたでありんす! この天然ノコギリを引っ張ってきて、甘ったれの臆病者を殺しに来たんでありんす!」


 クローは強く奥歯を噛んでいた。


「俺は……」

「戦いたくない人まで戦わなきゃいけないこの戦争! どうして早く終わらせようとしないでありんすか! ホントはわかってる筈でありんしょ!? 何かを守るためには戦争に加わらないといけない! 今のお前は……死にゆく人々を見殺しにして逃げ続ける偽善者でありんす! お前なんて――ぐ……えっ……!」

「てめえ……」


 俺は刺客の首を掴んだ腕に力を込めていた。

 クローは偽善者なんかじゃない。

 命を大切にする男だ。

 誰よりも悩み、大勢を守ろうとしている男だ!


「クローの苦悩を知りもしないてめえが、勝手なことをほざくんじゃねえ!」

「ぐが…っ……が……」

「力あるものはバランスを崩す! 殺戮を続ける勢力に加担したって、どうせてめえらはクローを偽善者と呼ぶんだろうが!」

「……う……ぐ」

「だからクローはどこにも加担しないんだ! 戦争に参加しないんだ!」

「な……ら……。なん……で……」

「ああ!?」

「なんで……新しい……守ること……目的……勢力を……作らな……で…あり……すか……」

「だからてめえにはわからねえんだよこの――」


 首を圧し折る寸前だった。

 クローが俺の腕に手を添えなければ、俺はこの槍使いの少女を殺していただろう。


「この嬢ちゃんの言う通りだ。惨劇」

「クロー……」

「俺は迷っていた。このまま自然に戦争が終わるのを待つか、それとも――俺自身が一つの勢力となるか。どちらも犠牲を免れない選択だ。惨劇、二人を離してやれ」


 言われるままに、俺は刺客の二人を離した。

 咳き込む槍使いと、助け起こすノコギリ女。


「嬢ちゃんは俺のケツを叩きに来てくれたんだ。傍観で終わる戦争じゃない。傍観で守れるほど世界は甘くはない。あのイーグルという子が言っていたようにな。ならば残された選択肢は一つだけ……」

「まさか……」

「ああ。惨劇、旅はここで終わりだ」


 俺とクローの会話の中、ノコギリ女は闇に溶けていく。

 逃げるあの二人を追うつもりなど、俺達にはなかった。


「俺が中心となり、最強の部隊を組織する。戦争は俺が終わらせる。だから、力を貸してくれ惨劇」


 ついにクローは決意を固めた。

 戦争に参加する決意、そして戦争を終わらせる決意だ。

 俺の選択なんて決まっている。

 兄弟達の言っていた十三年間、この男に捧げてもいい。

 クローが守りたいのならば、俺は無敵の盾となろう。


「我が十三番目の子供、惨劇のカタストロフが率いる最凶の部隊。《No.13(ナンバー・サーティン)》だ」


 クローと二人だけで歩んだ旅は終焉。

 こうして俺、惨劇のカタストロフは――最終戦争ラグナロクに参戦することになったのだった。

 名はNo.13。

 最終的な目的は戦争の終結。


 これが、悲劇への第一歩だった……。

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