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ある探偵と僕の話  作者: 根谷司
襷(たすき)の行方
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僕の霞んだエンドロール

 推理小説、とジャンル付けさせていただいている上「探偵」という単語がタイトルにありますが、ミステリーよりもファンタジーかもしれません。謎解き要素はあるものの、あまり「これはミステリーだ」という前提を置かずに読んで頂けたら幸いです。

 闇夜(やみよ)を切り()くヘッドライト。(うな)るように鳴くクラクション。それは、僕の眼前に迫った非現実。




 断片的な映像を見るかのように、まるで他人事のように浮かび上がるのは僕自身の記憶だ。ただし、普通の記憶では無い、というとなんだかファンタジーっぽい感じになるけれど、残念ながらそういう事ではない。


 僕の中にある唯一の記憶なのだ。これが。


 横断歩道には女性が立っていた。信号は赤だ。誰なのかは解らない。でも、僕は何かを叫びながら手を伸ばしていた。なんで手を伸ばしているのかも解らない。もしかしたら助けようとしたのかもしれないけれど、だとしたらやっぱりなんで助けようとしたのかが解らない。


 ここまで解らない事だらけだと、これが本当に僕の記憶なのか、不安になる。でも、僕にはこれ以外の記憶が無いのだから仕方ない。


 とにかくだ。


 僕は車に()かれそうになっている女性に向けて、手を伸ばして、伸ばして、そして、僕の手はその女性の背中に触れて……気付いたら、強烈な光は僕に当てられていた。




 闇夜を切り裂くヘッドライト。唸るように鳴くクラクション。これは、僕自身に降り注いだ非現実。

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