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思想家猫 〜我思う、ニンゲンはバカなり〜

作者: 白夜いくと
掲載日:2026/06/15

 我、思う。ニンゲン、バカ。


 昨今のニンゲンは数字を追い求め、本能的な危機感や限度が分からなくなっているやつが多い。


 いいね。


 押したのは、足の臭いニートや引きこもりのオッサンかもしれない。それでも♡を押せば1となる。現実世界で決して交わることのない人がいいねというモノを押すだけで、意思疎通ができてると思い込んでいる。


 我、思う。ニンゲン、あたまわるい。


 そういう我は、ニンゲンに養われている元野良猫である。自分の立場はわきまえているから直接バカにしたりしない。ただ、いいねに一喜一憂する飼い主を(マヌケだなぁ)とか(ノリだけで生きてるなぁ)とか思っている。


 だが、チュールは美味い。

 チュールをつくれるニンゲンは、かしこい。猫の気持ちを瞬時に変えられるから。


 それに比べて、4歳の猫に通販のレタス柄おくるみを巻く飼い主は、あたまがわるい。一方的な『可愛い』で犠牲になる手足の自由。本当に不快だ。


 我、思う。ニンゲン、とても傲慢。


 オシャレなんて、猫には必要ないのに。猫の持つ本来の完璧なフォルムを認めず、自分色に染めてこようとする飼い主。


 ああバカバカ。


 とんでもなくおバカ!


 保健所で、愛情という言葉を知る前にたくさん飼い主に噛み付いた。捨てられた呪いを牙に宿して。それでも、笑顔で我に手を差し伸べた飼い主たち。


 我が不貞腐れてケージから出なくても、毎日笑顔で労働から帰って、我のメシを運んでいた。


 それが今では、陽の差す窓際が我の特等席となった。皆のもの、神々しく輝く我を見よ。


 ……それはそうと、飼い主は我の何を気に入ったというのだ。我はどう応えれば良い。猫にも一応『恩を返す概念』はある。


 わからぬ。


 わからぬから、レタスおくるみに包まれている間、なるべく写真写りが良くなるようにレンズを見るようにした。


 ニンゲンは、可愛いのが好きだろう?


 写真に残される我は、歳の割に幼い。ニンゲンからすれば我は子供のような存在なのかもしれない。


 我も、いずれお前たちより早くあちらへ逝くと言うのに。


 それも含めて、我思う。

 ニンゲンは、とてもバカだ。


 野良猫一匹を救ったとして、神はニンゲンを全く見ないに違いない。むしろ床に毛は散らばるし喘息が起こる確率も上がるし。良いことが無いはずだ。


 どうして、ニンゲンは……ニンゲンという大バカものは『可愛い』と言うだけで、我を迎え入れたのか。


 ニンゲンの言う可愛いの意味を考えながら、チュールを貪り『もう一本』と両手を併せて媚びたら、


「またあとでね」


 と断られた。

 ……はぁ、ニンゲンというモノは。


「にゃ〜ごぅ」


 我思う、ニンゲンというモノは、ケチなり。



 おしまい

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― 新着の感想 ―
くすっとしつつ読み進め、終盤にちょいと切なくなりました。 かわいい猫たち。どうあがいても、先に天国に行ってしまう小さな命。 そうと知ってても、愛さずにいられない我々は、本当に本当に馬鹿者です…… だめ…
最後の思想家猫さんのつぶやきのチョイスがいいです。 ちょっと下げる感覚が技ありでした。
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