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ふくみしもしゃり

作者: 武田 嵐癸
掲載日:2026/01/07

  ふくみしもしゃり

                             武田(たけだ) (らん)(よう)




 11月の雨模様。

吸ってみて

きんはり、する

冷たさの

傘の中軸の(てつ)(くび)(もと)

挟んで、

両の(おやゆび)人差指(ひとさしゆび)を合わせて

三角定規さんの形を

作る……………

小さな

指の

三角定規さん。

此処から(のぞ)くと

何か私の中では

違って視えるの。

くらい、

11月の雨模様は………

都会だとか、

田舎だとか、

何処が如何(どう)とは

()わないの、

何処(どこ)だって

変わり

無いのだから…………

そう。

11月の雨模様、

幼稚園の年少さんの頃の、

幼稚園の部屋の窓。

其処(そこ)から眺めていた景色を

思い出すと、

何ともこう、

沢山の

水を含んだ

まっっっつっっっっつっっっ

さお色の、

あお色

絵の具の筆を、で

紙を踏んで往った様な…………………

紙が()れて歪んで往く様な…………………………

そんな思い出が

するの………………

大きな窓に手摺(てすり)存在()って、

其処から乗り出し気味に

暗い雨模様の砂利の遊び場を見ていたの……………

お昼寐まえだったかしら、

下着姿で、

見てるだけで

はんやりと

冷たいわ。

お馬さんの鞍の様に乘れて

揺らせる

動物さん

パンダさんだとか、

うさぎ………さん……………

大きな布の被せられた

四角い砂場、

左だったかしら右?

大きな横に長い

滑り台。

秋頃は

柿の実が落ちて、

(つぶ)れていたわ(いく)つも

()れで滑れない(こと)

あった…………の…………

其の下でパン屋さん

ごっこ、

なんて()って遊べる(まど)口が有って

鐵棒も何処(どこ)かにあったわ………(うん)(てい)も…………

あと木の小屋を載せた様な

小さな滑り台もあったかも

知れない……………

足許の砂利が子供の指でも

金平(こんぺい)(とう)の様に小さくて、

()き心地の悪くなった靴なんて

履くともう、

入った砂利が

靴の中

もう

ちくずんちくづん、として

(いや)に為るの……………

夕方の五時位になると何時(いつ)も、

送迎バスやら迎えに来る車やらで

一杯砕かれて、

砂に為っていても好いのに。

車って重いのよ? ……………

落ちてる小枝でさえ、

中指程は残ってるもの、のも……………

11月の雨模様

吸ってみて、

湿った枯葉を、

帰り掛けに止んだ沢山の中から

拾い上げて

みて。

深い深い其れでいて

透ける様な、

カフェラテを一度だけに

我慢(がまん)して

掻き混ぜた時の様な…………………

吸ってみて。

香りもひんやり、とした

雨と土の妖精さんでも

いたのかしら………………?

みたいな。

………………

本当は雨の香りって

難しい科学の話で、


『しょーめい』されてる。


天気の図鑑をみれば

判る、

のだけれど、

私は其れで

判った氣に為って、

理解(わか)った氣に為るのは。

(いや)なの。

何時も同じ香りじゃないの、

絶対10秒経ったら

違う香りなの、

絶対………………………

カフェラテだって

一度飲めば

次は違う味

の様に……………………

枯葉…………

何時(いつ)か晴れた日の外遊びで、

女の先生が魔法を

掛けたって云って

砂利の広場に

ぽつん、と

宙に浮く枯葉を

見せて()れたけれど、

あれは

不思議だったの………………

(みの)(むし)(いと)

ずっと伸びていて、

あれは、

そう、

蓑虫の絲は高い高い木の、

多分天辺(てっぺん)

枝から

下がって

いたのよ…………

其の時私は直ぐに氣附いて、

蓑虫の絲が見えているって決め付けて、

枯葉を取ったけれど、

ちょっと(いや)(すご)

後悔(こうかい)してるわ……………

女の先生は

笑ってたけれど、

いたけれど、

哀しそう

だった。

前から私の(こと)が好きそうな

人だったの……………

魔法を解いて仕舞(しま)うのが、

早かった……のだ……わ…………

大人ってこーゆぅ、こーゅぅ時って

どうしたら傷附かないのかしら…………?

子供の純心の残酷さに振り廻されてる時って

所謂(いわゆる)其の…………んだっけ………

無難。

無難な表情(かお)で口許が動いて往くの…………

あぁ…………

濁った(どろ)(あわ)の立つ

水溜まり………………

でもそうなると

予報が雨なら()(はり)

長靴だよね

傘は、

まっっっつっっっっつっっっ

さお色の

あっおぃのあるけれど、

差さずに

お母さんの差したのに

入って仕舞(しま)えば

()いんだし…………

長靴は虹の七色を

まっっっつっっっっつっっっ

しろな

処に

(ちりば)めた様な柄

にして…………………

止んだ後って、

歩くだけで、

まっっっつっっっっつっっっ

くろい(ちり)が付いて仕舞うのだけれど、

あれは細切れに為った枯葉で

私の長靴には

七色の虹を(ちりば)めた様な柄なのでしょう…………?

だけれど

まっっっつっっっっつっっっ

くろは無いから、

色が一つ増えて

(たの)もしくなるの…………

長靴………………

でもだけれど、

お母さんはちょっと(いや)がるの…………

『走る三角定規さんには

 汚れた長靴さんは

 入れられないの、

 入れたら

 走れなくなっちゃう

 だから

 綺麗にしましょ』

 って、じょっせき。

運転席の横に座らせられて、

脚外(あしそと)に出して

ティッシュで拭かれるの……………

そう。

晴れて仕舞えば不思議な(こと)に、

魔法が解けて仕舞ったかの

様に、

まっっっつっっっっつっっっ

くろな

(こま)()れの枯葉は

厭に為るの…………

寐ている間に来る

ごぜんれぇーじ

っていうので、

魔法が解けて仕舞うのかしら……………?

そう

……………


『走る三角定規さん』


銀紙(ぎんがみ)色なの。

折り紙ケースに

一枚だけ

金紙色と入ってる、

銀紙色の

スポーツカーで


『走る三角定規さん』は


不思議な子。

走るのに

速く走ったり、

遅く走ったり、

するのに

ちょっとだけ、

()を変えられるんだって。

他の子とは

ちょっと違うの……………


『走る三角定規さん』


でもだけれど、

お母さんは

低い(まま)が好きだから、

低い儘で

更に

私が乘り(やす)い様に

ちょっと

低くしてるんだって………

ろぉ~だうん

だって、

面白いよね

脊が低い方が速いって

厭…………違うわ…………

(かが)んでいる方が

速いだった……………

……………

益々(ますます)理解(わか)らなく()っちゃって

(おも)(しろ)いよね。

雨って止んだ後も

暗いから、


『走る三角定規さん』は


(かえる)さんみたいな

ライトを開いて…………

上に開くのよ。


『走る三角定規さん』のライトって


真四角の光る

蛙さんの瞳。

お母さんが時々走ってて云ってるの、


『ヲトナ アバンガャルド』


って…………

()い、ヒビきだよね…………

()い、ヒビき。

本当はもっとね


『お布団を被った蛙さん』


みたいな

……………ぇと……

91…………2…………?

番号で呼ばれてて思い出せないんだけれど、

其方の方が

蛙さん……………ぽぃ………の…………

瞬きしないんだけど………

11月の此の雨じゃぁ

泣いていても

理解(わか)って

挙げられないね…………

………………

11月の雨模様

吸ってみて。

長靴がティッシュで

綺麗(きれい)に為って、

七色の虹を

まっっっつっっっっつっっっ

しろな

(ところ)

(ちりば)めた様な柄は、

ぴかしゃんきらちるん、

シートベルトも

(しっか)り締めて、

帰る準備は好いの

だけれど…………………も……………

…………なんと云うかしら………

車に乘って来たお母さんを

見詰めて

(うった)えたい様な…………


「お・かあ・さん

 んぅ…………

 ……………あっ………。」

『お腹空いたの?』

「………そうみたいね、

 ケーキが食べたいみたい

 なの。」

『…………歩いて直ぐじゃないの、

 (みち)も狭いし長くはお店の前に

 ()めて置けないし………

 6時半まで

 待てないあと1時間

 あなた』

「……………ぁめ?」

『む…………

 じゃあちょっと先生に

 車を()めて置いて好いか、

 訊いて来るから、

絶対に

降りない(こと)

「ん!」

『降りたら

 一生、

 家に入れないから』

「ん!」

 お母さん………

私が

独りで降りるのは

()

もっと

先。

だよ…………?

…………

(また)雨?

いや、

枯葉が

落ちて水玉が

ぼだんぼでっ、と

窓に打ち付けてる

だけ……………………

スモッグの肩が

はんやり、して

()()らないと、

(はな)提灯(ちょうちん)が凍って

出そう………………

あっ!

『駐めてても好いって、

 降りなさい』

「ん!」

 …………何時からかしら…………

思い出した頃には

手を取って貰わなくて、

好い脊の高さに為って仕舞って、

…………もう

ランドセル脊負って

二年経つのに………………

…………段々降りるのに苦労なんてしなくなって()ると

逆に降りるのが恐怖(こわ)く為って仕舞うのは…………

降りようとして車の下から何かが出て来るの以上に

脚と膝を外に出すのが(いや)…………

………ぃゃ………………

や…………

――――甘い

ケーキ

ケーキのショーケース。

幼稚園から直ぐの、

小さな

ケーキ屋さん。

ちゃんと右左見て

…………

ケーキ。

何時も誕生日は

此処で買うの、

他よりも

此処

で、

だって他の

ケーキ屋さんは

ドアの硝子(がらす)が曇って、

見えないもの……………!

曇ってない

硝子、

引き戸の

入口から舞踏会前の、

控室(ひかえしつ)

御姫様達の、を

満月(みつげつ)から

覗く

魔女の様な……………

今日は

誰に魔法を掛けて挙げましょう、

なんて…………

ね………

ケーキ食べてあげる(こと)を、

魔法を掛けてあげるって

好い縡してるって、

決め付けて

………

沢山食べられなくて

好かった

って、

思う。

贅沢(ぜいたく)(こと)だけれど…………

子供の(うち)

贅沢な悩み縡で、

()いと思うの()(はり)

矢張……………………

「お母さん

 何にするの?」

『あなたが気紛れで

 ホールを頼まない限り、

 今日は何でも好いのよ

 あなたと

 一緒に楽しめるなら』

「………ショコラかしらね。」

『ショコラ二切れ下さい』

 ほれぇーざいの

くっ付いた小さな箱に、

ショコラが二切れ……………

まっっっつっっっっつっっっ

しろな大きな薔薇の

様な

ホイップに、

まっっっつっっっっつっっっ

くろの様な……………

ちゃ色の

叢幼気送紐(フリルレース)

様な、

チョコレートの

削り(コポー)の乘る

渦華証(ストマッカー)

其の下に食べ切れるか

何時も何時も

不安に為る位、

積み重ねられた

ショコラの

スポンジとクリームの層…………

脊中には

…………チョコレートの……

もにょごわっとした

トッピング、

………ぅふふ

早く食べ…………

魔法を掛けたいの……………

『ケーキは

 崩れるといけないから

 車迄(まで)

 私が持ってるから、

 車に乘ったら

 あなたが

 ちゃんと、

(ひざ)に抱えて

家迄(いえまで)守る役だから、

(よろ)しくね?』

「ん!」

 ………お母さんも私も、

前に楽しみ過ぎて箱を持つ手を

振って仕舞って……………

だからとても

(うなず)()う………

何だか畏まって仕舞ってる様だけれど今でも、

(とき)(たま)に………ね………

『よし

 シートベルト

 締めたね

 はい(しっか)り抱えてね?』

「抱えた。」

 …………ふぅ……

ほんおり、

冷たい…………わ…………

ぁ…………危ない

車が動き出したのにもぅ放しちゃったの

もぅ…………

ケーキ

に限らずスイーツって

小さな手提(てさ)げの箱の

ほんおり、冷たい

のに

フォークで切り込む、んで

口にした時の

しゃりしゅぞろっ、と

甘い魔法が

熱く、

染み渡って

不思議…………なの…………

あっ

「お母さん。」

『あら抜駆(ぬけが)け?』

「違うの、

 此の前のお散歩で

 側溝(そっこう)(ふた)の上を歩いていたの。」

『ちゃんと前見なさい、

 電柱に激突(ぶつ)かるわよ

 あなた』

「ん、見る、

 じゃなくて

 大きくて

太くて

長い

蚯蚓(みみず)さんがいたの、

蓋の無い処に。」

『ケーキ買った後で

 その(はなし)するのね

 あなた、

 蚯蚓なんて――――』

「蚯蚓さんは

 土を綺麗にして()れる

 好い生き物なのよ。

 ん、

 綺麗にして()れる

 生き物の噺したから、

 ショコラケーキも

 美味しくなっちゃうの

 開けるの、

 楽しみ。」

『…………そうね、

 其の蚯蚓さんは此の

 走る三角定規さん

 で

 測ると

 何考(どれ)(くらい)に為るのかしら?』

「えぇ………?

 んぅ………

 いっしゅーぐるっとするから、

 180せんち位――――」

『其れは内側の角度の合計……………

 厭、止めましょ、

 そんなに大きいと、

 色さえ真っ白ならば

 神様かもね』

「そう、

 まっっっつっっっっつっっっ

 しろ色では

 なかったのよ…………

 残念…………。」

 ――――

今思えば、

如何(どう)してあの場所に…………

周りには草地は無かったのに……………

矢張捨てられて仕舞ったの

かしら………ね………

まぼろし、

だったなら……………な………

でも頭と尻尾だけ両側の蓋の端に乘っている様で、

側溝に垂れている(からだ)は凄く

重みを感じたのだから…………あれは…………

『ねぇ、あなた、

 あなたの周りには、

 周りに存在()るものは

 厭、

 あなたの考える世界は

 普通とは違うのかも知れない、

 其れでも

 其の儘でいなさいよ、

 走る三角定規さんなんて

 今乘っている人なんて

 そう世界には

 存在()ないのよ、

 例え普通の世界でも』

「何に怒られているのか

 理解(わか)らないわ、

 お母さん。」

『…………

 大きくなっても

 此の子に

 乘って

 走りなさいよね、

 此の、

銀紙を

破れそうに為る位、

(なみだ)(ぼや)けさせて

燻らした様な、

 11月の雨模様

 を…………』

「其の時は

 隣に乘ってて欲しいの、

 お母さんも。」

 …………

あの時丁度右に曲がったから、

お母さんの表情(かお)

見えなかった…………のだけれど…………

微笑(ほほえ)んでいて()れたのかしら…………ね…………

11月の雨模様

吸ってみて。

云い方は違うけれど

同じ11月の雨模様を知ってる

様なお母さんだもの。

多分わたしが思っているのと同じ表情(かお)

…………あの後の

ショコラも()(まで)も無く

美味しかった…………

お母さんと二人で

魔法を掛け逢って…………


    ≪≫


 11月の雨模様

吸ってみて。

今も、

少し大きくなったけれど、

まっっっつっっっっつっっっ

しろ色に

七色の虹を(ちりば)めた様な

あの柄の

長靴で、

ランドセルの教科書達に

上に重ねた

体操服袋、

ストラップに

引っ掛けて

()げた

給食袋、


『グリックの冒険』と


『旅行のひみつ』の


漫画本の

脊表紙の覘く

図書バック、

其の重み全てを、

湿った枯葉の

まっっっつっっっっつっっっ

茶色の中程の小枝を

踏んでは

感じてから可愛らしい

まっっっつっっっっつっっっ

さお色の

傘差して、

一つだけの

透明な三角定規の様な(めん)から、

時偶(ときたま)

(あお)いでいるの…………

学校帰りの金曜日、

午後三時半の

コンクリートと(てつ)の街の

11月の雨模様

を……………

…………

フランスの、

光の画家、ルノワールの、


『雨傘の乙女たち』


此の前の、

古い

映画、


『ティファニーで朝食を』 の


 最後の

雨のニューヨーク、

タクシーの絡んで往く

中の、

シーン

お母さんに強請(ねだ)って

映画も見て……………

きんはり、する

冷たさの

傘の中軸の(てつ)首許(くびもと)

挟んで、

両の(おやゆび)と人差指を合わせて、

三角定規さんの形を

作る……………

小さな

指の

三角定規さん。

此処から覗くと

何か私の中では、

違って視えるの

11月の雨模様

物差しとは

違う。

物縡(ごと)(はか)らず、

物縡切り描いて、

思い出の

まっっっつっっっっつっっっ

しろな

画用紙へ……………

……………

………らない

……………らないの

皆には理解(わか)らないの。

学校の皆には。

11月の雨模様は

水を含んだ

まっっっつっっっっつっっっ

さお色の

あお色

絵の具の筆を、で

紙を踏んで往った様な…………………

紙が()れて歪んで往く様な…………………………

だとか、

銀紙を

破れそうに為る位

(なみだ)(ぼや)けさせて

(くゆ)らした様な

だとか、

云っても云ってみても

(みんな)

下を向いて

携帯ばかりばっかり

見てる、

哀しい表情(かお)して。

…………其の裡方向が違うから独りに為るの。

11月の雨模様

吸ってみて。

小さな指の三角定規さん

で、

果処彼(はるか)遠く

覗くと最近、

ふくみしもしゃり、

何も思えず

(しも)(なみだ)

()一杯(いっぱい)

含んだ、

含み過ぎた

まっっっつっっっっつっっっ

……………

――――

透明な

絵の具の筆で

破れそうな

銀紙を、

踏んで(にじ)った様な…………

(むぐ)しい

凍えた香りや、

()が、

薄膜(はくまく)に為った

私の心に

流れ込んで往く様に

為った……………………

………………………

私の思うものは

渡された

画用紙じゃ

耐えられない様…………

私の思う縡って

有意義(ゆういぎ)(きょ)(ちゅう)を含み過ぎて

輪郭(りんかく)(ぼや)けて………

何を考えているのだろう…………

……………

『あなた』

「?

 お母さん。」

『乘っていく?』

「………」

現実から、

銀紙色の、


『走る三角定規さん』 に乘って


お母さんが走って来た……………

お母さんは初めて見た時から


独りで『走る三角定規さん』 に。


此の街の

くらい

11月の雨模様の

紅赫(あか)いテールランプのコメットテールたちが

不器用に街のくらい現実を

其の車の肌に

彗星の様に

辷らせ乍ら

尾を曳く中、

独りで乘って走っている………

あの家の

仏壇(ぶつだん)

若い青年の写真の許には

何時も、お線香が

立ち昇って…………

何時も逢う度お墓の、お線香は古く為って、

其れを変える時しか、

私は其の人の縡知らないけれど。

知らないと云うのだから本當(ほんとう)の繋がりじゃないのかも知れないけれど。

お墓にお水を挙げる度、11月の雨模様と

同じ気持ちに為るの。

だから、今度図工の絵を見せてみても好いのかも。

………

みぼーじん。

「好いの、

 図工の絵を考えないと

 いけないから。」

『眺めてるのね』

「そぅ。」

『私はスーパーで買い物して帰るから、

 もし車で帰りたかったら―――』

「寄ってみるわ。」

『気を付けて、

 今日は何時ものケーキ屋さんの

 ショコラケーキ、

 買って往こうと

 思っているから』

「ん。」

………

現実へ、

現実の

くらい

11月の雨模様へ、


お母さんは銀紙色の『走る三角定規さん』に乘って走り去って往く…………


みぼーじん。

お母さんみたい

そうじゃなくて

大人に為るには

独りで、

(たの)しめないと

いけない様……………


『ヲトナ アバンガャルド』


誰も彼も

私の(となり)には

立てないのだから…………

誰も

彼も……………

………銀紙を

破れそうに為る位

(なみだ)(ぼや)けさせて

(くゆ)らした様に

其の車の肌に

コンクリートと(てつ)の街の、

現実を(すべ)らせて、


『走る三角定規さん』は


有意義(ゆういぎ)な、で(むぐ)しい(きょ)(ちゅう)

描いて、

独り、

を確立して往く…………


…………

紅赫(あか)いテールランプの

コメットテールって

彗星の様に

尾を曳く

(こと)()を知った今、

煙草(たばこ)

吞みたいわ。

私の思う

味、

私の11月の雨模様に

ショコラケーキの

叢幼気送紐(フリルレース)

様な、

チョコレートの

削り(コポー)

そう豪奢(ごうしゃ)

渦華証(ストマッカー)

思わせる香りの味。

吞みたいわ、

吞みたいぐらい

そう云う

しては

いけない縡

したいぐらい、

づくどき、と

()めたく

吸っては、

啾々(しゅうしゅう)と

吐く、


……―…(むぐ)しい


……―……11月の雨模様


………―――吸って


……――――……吐いて


……――………みて………?


………―――


―――……


――…






                                  終


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