とびうおの話をしよう
「飛行機というものがあって、僕らはそれに乗って空を移動していたんです」
「まあ、私たちはワイバーンに乗って移動していますね。主に貴族の方たちのような、高貴な人たちだけですが。飛行機とはどういった乗り物ですか?」
「形はトビウオのように流線型で、胴体に羽がついています」
「と、びうお……?」
「ああ、海が近くにないから伝わりませんよね。ええっと、楕円形に羽がついています」
枝を手に取り、セルゲイは地面に絵を描く。
「なるほど、トビウオというものがこのような形に近いのですね。また『地球』の世界について、教えてください!」
「そうそう、空輸という運搬方法があるので、こちらの世界でもワイバーンによる運搬方法ができればいいですね」
「なぜ空を移動する必要があるんです?」
「馬より速度が出ますよね? それに空なら地形に影響されず、直線距離で進めるので早く荷物を届けられます」
「確かにワイバーンは馬より大きく、飛行速度もかなり出ると聞きます。でも実用的ではないかもしれません」
「えっ? 費用がかかるんですか?」
「それもありますが、ワイバーンを使役できる人が少なすぎるのです。彼ら、魔獣使いの中でも、竜種を使役出来るのはひと握り。しかも、貴族に仕える者が多いのです」
「世の中、上手くいきませんね」