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道中

時は馬車の中にて、王城に向かっているところに移る。

私たちは今、大変なことになっています。

というか大変なことにしてしまいました。のほうがわかりやすいでしょうか?


さかのぼること五分前、私たちは馬車に揺られてゆっくりと移動をしていました。

私は初めて乗る馬車の中、ガタガタと揺れる中流れていく景色の中で、the 異世界といった中世風の建物を見て感嘆の言葉を口にしていました。

しかし私はうっかりしてしまい、フラグを立ててしまいました。

いや、本当に反省しているんです。本当に反省しているんですが、仕方がないじゃないですか。


デルフィがわたわたしているのも無理もない。

なぜなら、突如デルフィたちが乗る馬車を襲撃してきたドラゴンを倒してしまったのだから。

一番動揺しているのはデルフィであり、ため息をついているのはアヴリルであり、なぜか勝ち誇ったかのようにしているのはアリスであり、口を開けてぽかんとしているのは他の全員である。


現在、この馬車にはデルフィとそのメイドが乗っており、そのほかにも父、母、姉、妹とそれぞれ馬車があり、それぞれに専属のメイドが乗っているほか、使用人たちも何人か乗っているうえに護衛にランクの高い冒険者が二パーティついている。

さながらどこぞの大名行列といったところであるのだが、そんな大人数の口をぽかんとさせたのがデルフィ本人であるのだ。


では、どのようにしてデルフィドラゴンを倒したのだろうか?


簡単である。


まず飛来してきたドラゴンが馬車の屋根を爪で切り裂き、粉々にする。

デルフィはとっさに「誰でもいいから助けてください」と叫ぶ。

その呼びかけに応じた大地の神ゴンザレスがデルフィに身体強化の魔導を施す。

デルフィが顔面まで近づいた近づいたドラゴンを全力で殴る。

ドラゴンが吹っ飛ぶ。

馬車の外で臨戦態勢をとっていた冒険者たちと、馬車から一部始終を見ていた人たちがあんぐりする。


以上である。

否、異常である。


理由は簡単である、どうやって思考を巡らせれば公爵家育ちの箱入り娘が、つい昨日まで昏睡状態にあった少女がドラゴンを倒せるというのか。


この簡単かつ不可解すぎる現実にみんなは驚いているのだ。


ここで本人の視点に移ろう。

ーーーーーーーー


あぁ、、、やっべ。

やらかしちまったかぁ.

自分でも何が起きたのか全く分かりません。

誰か助けてーって叫んだら急に目の前が真っ黒になったんだ。

はじめは怖かった。

なんせ意識はあってしゃべることはできるのに、体を動かすことはできなくて、しかもどこぞの美少女戦士の変身よろしく全裸にされた状態。

どこからかふと声が聞こえてきて、何度かこえをかけていたら急に目の前にショタが現れたんだ。

其の顔はきりりとしていて髪型はぱっつんというやつであった。

ついでに言うと彼の格好は腰に布を巻いただけというものであった。

さらに彼はこういったのさ。

「僕はこの世界の大地をつかさどる神、ゴンザレスだよ!ご主人様の肩にいつもは乗ってるんだけれど、君の呼びかけに答えてやってきたよ。」

「えぇ!あのちっちゃいダンゴムシが噂のゴンザレスって神なの?!」

「ムムム、口の利き方がなっていない子だね、そんな態度の君にはこれから要望の通りに力を使う代わりに何かしらの対価を要求しよう!」

「ひ!す、すいませんでしたゴンザレス様!そ、それに対価ですか?」

「そんなにかしこまらないで、対価といっても危害は加えないし、君にとって逆に利益になると思うよ?とくに変態な君にはね。」


むむむ、ここまで変態と言われてしまっては少し悔しいものだね。


「んーそういったって現実君は相当な変態じゃないか。今更否定したところで遅いよ。じかくしなよー」

「んなっ!まさか頭の中が読めるというのか!やめろ、プライバシーもくそもないじゃないか。」

「気にしない気にしない。だってここは君の頭の中なんだから。そんなことよりも僕に用があって読んだんじゃないのかい?」

「そ、そうでした。えぇ、お願いですが、助けが欲しいのです。この状況、まさしく絶体絶命。私には力がないし、どう考えたって護衛の人たちもみんな腰を抜かしているではありませんか。」

「ふふん、なるほど。よろしい、その願い聞こうじゃないか。」


そう答えると、目の前のショターもとい大地の神ゴンザレスーが片手を前に突き出して私の体に触れた。

直後その手は美しく光輝きだし、わたしの全身は温かい光に包まれた。さらに、ゴンザレスは互いの体が触れ合うほどに近づくと耳元で呪文をささやきだした。

それは聞いたことのない言葉だったが不思議と意味は分かった。


『世界に告ぐ。私の名はゴンザレス。この世界の大地をつかさどる神である。

これより私はある少女の守護者となりて、いついかなる時も彼女のそばで見守り彼女を守り抜くと誓う。』


意味が分かるようなわかんないような。しかし何を伝えたいのかを大まかに聞き取れたという感じである。


「ふふ、君の体、温かいね。意味はまだ分からずともいいさ。ただ、君の体は命は大切なものはこの僕が守るよ。さぁ、契約の仕上げだ。僕に体を預けたまえ。」

「お、お願いします。」


ゴンザレスの言葉に半ば照れながらそう答えると、密着するほどまでに近づいていた彼がさらに触れ合おうと両手で私の頭を抱え込むように強く抱きしめた。

さらに気づけば彼を包み込んでいた布が消え去り、お互いの旗が際限なく触れ合う。

私の顔は彼の胸に押し付けられ、彼は慈愛に満ちた手で

最も私に比べて彼のほうが少し身長が低いため、彼のフニフニとした何が私の口の中に入っている気もするのだが、その先は別で語るとしよう。


そんなこんなで神との契約は終わり、回想シーンは終わりを迎える。


ーーーーーーー


思いのほかデルフィが殴り飛ばしたドラゴンは高く飛び、着地の衝撃で大量の土を吹き飛ばし、あたりには砂煙が舞った。


そして、吹き飛ばした本人は(このままでいるとお嬢様らしくないから、とりあえず椅子に座って腰が抜けたふりして待つか。)と変なところで冷静になり、立ち込める砂煙の中悲鳴を上げた。


その後立ち込めていた砂煙は収まり、馬車の中には腰を抜かした(?)デルフィがおり、

わざとらしく「怖かったです、」といったのだが、「なわけあるか!」と冷静さを取り戻したその他大勢に口をそろえて怒られたのはまた今度。


そんなこともありながらにぎやかに王城へと進むのであった。





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