表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】  作者: メソポ・たみあ
第3章 悪役男爵とバロウ家

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/235

第31話 "王"の誕生


 ――俺とレティシアがFクラスに編入されてから、一ヵ月後。


「それでは、Fクラスの”(キング)”はアルバン・オードランくんに決定ということで!」


 パウラ先生がパチパチと拍手。

 さらに黒板には”おめでとうアルバン・オードラン!!!”とデカデカと書かれている。


「はい……面倒くせぇけどやります……」


 あーあ、とうとう決まっちゃったよ。

 まあ別にいいけど。

 レティシアが推薦してくれた時から、腹は決まってたし。


 ――どういう経緯か知らないが、レティシア誘拐事件があった少し後、


『俺たちはお前を”(キング)”と認める』


 とマティアスから告げられた。

 これはFクラスの総意であると。


 そう言われたら、もう断る理由もない。

 俺は大人しく、”(キング)”とやらをやることにした。

 クラス内が静かになるなら、それに越したことはないしな。


 それはいい。

 それはいいんだが……。


「でもさ……なんでソイツがまだ居るワケ?」


 俺はさも当然のように席に着くイヴァンを睨みながら言う。


 てっきりコイツは学園を去るものとばかり思っていた。

 かの誇り高いスコティッシュ公爵家の人間が、王座争いに敗れたのだから。


 イヴァンはフンと鼻を鳴らし、


「僕が居ては不都合だ、とでも言いたそうだな」


「不都合どころか不快だわ。そもそも、俺はお前を許してないんだからな」


 だってコイツのせいでレティシアが危ない目に遭ったんだし。

 殺していいと言われたら、今この場で殺せる。


 いや、やっぱ殺しておこうかな。

 またいつ俺らを陥れようとするかわからないから。


 なんて思っていると、


「私が在籍を許したのよ」


 後ろの席のレティシアが言った。


「え……レティシアが?」


「私たちとイヴァンをまとめて陥れようとした”串刺し公(スキュア)”とかいう謎の男……その手掛かりを握っているのは彼だけだから」


 ――ああ、そういうことか。

 そういえば黒幕がいるんだっけ、今回の事件。


 イヴァンを唆した仮面の男。

 レティシアが捕まった倉庫には現れず、その行方は未だに掴めていない。


 ゴロツキ集団のボスも正体を知らなかったみたいだし。

 証言も曖昧で、尻尾が掴めるかは怪しい。


 そんな”串刺し公(スキュア)”と直接会ったのはイヴァンだけ。

 コイツを放逐したら、”串刺し公(スキュア)”を探す手掛かりが失われるかもしれないのか。


 ぶっちゃけモヤモヤとはするが、


「……レティシアがいいなら、俺はいい」


「そう言ってくれると助かる。僕もまだ、やり残したことがあるからな」


「やり残したこと?」


「ああ……キミたちへの罪滅ぼし、そして僕を陥れた”串刺し公(スキュア)”に一矢報いてやらねば、気が済まないのでね」


 なんとも恨めしそうな顔で言うイヴァン。


 ……つまりは復讐か。

 まあ気持ちはわからなくもない。

 一応はイヴァンも陥れられた側だからな。


 なるほど、私怨が混じるとなればまた裏切る可能性は低いだろう。

 ま、一応警告はしておくか。


「……そうかい。言っておくが次はないぞ」


「理解している。……改めて、すまなかったな」


「はーい! 私語はそこまで!」


 話の流れを戻すように、パウラ先生がパンパンと手を叩いた。


「今日から三年間、Fクラスはアルバンくんに絶対服従となります! 皆、”(キング)”の命令には死んでも従ってくださいね!」


「思ったんだけど、俺が”(キング)”ってことはパウラ先生も配下ってことになるのか?」


「いいえ! 私のことは”(キング)”の上の”皇帝(エンペラー)”と思ってください!」


「あ、そう」


 いやまあ、聞いてみただけだけど。

 そりゃ先生が生徒の言いなりになっちゃ駄目だよな。

 学級崩壊になっちゃうし。


「でも皆さんは凄いですよ! AからEまでの各クラスは、現時点で最低でも一名以上の退学者を出していますから!」


「え? そうなの?」


「はい! 退学者を一名も出さなかったのはFクラスだけです! きっとアルバンくんのカリスマがあってこそですね!」


 違うと思うが。

 俺別にクラスに対してなんもしてないし。

 どちらかというとレティシアのカリスマのお陰では?と思ったり。


「これは教師陣が想定していなかった、本当に予想外&驚異的なことです! ですので――なんとファウスト学園長が、直々に表彰をしてくださるそうですよ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました』✨️
『怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました』1巻書影
ご購入は こちらから!
― 新着の感想 ―
[良い点] あっさり皇帝を名乗るパウラ先生、多分この作品で一番頭ぶっ飛んでて好き
[一言] 普通は殺すと思うが・・・ 殺さないにしても殺人教唆とかで捕まらないもんなのか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ