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【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】  作者: メソポ・たみあ
【第2部】第2章 スコティッシュ兄弟の確執

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第204話 ローエン VS ジャック


 ――ローエンは後悔していた。

 コルシカに〝王位決定戦〟の継続を許すべきではなかったと。

 なにがなんでも止めさせるべきだったと。


 だが後悔の念以上に、心の中で激しい憤怒が煮え滾る。


 よくも――。

 よくも――コルシカの〝喉〟を、潰してくれたな――!!!


 ローエンは我を忘れるほど、怒りに震えていた。


 コルシカにとって、喉はなにより大事なモノだった。

 歌うことが大好きな彼女(アイドル)にとっては、もしかしたら命よりも大事だったかもしれない。


 ……〝職業騎士〟が戦いで傷付くのは仕方ない。

 それ自体は許容せねばならない。

 例え、その果てに死しかなくとも。

 ローエンもそれは重々理解できていた。


 けれど――コレ(・・)は違う。

 ジャックは明らかに、極めて故意的にコルシカの喉を潰した。

 彼女がなにより大事にしていたモノを奪ったのだ。

 その上で〝耳障りだ〟と吐き捨てたのだ。


 ローエンには、それが許せなかった。

 コルシカが大事な後輩だから、というだけではない。

〝職業騎士〟の(ほまれ)に泥を塗られたからだけでもない。


 ローエンも――彼女の歌声を愛していたのだ。

 彼は――楽しそうに歌っているコルシカを見るのが好きだったのだ。


 よくも――その全て(・・)を――!


 この畜生(・・)だけは生かしておけない。

 ローエンは全身全霊で、憤怒と憎悪を込めて戦斧を振り下ろす。

 それは一切の容赦なく、ジャックの身体を一刀両断するつもりで放った一撃だった。

 

 ――しかし、


「……()だ」


 戦斧がジャックに当たる寸前――その刃が塞き止められる。

 まるでジャックと戦斧の間に、見えない壁でもあるかのように。


「――ッ!?」


 一瞬なにが起きたのかローエンには理解できず、激しく戸惑う。


 なんだ――?

 なにか魔法の類か――?


 ――いいや、違う。

 今、明らかに、〝見えないなにか〟によって受け止められた。

 なにかに――戦斧を掴まれた(・・・・)感覚があった。


 ローエンの手には、その感触が明瞭に伝わってきた。

 盾のような固い物質に弾かれたのではない。

 風や空気のように感触がないモノに受け止められたのではない。

 掴まれたのである。

 ジャックではない何者か(・・・)によって。


 ――ジャックだけじゃない。

 目の前に――透明な〝なにか〟がいる。


 ローエンが直感的にそう判断した刹那――彼の右腕が〝なにか〟に掴まれる。

 同時に、戦斧を持つ右腕が〝グシャッ!〟と握り潰された。


「ッ!? ぐああああああああああああああああああああああああッ!!!」


 反射的にローエンはジャックから距離を取る。

 ローエンの右腕前腕部は呆気なく骨がへし折れ、あり得ない方向へと曲がっていた。

 もはや戦斧を持つ握力など出しようもないが、それでも左手でしっかりと戦斧の柄を握って離さなかったのは、彼が真に戦士であり〝職業騎士〟である証左とも言えよう。


「ク、クソ……ッ!」


 ジャックと間合いを離したローエンは、ようやく――ようやく気付く。

 怒りのあまり見えていなかった、見逃していた光景に。


 ――ジャックの背後だけ、〝雨〟の落ち方がおかしい。

 降り注ぐ雨水が透明ななにかを伝って地面へと落ち、非常にぼんやりとではあるが、物体の輪郭を映し出している。


 だがそれでも、その全容や全体像は把握できない。

 あまりにも完璧に透明だからだ。

 ただ一つわかることは――ソレ(・・)はジャックの身体などよりも、ずっとずっと大きいということである。


「鬱だ……鬱だよね……〝■■の落とし子〟」


 陰鬱な表情のまま、どこか焦点の合わない目をして、ジャックは呟く。

 それに合わせるかの如く、ローエンは〝見えないなにか〟に殴り飛ばされる。


「がぁ……ッ!」


 凄まじい怪力。

 それを諸に胴体に受けたローエンは、口から血反吐を吐いて吹っ飛ぶ。

 

 ――攻撃が全く見えない。

 雨水で僅かに輪郭が見えたと思ったら、すぐに攻撃が飛んで来る。

 それも間合い(リーチ)が読めない。

 どれだけの距離を攻撃が飛んでくるのか、予測することすら困難だ。


 ローエンは恐怖する。

 自分がなにと戦っているのかわからない、という眼前の事態に。

 自らの額から流れ落ちる雫が雨なのか冷や汗なのか、もはや彼自身にももはや判断がつかなかった。


「バ……〝化物(バケモノ)〟め……!」


 負傷した身体で、ヨロヨロとローエンは立ち上がる。

 そして残った左手で戦斧を構える。


「鬱鬱する……皆死ねばいいのに……。皆死んで、生まれ変われればいいのに……。僕も……お前も……」


 ――ザァザァと降りしきる雨の中、宙でなにかが雨を弾く。

〝見えないなにか〟が、雨の中で動く。


 攻撃が来る――。

 そう思ってローエンが身構えた――その時、




「――なーにやってんだよ、この阿呆」




 そんな気の抜けた声と共に、一人の悪役(・・)が〝見えないなにか〟を斬り落とした。



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>「鬱鬱する……皆死ねばいいのに……。皆死んで、生まれ変われればいいのに……。僕も……お前も……」 こういうこと言う奴に限って実際死にそうになるとビビッて逃げ出しがち
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