神様って……
私が住む街には、縁結びで有名な神社がある。
ある有名人がそこで結婚式を挙げ、話題になった。
高三になる前の春休み、高一から仲がよかったAとMと、その神社近くの繁華街に遊びに行った。そして、思いつきでその神社に行ってみることにした。
高一の時は三人とも同じクラスだったのだが、高二になってMだけが別のクラスになってしまった。だから、Mは「高三は三人が同じクラスになるようにお願いする!」と、妙にはりきっていた。
Aと私は、それに付き合うことにした。
境内はがらがらだった。
賽銭箱にお賽銭を入れ、柏手を打つ。お金の話をするのは、いやらしいが、Aと私のお賽銭は十円。手を合わせた時間も僅か。
一方、Mのお賽銭は五百円! 私達の五十倍だ。Mは自分の思いの全てを、神様に伝えるように手を合わせていた。
神社からの帰り道、Mは満足そうに
「これで大丈夫!」
と、ご機嫌だった。
そして春休みが終わり高三になった。
なぜか、Mだけ別のクラスになった。
「あり得ない!」とMは憤っていた。それもそうだろう。三人の中で、一番お賽銭を出し、丁寧に手を合わせたのだから。
ちなみに、その神社で結婚式を挙げた有名人も離婚した。なんだかね。