告白
まさか復活したとは思わなかった。流石に。
だけど、復活したのなら、まあ同好会ということで最初から予算をあきらめている小さな団体だとは思うけど、うれしかった。
行ってみると、お客さんが普通に入っていて驚いた。
僕たちも、もちろんお客さんとして、入る。
すると、入ってすぐのところに、一人の女の子がいて、そしてその前に、美亜と僕が作った部室のミニチュアがあった。
「え、先輩、これ……」
あまりに驚いてめっちゃ怪しい人になって、美亜と部室のミニチュアを見ていると、
「あ、これはですね、部室の案内になってるんですよ。ここに建物系のミニチュア、こっちに乗り物系、一番出口に近いところは自然系ですね」
「あ、そういうことですか」
僕はうなずいた。
美亜と僕が作った部室のミニチュアは、改変されていた。
どういうことかと言えば、今の部室の状態が再現されているのである。美亜と僕がいた時の部室ではなくて。
「これ、もとは昔の先輩が作ったものらしいんです。なんか、先生の話だと、この先輩たちの後、すぐにミニチュアを作る部活はなくなってしまったみたいで」
「うん」
美亜と僕はうなずいた。まるで新しい話を聞く子供のように。
「あ、でもまたなくなりそうなんですけどね。今部員二人なんで……あそこにいる先輩なんですけど」
もう一人の部員を見る女の子。もう一人は男子で、忙しそうにしていた。
「復活、してましたね、先輩」
「そうだな」
僕はうなずいた。
「しかも、あの二人、なんか先輩と私っぽかった気もしますね」
「するな」
屋台で買ったクレープを食べながら、うれしそうにしている美亜の目は、やっぱり一緒にミニチュアを作ってるときみたいな輝き方だった。
そんな美亜を眺めて、さて、次はどこに行こうかとパンフレットを見ようとしたけど見れなくて。
そのまま美亜を眺めて言った。
「あのさ、美亜……僕、美亜が好きになってる」
「え、え、え、ほんとですか?」
「ほんとだな」
「う、うわーマジですか。なんでですか? あんなに恋しないって言ってたのに」
美亜は取り繕った軽いノリで、なのに少し緊張して僕にそう訊いてくる。
「なんでかというと……いつの間にかなんだけど。まあ、例えば、僕たちが自己満足でつくった部室のミニチュアが、いつの間にか後輩に見つけられて、そして文化祭で使われてたみたいに」
「そうですか。まあ……色々言い訳気味な先輩はいいところだらけですけど、結局、私のこと、好きになっちゃいましたね?」
「そうだな」
「……先輩、油断しましたね?」
「油断はしてないけど、好きになったかな」
「……ということは、かなり好きですね?」
そう自慢げに推理してくる美亜に僕は、抱きつかれた。
誰もいない部室でもなくてここ、屋台の近くの中庭ですけど。
さすがにためらっている僕に、美亜は言った。
「だめですー。三年かかったんですから。思いっきり抱きつかれても、文句は言えないですからねっ、先輩」
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