三年後の文化祭
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そして、それから三年。
僕は大学生で、美亜も大学生になった。
そんな美亜と僕は、高校へと続く、坂の下で待ち合わせた。
今日は、高校の文化祭の日だ。
「おはようございます先輩」
「おはようー」
美亜と僕は同じ大学だし、普通に仲がいいままだった。
ミニチュアを作るサークルに入ってるとかそういうのはないけど、ただ、よくご飯食べて少し遊ぶくらいに仲が良かった。
「文化祭、ですね~」
「結局あんまり文化祭は満喫できずじまいだっからな、僕たちが高校生の時は」
「そうなんです」
ミニチュア部はつぶれて、その後、あの部屋がどうなったのかもわからない。
けど、どんな部活が使ってようと、空き部屋だろうと、あの部室には行ってみようと思った。
校門の前まで来た時、なんと幼馴染に出会った。
幼馴染とは大学が別だし、会ったのは久々だ。幼馴染とはいえ、違う学校になると案外会う回数が減ってしまうんだな、と思った。
「ひさしぶりじゃんー」
幼馴染と一緒にいた元同級生だった人たちも、僕を一応覚えているようで、幼馴染と一緒に手を振る。
僕も覚えてはいたから
「ひさしぶりー」
と返した。
そして卒業生来場者受付のところに行き、パンフレットをもらう。
「どこから行きましょうかねー。やっぱり文化部部室棟の二階からですかねー」
「うん」
ミニチュア部の部室の位置を言った美亜に、僕はうなずいた。
案内図なんか見なくてもさすがに覚えてるから早速行こうと歩き出した僕の後ろで、美亜が、
「あれ? 先輩」
と声を出した。パンフレットを広げている。
「どうした?」
「なんか、な、なんかミニチュア同好会っていうのがありますよ」
「マジで?」
「しかも、場所が、展示をやってる場所が、わたしたちがいた、部室ですね」