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百合の話(仮題)  作者: ねこのぬいぐるみ
55/64

55話 恋愛相談

 〇湊優希


「もしもし真雪、今いい?」


『優希からとは珍しいねーいいよー』


「……」


『優希ー?』


「あ、えっと……その、なんて言えばいいのかな……」


 恋愛相談。告白の返事についての相談。


 その相談相手になってもらおうと、私は真雪に電話をかけたわけだけども。


 告白してきた相手がなっちゃんのため、共通の友人である真雪や莉奈に相談するには躊躇いがあった。


 上手く誤魔化して相談出来ればいいけど、口を滑らせたりして、なっちゃんが今まで隠してきたことが真雪と莉奈に知られてしまうのは避けたかった。


 私になっちゃん達以外の友人がいれば比較的気軽に相談できたのだろうけど、残念ながらそんな人はいない。


 2人以外で私に残された候補は優香ちゃんくらいだった。遥さんは恋人なので論外。両親なんてもってのほか。


 そして優香ちゃんにもできれば話したくなかったので、先に真雪に話を聞くことにしたのだった。


 莉奈より真雪が先な理由は、真雪は何度か告白されたという話を聞いたことがあるから。そして莉奈のそういう話は聞いたことがなかったから。


 それはさておき。


 どうにかして、なっちゃんのことを隠しながら話を聞いてもわらないと……。


「……聞きたいことがあるんだけど」


『それってー、なっちゃんに告白された話ー?』


「……」


 あれー?




 数秒後。


 莉奈、通話参加。


『今どんな状況?』


『優希がなっちゃんに告白されたってー。まだそれだけー』


『そう。優希、実は今なっちゃんからも話聞いてるところなの。ディ〇コの方で。でもこっちは通話してないから気にしないで』


 ちなみに、現在私たち3人が使ってるのはLI〇Eの方。


 それはさておき。


「一つ聞いていい?」


『なにー?』


「もしかして……二人ともなっちゃんのこと知ってたの?」


『うん』『いえすー』


 軽い。衝撃の事実が軽々と肯定されてしまった。


『隠しててごめん。なっちゃんに絶対言わないでって言われてたから』


「いや、私も全然気づかなかったし……」


『仕方ないよー。だってなっちゃん今まで気づかれないようにしてたからー。それに普通、友達からそんな風に思われてるなんて思わないよー』


『その点、優希はいい子だよね。私だったらキスされた時点でなっちゃんぶっ飛ばしてる』


『私もー、正気を疑うねー』


「あはは……」


 この二人は容赦ないな。


『ていうかさ、なんとも思わなかったの?』


「え、何が?」


『だから、告白されて』


「うーん……混乱しすぎて、よく分かんなかったというか」


『それで答えを保留にしたと?』


「あ、うん。なっちゃんから聞いたの?」


『そうだよ』


 事情は説明するまでもないらしい。


 それなら、と、私は二人に質問した。


「いつからなのか知ってる?……その、なっちゃんが私のこと……」


『中一からだよ。夏休みくらいからかな?』


『それくらいだねー』


「そっか」


 そんなに前から……。


『それでー、優希は断るのー?なっちゃんのことー』


「それは……」


 告白は断るつもりだった。なっちゃんに考えさせてと言ったのは、落ち着く時間が欲しかっただけで……。


『悩んでるんだったらー、付き合ってあげてほしいってー、思うんだよねー』


「真雪?」


『なっちゃんねー、本当に優希のことが好きなんだよー。それでようやく告白できたのにー、優希が断ってお終いっていのはー、嫌だなーって思うのー』


「……」


『本音を言えばー、ここまで引っ張っておいて何もないっていうのはー、私が納得いかないー』


「真雪……」


 はっきり言い過ぎ……。


『それからー、恋人がいるからって理由でー、断ろうとしてないー?』


「うん、そうだけど……」


『それは正しいんだけどねー。うーん。なっちゃんはこういう言い方しないと思うから私が言うけどー、優希はなっちゃんと遥さんどっちの方が大切なのー?優希はー、なっちゃんより遥さんを優先するってことー?』


「……」


『優希がなっちゃんの告白を断る理由がー、なんか気に食わないんだよねー。相手が全く知らない他人ならともかくー、なっちゃん相手にそれだけの理由で断るのはー、本当になっちゃんのこと考えてるのかなーって』


「……」


『どうしてもなっちゃんと付き合うのは嫌とかー、優希が本当に遥さんのことが好きならー、話は別だけどー』


 それから。


 莉奈とも一言二言話してから、通話は終了したのだった。



 〇


「言い過ぎたかなー」


 と真雪は呟いた。


「大丈夫じゃない?」


 と莉奈。


「どうでも良さそーな返事ー」


「そんなことないけど」


「不安ー?」


「別に」


「強がってるー」


「はいはい」


「なっちゃんを慰める会の準備ー、先にしとくー?」


「振られると思うの?」


「どうだろー。優希の反応からしてー、十分脈アリと思うんだよねー。ただ優希いい子だからー、やっぱり同時に付き合うって部分がねー、難点だよねー」


「そう」


「ちょっと安心したー?」


「……要するに、なっちゃんの頑張り次第ってことね。なっちゃんにもそう言っとく」


「上手くいくといいよねー」


「一番辛いのは優希かも」


「そうかもねー。その時はー、また話聞いてあげようねー」


「そうだね。優希、自分から話したりしないタイプだから」


「うふふー。やっぱり心配なんでしょー?」


「うるさい」

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