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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
98/200

098 第一柱・聖聖霊ミニサラマンダー

「というわけで、今日からお世話係になったアレクシスです」

「うん。よろしくね、アレクシス」


 さっそくニーナの部屋に向かい、挨拶を行う。

 お世話係になったとはいえ、身の回りの世話はリンシアの役目だ。

 さすがに男が着替えをさせたりするのは、ね。

 あくまでもコミュ力と魔法の指導をするといった立場である。


 リンシアが大公様との面談が終わるまで雑談の時間。

 心象魔法の魅了を使っていないが、ニーナは問題なく話せているようだった。


 魔精霊イフリートやシルフィードの戦いを説明したり、リンシアとリリーとはどんな関係なのかと聞かれたり。

 ニーナは長年引きこもりであったため、あっち方面の知識には疎いようだ。

 二人とのあんな関係やこんな関係はボカしておく。

 勇者パーティーの仲間ですよ、はい。


 話題に上がったリリーはニーナの為に持ってきたお菓子とお茶を平らげたところだ。

 護衛の役目はどうした、完全に寛いでるぞ。


「おまたせしました」


 そう言いながらリンシアが入室してくる。

 大公様との面談が終わったらしい。


 さてと、全員がそろったので、帝国の拠点まで転移だ。

 さすがにこの狭い部屋で禁術魔法の練習を行う訳にはいかないし、まだ引きこもっている設定のニーナが堂々と街を歩いていくのもマズイ。

 確実に変な噂が出て、帝国の拠点を勘付かれてしまうかもしれないからな。


 転移するから近づいてくれとお願いしたら、三人とも微妙な顔で近寄ってきた。

 うん、転移したら気持ち悪くなるもんね。

 頼むからそんな顔しないでくれ。

 後何回か飛んでたらきっと慣れるって。


 拠点に転移し終わった瞬間、リンシアが治癒魔法をかけて酔いを無効化する。

 すぐ治るとはいえ、やはりキツイみたいだ。

 うーん、酔いにくくするよう術式を改良するべきだろうか。

 聖精霊召喚も神のいる世界から力を転移させているような術式だし、もしかしたら応用ができるかもしれない。


「きゅおー」

「わ、なに、この子!」


 ニーナがちょっとテンションの高い声を出した。

 足元には二十センチほどの小柄な赤いトカゲのような生物がいる。


「聖精霊サラマンダーだよ、召喚魔法に慣れる訓練でミニサイズを召喚してるんだ」

「か……かわゆ……触ってもいい……?」

「もちろん」


 ニーナに撫ぜられたミニサラマンダーが気持ちよさそうに「きゅおー」と、鳴き声を上げる。


 昨日、アーネリアフィリスから授かった禁術魔法の練習だ。

 召喚魔法を少ない魔力で発動させるには、如何に効率よく術式を構築できるようになるかがキモである。


 俺の魔力量は今も徐々に増え続けているようだが、第四柱以降を呼び出すにはまだまだ足りない。

 ならば、発動する際の負担を減らし、俺の魔力量でもギリギリ発動できるように最適化すればいいのだ。

 と、与えられた知識が俺にそう訴えている。


 簡単に言ってくれるが、召喚魔法の構築はめちゃくちゃ複雑で慣れてないとかなり魔力を浪費してしまう。

 だからミニサイズの聖精霊を召喚し続ける練習をして、感覚を身体に覚えさせているのだ。


 このサイズであれば、呼び出すのにそこまで負担はかからない。

 とはいえ、禁術魔法なので普通の人が真似したら即死だろうけど。


 ミニサラマンダーはニーナにもみくちゃにされている。

 ついでにリンシアとリリーにも、もみくちゃにされている。

 なんかちょっと羨ましいぞ。


「あれ、アレクシスだ。仕事は? もう帰って来たの?」


 わいわいと騒いでいると、アンナがやってきた。


「まだ仕事中、今からニーナの魔法訓練だから」

「うあ、ホントに公女殿下を連れてきてるよ……。他の使用人が知ったら泡を吹くでしょうね、ま、わたしにはもう関係ない話だけど」


 切り替えが速いようでなによりである。

 そしてなぜ俺に抱き着いている、仕事中だと言っただろう。

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