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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
91/200

091 ちなみに俺は最初から酔わなかった

「ん。アレク、来た」

「時間どおりですね、アレクシス様」


 転移が完了した俺に二人が声をかけてきた。

 ああ、時間通りだとも。

 時間までに終わらせてきましたけど。


「くんくん。アンナ、抜け駆けしてる。今晩はお預け」

「それはいけませんね、私達は任務中だというのに。ね、アレクシス様?」


 バレてる。

 リリーの嗅覚の前で隠し事は不可能だった。

 はい、ごめんなさい。


「さて、ニーナさん。彼が事前にお話させていただきました、アレクシス様です。勇者パーティーの大魔法使いであり、凄い魔法を使う方ですよ」


 ふとリンシアの背後に視線をむけると、いた。

 ニーナがのぞき込むように俺を見ていた。


「ご紹介にあずかりました、アレクシスです。どうぞよろしく」


 二度目となる挨拶を行うと、ニーナがリンシアの後ろから出てきた。


「ニーナ・シュレンドールです。よろしくお願いします」


 前回の様なたどたどしさが無くなっている。


「今からニーナさんには帝国に向かっていただきます。もちろん、大公様には内緒ですよ?」

「うん、わかった」

「それじゃあ、さっそく転移するから。みんな、俺の近くに集まって」


 三人が魔法発動範囲まで近づいたことを確認したら、術式を構築する。

 一度に転移できる人数は多くても五人程度だろうか。

 俺自身を転移させるのはそこまで魔力を消費しないけど、他人を転移させるとなると途端に魔力消費量が上がる。

 三人転移させようと思ったら、余裕で火竜ドラゴンの魔法を発動させられるレベルだ。


 魔方陣が足元に広がり、眩い光が放たれる。

 準備完了だ。


「よし、飛ぶぞ」


 刹那、視点が切り替わる。

 以前、皇帝陛下に連れられてやってきた帝国宮殿の庭だ。


 そして視線の奥には――、台座に刺さる聖剣カラドボルグが存在した。


「うっ……」

「うぷっ……」

「ふぇ……」


 あれ、リンシアとリリー、そしてニーナがその場にかがみこんだ。


「どうした、大丈夫か?」

「は、はい……なんとか……。初めての感覚でしたから……」

「揺れる馬車、乗ったみたい。うっぷ……」

「あ、だめ」


 ニーナが口を抑え、一目散に木の裏へ走っていった。


 どうやら、気持ち悪くなってしまったらしい。

 転移する際は独特の感じがある。

 何というか、全身を揺さぶられるような。

 俺は慣れてるから大丈夫だけど、初めての三人には少々キツかったようだ。


 転移酔いというやつかな。

 リンシアが治癒魔法を発動させたので、すぐに復帰していた。


「アレクシス、リンシア、リリー。任務の遂行ご苦労。そしてニーナ、よく来てくれた」


 おっと、皇帝陛下が待ち構えていたようだ。

 木陰から出てきたニーナはフラフラとしながら皇帝陛下に会釈する。

 治癒魔法により気持ちの悪さは無くなっているだろうが、まだペースがつかめていないようだ。


 さっきまで部屋に引きこもってたからな、仕方ないね。

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