表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
89/200

089 よし、じゃあ俺の女になれ

 やっとのことで落ち着いてきたようだ。

 際どいアンナ先輩は上着を羽織り、あまり元気のない表情のまま椅子にちょんと座っている。


「アレクシス、来てくれてありがと。とっても嬉しいわ」

「どういたしまして」

「でも、わたしがやったことは決して許される事じゃない。たとえ魔法で引き起こされたものだったとしても、わたしがそれを望んでたんだから」


 どうしても自分に非があると譲れないものがあるらしい。

 いくら俺を想っていても自分を許せないのだろう。

 けじめをつけるつもりだ。


「だから、わたしは身を引くわ。アレクシスにはもう素敵な人が二人もいるんだもの」


 リンシアとリリーが勝ち誇った顔をする。

 やめなさい。


「これからどうするつもりです?」

「……さすがに公族のメイドを首になったって汚名がついて、もう公国にはいられないから。どこか別の国でひっそり暮らすとかかな」


 今まで積み重ねてきた五年間の努力が無駄になる。

 際どいアンナ先輩は着実に信頼を積み重ねていた。

 あと数年メイドを続けていれば公族のお世話を任されていたかもしれない。


「だいじょぶ。わたし、掃除は得意なんだから。アレクシスも知ってるでしょ。なんとかなるわよ」

「この部屋を見る限りはちょっと心配ですね」

「……うぅ。アレクシスを家に連れ込むまでには片付けようと考えてました……」


 とんでもない計画を考えてたぞこの先輩。


「アンナ先輩、ちょっと提案があるんですが」

「なに、アレクシスが仕事でも紹介してくれるの? 末端の使用人なのに」

「はい、実は俺。帝国の人間なんです」

「へー、帝国の。ん、帝国……? 帝国……。帝国ぅ――っ!?」


 かなり際どい顔になってますよ、際どいアンナ先輩。

 かなり混乱してらっしゃる。

 でもまあ、そんな表情になるのは仕方ない。

 帝国の評判はあまりよくないし。


「え、んっと。んん……? 確かによく分からない魔法とか使ってるみたいだし……いやでも、悪い人じゃなさそうだし……え、アレクシスは何者なの?」

「身分でいうと勇爵ですね」

「……勇爵? ん、アレクシスって貴族だったの?」


 際どいアンナ先輩はぽかんとした表情になる。

 そういえば、勇爵は帝国独自の爵位なんだっけ?


「アレクシス様は皇帝陛下に実力を認められた素晴らしい方です。勇爵というのは聞きなれないかもしれませんが、一般的な公爵と同等の地位ですよ」


 さすがリンシア、バッチリと補足してくれた。

 それを聞いた瞬間、際どいアンナ先輩の表情がどんどん青く染まっていく。


「まま、まって、ま……こう……? へ……は……わたし、公爵様を口説こうとしてたわけ――――っ!?」


 叫んだあと、際どいアンナ先輩は椅子から転げ落ち、際どい場所を丸見えにさせてた。

 直後、体勢を立て直し、俺に向かって平伏す。


「どどど、どうかお命だけはご勘弁をっ!」


 国によっては貴族に無礼を働けば処刑される場合もある。

 際どいアンナ先輩の出身国は際どい国だったのだろう。


「おちついてください。別に罰するつもりはないですし、今はただの使用人ですよ」

「え、いや、でも……」

「アンナ先輩」


 真っすぐな視線を際どいアンナ先輩に向けた。

 心象魔法は使ってない。

 俺の本心を込めた視線だ。


「……はい」

「帝国に来て、俺に仕えてくれませんか?」

「う……ぐぐ、そこは命令でいいんじゃないかしら……。公爵様レベルの貴族の命令なら……わ、わたしも逆らえないし……?」

「よし、じゃあ俺の女になれ」

「まって、何その温度差!? いや、いいんですけど! アレクシスの女になってやりますけど!」


 よしよし、言質はとったぞ。

 これでもう際どいアンナ先輩は……いや、アンナは俺の女だ。


 はいさて問題はこの後。

 二人をどう説得するって……あれ?


「アレクシス様が本気でアンナさんを欲しいと思ったのなら、それを止める筋合いはありません。もちろん、中途半端な気持ちなら全力で妨害しますけど?」

「ぷいぷい」


 なんだか、仕方なしだぞみたいな雰囲気を出された。

 そしてリリー、そのぷいぷいは何なんだよ。


 けど、リンシアの言う通り、俺の気持ちは本気だ。

 魅了を使ってない今でも俺のことを想ってくれてるアンナを、俺は欲しい。


「アンナ」

「は、はい――っ!」


 そっと、口を塞いだ。

 触れる感触は熱く、間近に迫るアンナは真っ赤に染まりながら眼を見開いていた。


「ぷ……はぁ……あ……ぅ……。ア、アレク……シス……」


 唇を離し、アンナの羽織っている服を全て脱がした。

 産まれたままの姿となったアンナを――――、


「――――はぅっ!」




 いやあ、凄かったですね。

 あの後普通にリンシアとリリーも乱入してきたよね。

 あわてて音が漏れないように結界も張ったし、他の住人には迷惑かかってないはず……。


 そして一度に三人相手というのは人間にできる技じゃない。

 俺はついに、スタミナ回復の術式理論をリンシアに教えた。


 教えてしまった。


 そこからは……まあ、ね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ