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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
85/200

085 話は順調に進んで……あれ、順調に……?

「アレクシス様! 聞いてください! ついに交渉に成功しましたよ!」


 中級精霊の襲撃から数日後。

 リンシアが嬉しそうな表情で俺に話しかけてきた。

 どうやらニーナの説得に成功したようだ。

 久方ぶりに心から笑っているリンシアを見ることができて良かった。

 かわいい。


 俺がニーナの部屋を訪れたことはちゃんと秘密にしていたようで、真剣に語り掛けるリンシアの言葉に自ら耳を傾けだしたようだ。


 ニーナも努力したのだろうが、リンシアもめげずによく頑張った。

 誉めてやろう。

 そして存分に可愛がってやろう。

 ニヤリ。


「よく頑張ったな、リンシア」

「はい!」


 よしよしとリンシアの頭を撫ぜる。

 口をωにしながらスリスリと俺にすり寄ってくる。

 ついでにリリーも口をωしながらすり寄ってきた。


 ちなみに今、俺は心象魔法による魅了を発動していない。

 つまり、二人が俺に惚れてくれているのは心象魔法によるものではなく、本物ということ。

 心底安心したよ、ホント。

 ふつつかものですが、これからもよろしくお願いします。


 あ、ちょ、待って。

 今からですか。そっちのωですか。

 そうですや、やりますか。

 お手柔らかにお願いしますよ。


    ◇


 ニーナの転移は次の俺の休みの日に行う予定だ。

 仕事中に勝手に消えたら際どいアンナ先輩に迷惑がかかるし、前回のように体調不良を理由にすると今度こそ強引にお見舞いに来てしまう。


 ちなみに、先日の中級精霊襲来はただの大雨として処理されている。

 俺がパパっと倒したから実害もなかったし。

 いくら巨人が宙を舞っていたとはいえ、豪雨による視界不良の中、高速で動く精霊を目視するのは難しい。

 それこそ、禁術級の肉体強化で動体視力を強化しないことにはね。


 というわけで、今日も使用人の仕事だ。


「アレクシス、おっはよー! 今日もバリバリ……仕事……」


 俺を見つけた際どいアンナ先輩が声をかけてきたが、途中で声が萎んでいった。

 今、俺は心象魔法による魅了を完全に遮断している。

 姿を見ただけで魅力的に感じるということはないはずだ。

 際どいアンナ先輩もその雰囲気を感じ取ったのだろう。


「おはようございます、アンナ先輩」

「う、うん。おはよ」


 際どいアンナ先輩は禁術魔法の犠牲者だ。

 本来であれば、俺に想いを寄せることなんてなかった。

 ニーナが帝国に所属すれば、俺もこの仕事はおしまいになるのだし。


 俺のことはスッキリわすれて新しい道を歩んでもらおう。


「ねえ、アレクシス」

「はい、どうしました?」

「アレクシスは急にこの仕事辞めたりしないわよね……?」

「どうしたんです、急に」


 際どいアンナ先輩が上目遣いで瞳をウルウルとさせながら俺を見つめる。

 いつもの元気はなく、声は少し震えていた。


 ……あれ、思ってた反応と違うぞ?

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