077 女性が一人で部屋にいるときは、無断で入ってはいけないということを知った
「この国では十歳になったら魔法のお披露目会をするのよね」
「お披露目会ですか?」
「そ、特に公族は大々的に催しをしてこの国の象徴であることを見せつけるのよ」
どうやら、公族は比較的大きな魔力を代々引き継いでいるようで、上級魔法も扱えるらしい。
過去の公族がその力を使って街を発展させ、独立したとかなんとか。
お披露目というのは独立してからも力を保持し続け、今後も発展を続けることを約束する一種の儀式のようなものだ。
「で、公女殿下なんだけど。実は魔法のお披露目会をしなかったそうなのよ」
「そうなんですか?」
「ええ、お披露目会当日から凄い大雨が続いてね、そのままうやむやになって中止になったのよ。そこから引きこもりになったって噂。あのときの雨はホント凄かったのよ?」
ほほう、噂かもしれないが何か確信に近い内容なのではないか?
魔法のお披露目会が中止になり、魔法を見せることができなかった。
逆に、魔法を見せることができない理由があったのではないだろうか。
たとえば、初級から上級までの魔法が使えないとかね。
けど、お披露目会を中止せざるを得なかった大雨ってのも気になるな。
偶然大雨が降っていたからだろうか。
……それとも。
「これも噂だけど、公女殿下は魔法が使えないんじゃないかって話もあるわ」
これはビンゴ。
もし公女殿下が勇者であり禁術魔法しか使えないのであれば、その噂は本当である可能性が高い。
帝国もこの噂を探り、公女殿下をマークしていたのかもしれない。
「参考になりました。ありがとうございます、アンナ先輩」
「どういたしまして。感謝してるならわたしもそっちに加わ」
「それとこれとは話が別です」
「リリー、全力で阻止する」
「さすがに泣くわよ?」
なかなかガードは固いようだ。
◇
休憩も終わり、仕事へと戻った。
リンシアは良い意見を聞けたので頑張ってみますと意気込んで突撃していった。
検討を祈る。
そしてアンナ先輩、その眼はまだ俺を諦めてないな?
背後のリリーには十分に気を付けてほしい。
そのまま数日が経過した。
まだリンシアは頑張っている最中だが、俺も色々頑張っていた。
そう、禁術級の潜伏魔法を会得することができたのだ。
リリーと同じく完全に気配を遮断することができるようになったのである。
これで覗……ゲフンゲフン。
魔精霊との戦いでもかなり有利になれることは間違いないはず。
試しに際どいアンナ先輩が使用人の部屋で一人でいる時に試してみたが、まったく気が付いていないようだった。
誰もいないと思ったのか、際どいアンナ先輩がおもむろに俺の使用人の服を手に取り……匂いを嗅ぎ始めた。
あの、何をしてるんですかね。
それ、かなり際どい行為じゃないですか?
「んっ……アレク……シス……」
いやちょっと待って。
際どいアンナ先輩が椅子に長横になりながら服を顔にあて、足はぎゅっと閉じながらもぞもぞし始めた。
閉じられている足の間には手がサンドされている。
「はっ……うっ……」
際どい下着の中心を指で上下にさすりながら、やがて指は下着の中に吸い込まれていく。
使用人の部屋に危険な声と危険な音が鳴り響いた。
際どいアンナ先輩、これは非常に際どいですよ。
俺の身の危険を感じるので、そっと転移魔法でその場を後にした。
……ちょっと揺らぎそう。




