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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
74/200

074 別にこれはフラグではありません

 結局、際どいアンナ先輩にしごかれながら数日が経過する。


 拠点でも毎晩違う意味でしごかれている。

 ついにスタミナを回復する魔法理論が完成したけど、なんだか怖いのでリンシアには秘密にしてる。

 最近、リリーが全然出番がないと言いながらがっついてくるので、回復すれば朝まで休ませてくれなさそうである。


 それは置いといて、リンシアの躍進が凄まじい。

 あまりにも仕事ができるものだから、大公様に気に入られたそうだ。

 俺とは大違いである。


 そして、なんとなんとだ。

 リンシアが公女殿下のお世話を担当することになったのだ。

 ここに来て凄まじい進展である。


 が、どうも一筋縄ではない様子。

 なにやら公女殿下のお世話担当は頻繁に入れ替わっているらしい。

 理由はわからないけど、引きこもり生活をしている人物だ。

 少々難があるのかもしれない。


 俺にはどうすることもできないから、リンシアに頑張ってもらうしかないな。


「はぁ……」


 俺の隣で掃除をする際どいアンナ先輩がため息をつく。


「どうしたんですか、アンナ先輩」

「ホント、才能がある人は羨ましいわ。わたしなんて何年ここで勤めてると思ってるの? 五年よ、五年。それなのにリンシアの方が先に信頼を手に入れて公族のお世話を任されるなんて……ため息が出ちゃうわ」


 どうも、うちの優秀な人材が自信を失わせてしまったようで申し訳ありません。

 際どいアンナ先輩が優秀ではない、というわけではない。

 テキパキと仕事をこなし、俺の面倒までしっかりと見てくれている。

 優秀な人物だ。

 が、リンシアがさらに優秀なだけである。

 気を落とす心配はないと思うぞ。


「アンナ先輩ならきっとすぐに信頼を得られますよ。少なくとも俺はアンナ先輩を信頼してますから」

「……アレクシス、アナタ女たらしってよく言われない?」

「言われたことはないですね……」


 呆れた視線を際どいアンナ先輩に向けられた気がする。

 断じて俺は女たらしではないぞ。

 二人から迫られたりするけれど、断じて違う。

 多分。


「あーあ、あと何年働けば信頼を得られるのかしら。先が見えないわ」

「結果が出せないと焦るのは仕方ないですよ。地道に続けるしかないです」


 俺も王国で初級魔法すら使えない日々を送っていた時は辛かった。

 きっと際どいアンナ先輩も同じ気持ちなのだろう。

 だけど、続けてればきっといいことがあるさ。


「ま、アレクシスの方がもっとお先真っ暗だろうけど。仕事ぐらい、はやくちゃんとできるようになりなさいよね?」

「が、頑張ります」

「はぁ、とはいえよ。このまま出世できないんなら別の道を選ぶってのもありよね。アレクシス、ぶっちゃけアナタこの仕事向いてなさそうだし。どう、わたしと駆け落ちでもしない? 不器用だけど顔も性格もいいし」

「——ブッ!?」


 急に何言ってるんだこの人!

 いや確かに際どいアンナ先輩に魅力がないわけではない。

 面倒見が良くて家事もできる、嫁にするならかなりの優良物件であるだろう。

 そして時々見える際どい下着は実に際どい。

 たまにワザと見せてきてるんじゃないかと思うときもある。

 きっとメイド服が際どいせいだからだ。そうに違いない。


 が、そんな中途半端な理由で駆け落ちする訳にはいかないだろう。

 リンシアとリリーに殺される。


 二人とも、本気で俺を愛してくれたのだから。

 曖昧に際どいアンナ先輩に答えることはできない。


「くしゅん! ……なんか冷えてきたかしら」


 それは多分姿を隠しているリリーが威圧しているからだ。

 静まりたまえ、静まりたまえ。


「すみませんが、遠慮しときます」

「はぁ、振られちゃったわ。アレクシスは話しやすいし、気が合うと思うんだけどなぁ。最近全然いいことないんだけど、いつになったらわたしに運が向いてくるのかしら」


 際どいアンナ先輩に幸あれ。

 心からそう思う。


 ともあれ、任務を遂行するにあたりリンシアが無事に公女殿下を説得してくれるのを待つしかない。

 それが完了すればやっと俺の出番がやってくる。


 それまでは……際どいアンナ先輩が少しでも公族に信頼してもらえるよう、力を貸してあげるかな。

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