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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
73/200

073 なかなか接触できないのでは?

「アンナ先輩、公女殿下ってどんな方なんですか? 他の公族の方はたまに見かけるんですけど、公女殿下はまだ見たことがなくて」

「あー、まあそうでしょうね。わたしもほとんど見たことないから仕方ないわ」


 余りにも公女殿下と遭遇でいないものだから際どいアンナ先輩に聞いてみると、不穏な返事が返ってきた。


「ほとんど見たことがない、というのはどういうことです?」

「部屋からほとんど出てこないのよ。あまり社交的なタイプじゃないらしいわ」


 なるほど、引きこもり生活をしているわけか。

 どこぞのドラゴンを思い出す。

 植民地で元気にしているだろうか。


 しかし部屋からほとんど出てこないとなると困ったな。

 交渉しようにも接触できないのであればしようがない。

 どうにかして話す機会を設けなければ任務の達成は難しいだろう。

 無理やり帝国に転移させて、それで公女殿下が騒げば外交問題になりかねない。


「というか、アレクシス。アナタほんとセンスないわね、リンシアを見習いなさいよ、完璧に掃除をこなしてるわ」

「言い返す言葉もございません……」


 はい、ぶっちゃけ使用人の仕事なんて初めてやるもんだから際どいアンナ先輩にお世話になりっぱなしだ。

 あーだこうだ言ってくるけど、意外と面倒見のいい先輩である。


 で、リンシアの方は完璧に仕事をこなしている。

 これが才能というやつなのだろうか。

 美人で脅し……じゃなくて外交もできて、ついでにメイドの仕事も完璧にこなしてみせる。

 まさに理想の人物じゃないか。

 そしてイイ。

 何がイイかって?

 イイことするときだよ。


 それは置いといて、俺も見習わないと。

 というか、どうして俺達が潜入して使用人をしなければならないんだろうか。

 最終的に皇帝陛下が交渉するのなら、最初からそうした方がいいんじゃないだろうか。


「ねえ聞いた? 帝国の話」

「うん、聞いた聞いた」


 おや、他のメイドたちが何やらヒソヒソと話をしているぞ。

 それも、帝国の話じゃないか。

 ひっそりと聞き耳を立てる。


「ついに帝国が王国を攻め落としたらしいわよ、それも植民地にしたとか」

「本性を現したって感じね。他にも連邦国や獣人王国にも手を出したって噂よ」


 ……あれ、なんか変な噂が流れてない?


「まだここは帝国から離れてるから安心だけど、周辺の国は可哀そうよね」

「ほんと、平和な時代にやんなっちゃうわ」


 帝国、かなり嫌われてない?

 確かに、王国にいるときも帝国の評判はよろしくないものだったけど……。

 遠く離れた土地でも持たれている印象は同じようなものみたいだ。


 確かに、いきなり交渉するのは難しいな。

 だからこそ、俺達を潜入させたのか。


 公女殿下をこちら側に引き込んで、それから交渉を行うと。


「こーらアレクシス! なにサボってるの、仕事ができないんなら人の二倍働きなさいよ!」

「す、すみません!」


 際どいアンナ先輩、手厳しいです。

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