表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第二章
67/200

067 実は色々なところにある帝国の拠点

「リリー!」

「ん!」


 俺の声に反応したリリーが肉体強化をしてその場から跳躍する。

 迫り来る精霊に向かって直進し――鋭利な爪で一体を切り裂いた。


 見るからに致命傷の精霊に、リリーは蹴りで追撃を行う。

 蹴り飛ばされた精霊は海に落下し、そのまま形を維持できなくなって消滅した。


 直後、ドボンとリリーが海に落ちる。


 一体が生贄となっている間に残りの二体は前進を続ける。


「アレクシス様、結界を張ります!」

「頼む!」


 サポートしながら結界を展開するリンシアに平行して、俺も禁術魔法の構築を行った。


 敵は中級程度まで成長した精霊だが、魔精霊に比べれば格段に弱い。

 狙いを定め、魔法を当てることができれば確実に倒すことができるだろう。


 敵の属性は水、雷系統か風系統に弱いはずだ。

 さすがに海で雷系統の魔法を用いるのは危険と思われるため、風系統を選択する。


 大魔法使いの杖を振りかざすと、空中に緑の魔法陣が展開された。

 魔法陣は風を生み、襲い掛かって来る精霊に向けて放たれる。


「ル゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛————!?」


 勢いを増した風は嵐となり、海上で渦を巻いた。

 精霊を巻き込んだ嵐は中心へと集約していき、やがて静けさを取り戻す。


 遅れて沖に落ちた水の塊によって発生した激しい波が陸上に到達するが、リンシアの張っ結界により全て防がれる。


 リリーも波に乗って犬かきをしながら戻ってきた。


 うむ、問題なく倒せたようだ。


「どうやら他にはいないようですね」


 周囲を見渡すが、他の精霊の姿や嫌な気配は存在しない。


「今のは中級の精霊って言ってたけど、つまりそれを生み出す魔精霊がいるってことだよな」

「はい、恐らくは第三柱・魔精霊ウンディーネが生み出した精霊と思われます」


 リンシアが思われると言葉を濁しているのは、帝国が魔精霊ウンディーネの存在を正確に察知した訳ではないからだそうだ。


 地上ならまだしも、海に潜んでいるウンディーネの位置を把握するのは困難。

 姿は確認できていないが、他の地域で不自然な水害が起きていたり。

 さきほど襲撃してきた精霊の存在から魔精霊ウンディーネが復活しているのは確実とのこと。


 それも、初級ではなく中級精霊を生み出せるほどに成長している。


「わたしたちがいるところに偶然精霊が通りかかったのか、それとも意図的な襲撃か。警戒を強める必要がありますね」

「そうだな」


 魔精霊本体の姿が見えず、敵の意図は読めない。

 だが襲撃があったということは、もう一度襲撃してくる可能性も少なくないだろう。

 十分に警戒しておく必要がある。


「遊ぶの、おしまい?」

「残念ながら、一旦おしまいだな」

「……ざんねん」


 リリーの獣耳がシュンとしていた。


 ひとまず事態を皇帝陛下に連絡する為、公国に密かに作られた帝国の拠点へと移動する。

 何だか入り江の奥の凄く分かりずらい洞窟の中に拠点があるんだけど……確実に公国に無許可で作ってるよな。コレ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ