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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第一章
54/200

054 本当の勝利はこれから掴みに行く

「まて、ブレスは――」

『リ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛――――――――!』


 ドラゴンに向けて放った言葉の途中、シルフィードの咆哮がそれを遮った。


 なんだ、どうした。

 まさか、まだ力が残っているというのか?


 刹那、暴風がドラゴンを包んだ。


『ふん、お前の魔法は効かな……んん!? ちょ、まっ、かなり痛いぞ!?』


 最後の力を振り絞って攻撃してきたのか。

 先ほどまでほぼ無傷だったドラゴンが苦痛を感じている。

 ドラゴンに耐えきれるか?

 何か対策を――、


 そう考えを巡らせ始めた直後、シルフィードの身体が黒く染まり始める。

 黒く染まった箇所からボロボロと形が崩れ、粒子となって消滅する。


 終わったのか……?


 本当に……。


『いだだだだだだ! む、終わりか? 死ぬかと思った……ではなく、ガハハその攻撃も我には効かないようだな!』


 ドラゴンを覆っていた暴風も消滅した。

 少々ダメージを受けたようだが、問題なさそうである。


『って、おい、魔精霊の身体が消滅しかかっているではないか! トドメは我がブレスで!』

「ドラゴン」


 急いでブレスを放とうとするドラゴンを止める。

 やめろ、余計な事をするな。


 シルフィードの身体はもうほとんど残っていない。

 黒い粒子はどんどん離散し、そして。


「もう大丈夫だ」


 邪悪な気配は完全に消滅した。


 誰か一人でも欠けていたらシルフィードに勝てなかっただろう。

 リンシアも、リリーも、そしてドラゴンも。


 絶望の淵でリンシアに手を差し伸べられたのも、リリーと森で出会ったのも、ドラゴンが助けにきてくれたのも。

 すべて神の導きというやつだろうか。


 勝利への道筋を切り開いてくれたのかもしれない。


 言葉は聞こえないけど、でも、確かに俺たちを見守ってくれている気がする。


「ドラゴン、来てくれてありがとう」

『む、う……うむ。我に感謝するがよい! これからもアレクシス様に従わせてもらうぞ!』


 上から目線なのか下僕なのか、よくわからない喋り方をする奴だ。


 身体の力が抜け、バタンと仰向けに倒れた。


 圧倒的な力を手に入れたと思ってたけど、それだけじゃ駄目だ。

 俺はもっと強くならないといけない。

 誰一人、仲間を欠けさせてはいけない。


 じゃないと、あの魔王には勝つことは出来ないだろう。


「……リリー、もっと強くなる」


 隣で倒れているリリーがそう言った。

 どうやら、意識を取り戻したらしい。


「わたしも、もっと強くならないと。過去の勇者パーティーは本当に凄かったのですね」


 リンシアもリリーも。

 強くなりたいと思っているのは俺だけじゃない。

 二人とも、同じ気持ちなんだ。


「ああ、強くなろう」


 俺が立っているのは禁術魔法の入口に過ぎない。

 本当の意味での禁術……人の域を超えた力をコントロールできるようにならなければ。


「強くなって、必ず魔王を倒そう。リンシア、リリー」

「はい!」

「ん!」

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