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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第一章
38/200

038 女戦士装備は露出度が高いと相場が決まっている

 なんとかシルフィードに追い付かれる前に森から脱出できた。

 いまだに森の方からは恐ろしい咆哮が聞こえてくる。


 帝国軍の防衛拠点に戻り、まずはリリーの身だしなみを整える。


 シルフィードが発生して国が滅びてからずっと森で過ごしていたと思われるため、かなり汚れていた。

 怪我はリンシアの禁術魔法で治癒しているが……少々臭う。


 リリーは帝国軍の女性スタッフに風呂場へ連れていかれていった。

 ちょっと抵抗していたが、俺が「ちゃんと言うことを聞くんだ」と伝えたら、「ん」と返事をして大人しくなった。


 その間にダニエル大佐に報告を行う。


「さすがは勇爵様ッ! 襲撃者を突き止め、さらに仲間に引き入れてしまうとはッ!」


 凄まじいテンションだ。


 ひとまず、リリーという存在についての議論を開始した。


 獣の耳と尻尾が生えている特徴から、獣人であることは間違いない。

 そして出会った場所が滅びてしまった獣人王国だ。

 生き残りであることは容易に想定できるが、問題はあのパワーだ。


 獣人はもともと身体能力が高い種族であるが、禁術魔法の肉体強化がダブルでかかった状態の俺と互角というのは普通じゃない。

 確実に、リリーも禁術魔法を使っていると思われる。


 つまり、勇者パーティーの一員だ。


「残りのメンバーは闘戦士と勇者。確か、聖剣を引き抜けるのは勇者だけなんだっけ?」


 聖剣を引き抜ければ、それが勇者としての証拠となる。

 もし引き抜けなければ、闘戦士ということになるだろう。


「聖剣を用いて確かめることもできますが、リリーさんはおそらく闘戦士だと思われます」


 リンシアは間違いないといった表情でそう言った。

 なぜかというと、かつての勇者パーティーの闘戦士ミミーと髪色が同じであるのだとか。


 勇者の子孫が意志を継いでいる帝国に残された資料と照らし合わせると、俺やリンシアの髪色も過去の勇者パーティーと同じであるそうだ。

 俺は茶髪、リンシアはプラチナブロンドといった感じで。


 リリーの髪色は薄緑色であることから、闘戦士で間違いないとのこと。


 ちなみに、勇者の髪色は赤色だったらしい。

 赤髪の人物を中心に捜索すれば、勇者を見つけやすいかもしれない。


「それと、闘戦士の魔法適性ですが。補助系統の禁術魔法しか使うことができません」


 リリーが用いていたのは肉体強化魔法。

 それを発動した状態での肉弾戦だ。


 闘戦士は攻撃系統と治癒系統の魔法が使えない代わり、補助系統の魔法だけ、ずば抜けた適性があるそうだ。

 かつ、魔法の効果は自分にしかかけることができない。


 それを考えると、俺と互角に戦えていたのも頷ける。


 そして勇者は全ての系統に高い適性を持っている。

 まさに救世主だ。

 はやく現れてくれ。


 そうこう話しているうちに、リリーが戻ってきたようだ。

 会議室に入ってきたリリーの姿は、


「……おふろ、きらい」


 まごうことなき美少女である。

 薄緑の髪は艶を取り戻し、汚れ一つないツルツルの肌は健康そのものだ。


 獣耳がピクピクと動き、風呂が気に入らなかったのか尻尾を巻いて、内ももの間にはさんでいるのもポイントが高い。


 誰が見ても、愛らしい美少女だと思うだろう。


 身に着けているのは闘戦士専用装備だ。

 戦いにおいて動きやすく設計された装備は露出度が高い。

 設計した奴は誰だ、よくやったと褒めて――


「アレクシス様」

「はいなんでございましょう、リンシアさん」

「なんでもありませんよ」


 魔精霊より恐ろしいオーラを感じた気がした。


 なぜ専用装備がここにあるのかというと、どこで勇者パーティーが見つかっても大丈夫なよう、各拠点に装備を保管しているようだ。

 かつ、戦闘により装備が破損した場合、すぐに交換できるようにと。


 さすが帝国だ。


 ついでに新しい大魔法使いの杖も貰った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 防具の予備とかもあらかじめ用意されていたということは、聖女の特徴の一つはその胸だったと・・・
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