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禁術の大魔法使い  作者: うぇに
第一章
27/200

027 リンシア式調教法

 生け捕りにするにしても、ドラゴンを放ってはおけない。

 禁術魔法を発動させるため、杖をドラゴンに向けた。


『ほう、今の話を聞いてもなお我に立ち向かうか。上級魔法程度では我に効かぬ、かの大魔法使いが使っていた雷の禁術魔法でもない限りな!』


 なるほど、雷の禁術魔法は効くのか。

 魔力を練り上げ、術式を展開すると、王都の上空に暗雲が立ち込め始めた。


『その勇気だけは認めてやろう。我がブレスの灰となるがいい!』


 激しいブレスが俺達に襲い掛かるが、さきほどリンシアが展開した結界魔法がまだ張られている状態だ。

 攻撃は一切俺達に届かない。

 直接受ければ怪我では済まないだろうが、さすがは膨大な魔力を消費する結界なだけあってビクともしない。


 ブレスを吐き終えたドラゴンが唖然としている。


『……我、かなり本気でブレスを吐いたつもりだったのだが』

「あいにく、禁術魔法には届かなかったみたいだな」

『禁術……魔法だと……?』


 ドラゴンの眼が泳いだ。

 何というか、恐怖を感じたような雰囲気である。


 さて、ドラゴンを半殺しにするにはこのぐらいの威力で大丈夫だろうか。

 うっかり殺してしまわないよう、かなり低めの出力にはしているが。

 まあ、足りなければ次はもう少し強めに撃てばいいか。


「そいッ!」


 杖を振り下ろした刹那、上空の暗雲から一筋の雷が閃光を放ち、ドラゴンに堕ちる。


『グオオオオォォォォォアアアアァァァ――――――!?』


 雷がドラゴンを焼いた。

 あれ、焼き過ぎた!?


 生きてるか!


 あ、生きてはいるみたいだ。

 低出力の威力だったはずだが……あれ、このドラゴン思ったより弱い?

 見事に半殺しである。


「さて、わたしの出番ですね」


 リンシアがそう言い放つと杖を振りかざし、魔法を発動させた。


 治癒魔法だ。


 緑の光がドラゴンに降りかかり、俺がつけた傷を癒していく。

 それだけでなく、古傷までもが綺麗さっぱりなくなった。


『む……痛くない? なんだ、気のせいであったか。ちょっと雷の魔法が使えると脅かしよって』

「はい、アレクシス様。もう一度半殺しにしてください」

『え、ちょ……え……?』


 リンシア、とてもいい笑顔だ。


 言われた通り、杖を振り上げ、


『ま、待て! まさか気のせいではなく、本当に……!?』


 勢いよく振り下ろした。


『グオオオオォォォォォアアアアァァァ――――――!?』


 ドラゴンの丸焼きの完成である。


 流れるような動作で、再びリンシアがドラゴンに治癒魔法をかける。


「心を折るには何度も何度も、何度も何度も何度も何度も。耐えがたい苦痛を繰り返し与え続けるのが一番です。わたし、よく知ってますから」


 とてもいい笑顔だが、リンシアの眼がこわい。


 俺と同じような過去を経験しているとは言っていたが……もしかして、もっと壮絶な過去を送ってきたんじゃないのか?

 リンシアから底知れぬ何かを感じた。


 治癒魔法で完治したドラゴンを、再び禁術魔法で焼く。

 こんがり焼けた途端、リンシアが治癒して元通り。


 これを何度も何度も繰り返す。

 魔力量には余裕があるからね。


 五週目ぐらいからドラゴンの眼は瞳孔が開き、ガタガタと身体を震わせて怯えていた。

 まだ続けるらしい。

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